No.1120 ≪コロナが顕在化させる不都合な現実≫-2020.7.1

宇宙は、より良く人類が創造・進化するようにできています。不都合がある一定量に達すると未曽有の出来事が起きます。全世界にあっという間に蔓延した武漢ウイルスもそのうちの一つで、感染者の8 割は無症状で、発症の数日前から感染力があり、人工物の表面には72 時間以上も存在できるという曲者で、より強毒に変異する能力を兼ね備えています。

武漢ウイルスが話題になったころ、日本はアベノミクスによるインバウンド、東京オリンピック、大阪万博、IR、それに伴う不動産の活況で大いににぎわっていましたが、急ブレーキがかかりドン底に突き落とされました。
政府首脳は未知のウイルスに翻弄され、決断が遅れ、打つ手のほとんどが後手後手となり、非難され続けました。それでも、中小企業への資金供給は無審査に近い大盤振る舞いで実行され、大いに助かりました。一方で、致命的ともいえる不都合な現実が顕在化したのも事実です。

私は日本が大好きで、最高のタイミングで、最高の国に、両親のおかげで誕生することができたと感謝しています。海外を知れば知るほど日本よりほかに素晴らしい国はないと確信しています。そんな大好きな日本ゆえに、不都合な現実を直視しなければならないと思い、多少愚痴になりますが、お付き合い下さい。愚痴に気分がすぐれない方は削除してください。

日本で最初に武漢ウイルスが話題になったのは1 月16 日。神奈川県の男性が武漢から帰国して感染が判明しました。1 月25 日に横浜港入港予定のダイヤモンド・プリンセス号の乗客が香港で下船した後に武漢ウイルスに感染した事が判明してからは新型コロナウイルス一色の報道になりました。

アメリカは2 月2 日に中国から全面入国禁止を発表しましたが、日本では湖北省と武漢滞在者のみ入国禁止処置となりました。全面入国禁止にしなかったのは、武漢ウイルス発生国のトップを国賓として招聘する計画にこだわった勢力の存在があったのではないでしょうか。全面入国禁止の決断が下されたのは、3 月5 日に招聘延期が決まった数時間後でした。国民の生命と財産を犠牲にしてまでも中国に忖度したといわれても仕方がないかもしれません。

指定感染症に対する病院は全国で4 病院、ベッド数はたった103 床しかありません。日本中がパニックに陥った2002 年のSARS の時の経験が教訓として生きていません。専門病院も検査技士も防護資材も不足していました。
医療者の使命感から生命の危険や経営破綻の危機を顧みずにコロナを受け入れた病院が多数存在したことは日本人として誇りに思います。通常なら1 人のドクターが100 人の外来患者を診ることができるのに、コロナ患者一人を20 名以上で治療しないといけないのですから、採算が合うはずがありません。これに対する経済支援は後手後手に回り今後破綻病院が出てきます。
命がけで治療した医療従事者のボーナスは大幅に減額されたのが現実です。

さらにPCR 検査では、保健所や病院を管轄する厚生労働省と大学を管轄する文部科学省の縄張り争いで、大学の研究室にあるPCR 検査設備や検査技師が要請を受けることはありませんでした。もしこれらを使えば、1 日10 万件程度のPCR検査は残業なしでできたのです。しかし、縦割り組織の弊害で、保健所の職員が疲労困憊して1 日3000 件しかできなかったのは、どう理解をすればよいのか。京都大学の山中教授が安倍総理に「我々の設備を活用して、一日も早く危機を乗り越えてほしい」と直訴しました。安倍総理はうなずいて応えましたが、活用される事はありませんでした。持てる経営資源を横断的に使わないのは巨大な岩盤利権に対する遠慮で、国民の生命と安全よりも優先されている現状にもどかしさを感じます。

2016 年1月からスタートしたマイナンバーカードを持てば、オンラインであらゆる身分証明書の代わりになり、今回の10 万円給付金もオンライン申請すればいち早く届けられる予定でしたが、結果は、郵送の方が早かったという笑うに笑えない世界的にも恥ずかしい現象を露呈してしまいました。
かってのe-japan 構想、電子政府、住基ネット、ITデジタル化はどうなったのでしょうか。

あろうことか、6 月27 日には、西村大臣は「(コロナ禍でわかった事は)我が国はデジタル化が急務で一丁目一番地の政策だ」とか。パソコンもあまり触らない科学技術・IT 担当の竹本大臣は今まで何をしておられ、「デジタル化を一丁目一番地に」するために何をなさるのでしょうか?
今日出せば遅くとも2 日後には荷物が届くという世界に冠たる物流先進国の日本で、4 月1日に安倍総理が「入手困難なマスク対策として、繰り返し使える布マスクをスピード感をもって全世帯に2 枚配布する」と表明されました。私の元に届いたのは6 月4 日で約2 か月かかりました。マスクには郵便番号も住所も世帯主も記載されていません。単純にポストインされただけで、チラシと同じです。それが2 か月かかりました。その間に、中国から大量のマスクが輸入され、GW 前にはドラッグストアで 投げ売りされていました。何をどうすればこのような時間をかけられるのか理解に苦しみます。

緊急事態宣言の発令と解除、自治体と国の役割、自粛要請と補償問題。わかったようでわかりにくい基準は将来不安を掻き立てるだけです。しかし、中小企業を経営する私たちは、生き残らなければなりません。
間違いを認めたがらない役人、何度読んでも理解できない行政文書、縦割り組織の弊害を前提として、何をしなければならないかを考えねばならないと思います。悪弊を責め立てるより、より良い社会にするために、新しい発想で、新しい技術で、新しい市場を創造すればよいのです。TBS の「がっちりマンデー」は毎回、参考になるビジネスを放送しています。このような危機の時であるがゆえにチャンスが多いと実感します。従来の成功体験を一旦横において、ゼロベースで考える良い機会です。愚痴を聞いていただきありがとうございました。