No.1210 ≪シェルターで経済成長するという考え方≫-2022.5.2

21世紀経営クラブ≪シェルターで経済成長するという考え方≫-2022.5.2  目加田博史

今週はGW期間中になりますので早めのメルマガをお送りいたします。
5月3日は憲法記念日です。ウクライナ戦争の悲惨な状況を踏まえ、国民の生命と財産を守り国防という観点で安全保障問題は憲法論議と直結しており、マスコミでは様々に議論されています。
1954年生まれの私が受けた日本史や世界史等の歴史における近現代史の授業はいつも数時間で「おまけ」のように通り過ぎました。近代までの詳細な歴史と異なり、受験の出題頻度が低かったこともあり年号を覚えるぐらいでした。今から思えばなんと浅はかだったかと痛感しています。

ミレニアムを迎えるころ、戦後50年が経過し日本や米ソを含む各国の第二次世界大戦前後の機密文書や外交文書が一斉に公開され、研究者の意欲的な研究により新たな史実が明らかになるにつれ、それまでの常識と史実が真逆ともいえるぐらいに異なることを知りました。近現代史の知識が圧倒的に不足していることに気づいたのです。これが、自虐意識一色だった日本人としてのアイデンティが変わり、自分の出自に関心を持ち、突き詰めてゆくとインテリジェンスを磨くきっかけになりました。

国会図書館のライブラリーにある「日本国憲法の誕生」をみると戦争終結から施行にいたる2年間の状況が各種資料に基づきわかりやすく記録されています。敗戦国とはいえ合法的に占領支配する手続きにおいて戦勝国各国の利害がからむ中で名実を使い分けた複雑怪奇な組織が無数に設立されています。最終的には占領統治機関であるGHQを通じて日本国政府が様々な政策を実行した経緯がわかります。占領統治をうまく推進するために占領下の法的根拠となる憲法が制定されましたが、激変する世界情勢に応じて柔軟に対応できるように施行後1〜2年で改定する計画だったのです。しかし、様々な事情で1952年4月28日に主権回復して以降も一言一句変わることなく現在に至るのが実情です。詳しくはhttps://www.ndl.go.jp/constitution/etc/sitemap.htmlをご覧ください。

さて、世界が戦後70年以上かけて構築してきた「法の支配による世界平和の秩序」という共通の価値観が崩壊の瀬戸際にあります。軍事力による新ルール構築を試そうとする国々とそうはさせないとする国々の中で混迷を深めています。なんとしても第三次世界大戦にしないという一点で合意した上で今の危機を打開すべく岸田総理はじめ世界中の政治家が行動されています。軍法に基づく軍隊を持たない世界でも稀有な国である日本だからできることと現実とのはざまで先行きは不透明です。

しかし、はっきりしていることがあります。いざという時は自分の国は自分で守らねばならないということです。政治家だけでなく中小企業の経営者も同じことが求められます。中でも中小企業でできることはエネルギーと食料の自給率を高めることです。もう一つはどこに避難するかというシェルターを自前で持つことも可能です。平時には誰も意識しませんが、今のような世界危機の時は皆が意識し不安になります。シェルターの中でも核シェルターは特に重要です。

30年以上前の話ですが、セミナー会場として利用させていただいた京都の妙心寺の塔頭寺院のご住職からお聞きした話ですが、妙心寺のある塔頭寺院には核シェルターが設備されているそうです。そのころはインテリジェンス感覚も持っていませんでしたので何とも思いませんでした。目的は多数の仏像、仏法経典等の避難場所だということですが、1000年以上にわたり都があったがゆえに何度も戦火に巻き込まれ焼け野原になった経験が生かされているのだと思います。

そして、今。ロシアがウクライナに侵攻し、世界中が安全保障的に不安定化するとともに、経済制裁により世界経済が変調をきたしています。第二次世界大戦のころの植民地帝国主義によるブロック経済の元では想像もつかなかったことが、サイバー&グローバル経済ですべてが密接に結びついている現在では想像もつかないような副作用が起きるものです。ロシアへの経済制裁のつもりが逆に自国経済を破壊することもあり得ます。世界の仕組みを本質的に解明し、原因を特定し、解決できる国も人も誰もいないのが実情です。たとえAIを駆使してもできないのではないかと思います。

その中で日本を守る。地域社会を守る。会社を守る。社員を守る。お客様を守る。そのためには何をするかと考えねばならない状況に入っているように思います。
できる限り省エネルギーで、食料は自給率を高め、そして身体の安全としてシェルターの設備が必要になるでしょう。杞憂に終わればよいのですが。しかし、これは建設業にとって大いなる朗報になると思っています。
中でも、住宅をRCで建築する沖縄の技術は大いに役立つのではないでしょうか。地下に作るか、地上に作るか、住宅そのものをシェルター化するか方法は様々ですが、新築時に合わせて設置すれば価格も抑えられます。
いずれ法律で義務付けられる日が来るかもしれませんが、世界で唯一原爆投下され甚大な被害を被った日本の核シェルター設置率はほぼゼロですので、いつのことになるかわかりません。

核シェルターの価格は工事費を含めると約1500万円です。日本の年間着工戸数は少子高齢化で年々減少し約80万戸ですので、120兆円の市場創造になります。維持費や消耗品、訓練費等のソフト費用を30%と見積もってもざっと総額で約160兆円の市場創造と同じ効果があります。また、これを機に着工戸数の増加も考えられますので100万戸ベースに回復すると約200兆円の市場が創造され、一気に日本の経済成長率は15%アップし世界で最も経済成長率の高い国になります。

これに食糧の自給、エネルギーの自給関連市場が成長すればもっとすごいことになるでしょう。恐らく人手不足で困るでしょうが。身を護る準備が国を守ることに直結すると思うのですが皆さんはどう思われますか?