No.1263 ≪今は大転換点ど真ん中(その2)≫-2023.5.31

先週の続きです。大転換のど真ん中(その2)です。今日は北朝鮮のミサイル打上があり、沖縄ではJアラートが鳴り響き避難指示が出ました。いつも思うのですが、避難指示を出すのは良いのですが、大雨警報や洪水、地震といった天災地変に伴う避難は大型の強靭な施設に避難することは可能ですが、ミサイルや核爆弾に対して一体どこに避難しろというのかと疑問に思います。世界のOECD先進国で核シェルター整備率が極端に低い、というよりゼロに近いのんきな国が日本です。京都の妙心寺には核シェルターが整備されていますが、それは仏教経典の保管が主目的で人間用ではありません。沖縄の建設会社に核シェルター常設の住宅や建築物の販売を提案していますが、ごく少数の特権階級以外には売れないので賛同を得られていません。今日のJアラートが核シェルターのような人命保護の目的で建設されるきっかけになることを念願しています。ウクライナの惨状を毎日テレビでご覧になっていればわかると思いますが、ミサイル攻撃を受けた時に命を守れる場所は大規模な地下シェルターしかないことがわかります。地下鉄の駅が核シェルターの代わりになっているのです。韓国の核シェルター整備率は人口の300%とも500%ともいわれ、観光客も収容可能だとか。
では日本も地下鉄を核シェルターにと運用できるかと言えばそれほど簡単ではないようです。日本で最も深い地下鉄駅は都営大江戸線六本木駅で、深さ約42mにありますが、これでは核攻撃には対抗できません。ウクライナのキエフの地下鉄駅は冷戦時の教訓から建設されていますので地下100mの深さにあります。これは核爆弾の威力をどう見るかによりますが、ロシアが保有する水素爆弾は地表で爆発した場合、1961年の実験結果では直径1600m×深さ90mの穴をあける破壊力があると言われています。ではどうするか?と頭を巡らせています。

さて、日本人の政治意識についてです。先週ぐらいから岸田総理一族による総理官邸の私物化がマスコミをにぎわしています。あのような写真が流出すること自体日本の安全保障意識の低さを物語っており、総理の権威や威厳は地に落ちたとあきれてしまいます。G7広島の成功で天国に行き、官邸での一族の忘年会で地獄に行くようで気の毒です。もし、私が長男の32歳の岸田翔太郎氏だったら、大事な後援会の重鎮や親族から圧力がかかったらどうするか? 「君が立候補しても応援しない」と脅されても断ると思います。

私たちの政治選択としての投票行動は政治意識の一つの目安になると思います。
衆議院をみると、1967年の第31回選挙では投票率は73.99%。一連の「黒い霧事件」で政財界癒着による政治不信が頂点に達して民意を問うた解散総選挙で、さすがに高い関心がありました。各年代とも70%以上の投票率でした。当時、私は10代で選挙権はありませんでした。

政治への関心は高いまま約30年間続きましたが、1996年の第41回総選挙で初めて60%を割り込みました。バブル崩壊後の処理を済ませ、沖縄普天間飛行場返還問題にめどをつけた橋本総理が民意を問うたのです。しかも、選挙制度が中選挙区から小選挙区に変わり政党が乱立した時期です。実に18の政党が乱立しました。この時の年代別の投票率は20代36%、30代57%、40代65%、50代71%、60代77%、70代67%となっています。当時の私は40代でした。

そして、最新の2021年第49回総選挙では55.93%です。戦後初の任期満了選挙でした。コロナ禍真っ最中の選挙で岸田内閣が誕生した総選挙です。争点はコロナ禍下の経済政策が中心でした。この時の年代別の投票率は10代43%、20代36%、30代47%、40代55%、50代63%、60代71%、70代62%となっています。私は60代です。

年代別の政治意識は変化することなく継続されることがわかります。1967年第31回選挙時に20代の投票率は67%、30年後の1996年第41回総選挙時は50代になり投票率は71%とほとんど変わりません。30代でみてみると第31回選挙時78%、第41回選挙時77%とほとんど変りません。すると、2014年第47回総選挙時に20代の投票率は32%、30代でも42%と低くなっています。これからの日本の未来を担う方々の過半数は政治選択をしていないことになります。いくら投票率が低くとも多数決で選出されるので問題はないのですが、果たしてこれで良いのかと疑問に思ってしまいます。あらゆる組織や団体の総会で委任状含めて過半数に満たない場合は総会自体が成立しませんのですべて無効になります。過半数と多数決は異なりますが、せめて過半数の参加による多数決であってほしいものです。

一方、希望もあります。4月23日の芦屋市長選挙で最年少の26歳の高島市長が当選しました。いわゆるZ世代(1996-2012生れ 11-27歳)です。投票率も6%アップして53%となっています。SNSを駆使した若い感性が支持を受けたと言えます。これは大きな希望だと単純に思っています。今後、SDGsやジェンダーフリー、正義といったことに価値を見出しているZ世代に支持されない政治家は落選し、彼らの目線で立候補する若い世代が増えれば、確実に政治は変化すると思います。

企業経営と国家経営は異なりますが、経営者は常に政治に関心を持たねばなりません。