No.1097 ≪Z世代の時代を生きる。≫-2020.1.22

最近「Z 世代」という言葉を良く耳にします。Z があるということはY もX もあるのだろうと思い調べると、ありました。アメリカで「ベビーブーマー(1946~1964 年生れ)」の後、1960 年~1974年のベトナム戦争のころに生まれた世代をX 世代と名付けたのがそもそもの始まりです。1975 年~1990 年前半に生まれた世代をY 世代、1990 年後半以降に生まれた世代をZ世代と呼びます。

21 世紀は1000 年紀でもあるのでミレニアムと呼びますが、2000 年前後に生まれた世代を、当初はY世代、Z世代という分け方ではなく、物ごころついたときからパソコンやネットが身近にあったので、デジタルネイティブとかミレニアル世代と呼ばれていました。しかし、1990 年代後半というとWindows95 が登場し、インターネットの商用化も進み、阪神大震災の教訓から携帯電話が爆発的に普及し、さらにimode によるネット接続で、身近にインターネットが持ち歩かれた頃です。それまでPC に強いパソコン通信マニアしかやっていなかったパソコンメールが、誰もが簡単にできるネットメールに進化し、携帯があっという間にスマホに変わりました。

その頃、音楽はSony のWALKMAN で持ち歩いて聴くのが一世を風靡しました。しかし、その後のIpodの登場で、数万曲をダウンロードして聞くのが当たり前になりました。その後、スマホの普及はさらに大量の曲を高音質で快適に聴けるようになったのはご存じの通りです。

ある調査によると、Z 世代の特徴は、何といってもデジタルネイティヴであること、プライバシー意識が高いこと、雑多なジャンルの音楽をオンラインで大量に入手しそれを消費すること、高級品やブランドよりも本質的な価値を見抜く力が高く格にこだわらない。LINE に象徴されるように瞬時にコミュニケーションをとることを好み、東日本大震災を経験している世代なので社会意識や環境意識が極めて高い。その時々でFacebook、Instagram、Twitter、Youtube、LINE、tiktok といった媒体の強みを熟知してそれをタイムリーに使いこなすすべを知っている世代なので、情報発信力と拡散力が高くインフルエンサーと呼ばれる人たちが沢山誕生しています。結果的に起業家意識が高く年齢に関係なく起業する。世間では無名の人がネット社会ではフォロワー数が1000 万人もいるすごい人だったりします。先進国を中心にこのようなZ 世代が主流を占めつつあり、全世界では20 億人に達するそうです。2019 年に世界で最も稼いだYoutuber は8 歳の日系アメリカ人のライアン君で年商はなんと28 億円だったというのもZ 世代のなせる技といえます。

団塊の世代は、なぜパソコンやスマホばかりいじっていてお金が稼げるのか不思議でならないと思います。発信力と拡散力のあるインフルエンサーになると広告料も高額で莫大になるからなのですが、生まれた時からネットとスマホが生活の中にあって、何気ない出来事を動画にとってアップすると思いもかけない「いいね」の反応があり、もっと「いいね」をもらおうと努力した結果なのでしょう。行き過ぎるとバイトテロのような違法なことまでやってしまいかねないでしょうが、面白い時代だといえます。

アメリカでは人口の26%がZ 世代だそうです。世代(Generation)マーケティングは以前から活発に行われていますが、どのような切り口でセグメントするかで随分と風景が変わってゆきます。

私たちになじみのある世代でいえば、堺屋太一氏が命名した「団塊の世代(1947~1949 年生れ)」、その子供の世代である「団塊ジュニア又はバブル世代(1971~1974 年生れ)」「ゆとり世代(1987~2004 年生れ)」です。また、世代とは異なり、セグメントの一つで話題となったのが「DINK(Double Income No Kids 子供を持たない共稼ぎ世帯)」です。最近は4 月に一斉に入社する方式が崩壊し、中途入社が当たり前になりました。一斉入社が当たり前だった頃、日本生産性本部が毎年の新入社員の特徴を「ドローン型」とか「消せるボールペン型」とか命名し発表していました。中途入社が当たり前になって命名もやめましたが、

今度は産労総合研究所が命名をはじめ2019年の新入社員は「AIスピーカー型」だそうです。誰もが欲しがるけれどもいざ手にすると使いこなしが難しく、面倒だという意味だそうです。

欲しくて欲しくてやっと採用できたポテンシャルの極めて高いZ世代人材を、彼らの強みを生かして、根気よく使いこなす必要がありそうです。従来の価値観を押し付けたり、違う使いこなしを求めたりすると誤作動が起きるかも知れませんね。受信できるわかりやすい言葉で明確に話しかけて、正しい使い方をマスターすることが潜在能力をフルパワーで発揮させるコツのようです。