No.1229 ≪個性を育てる≫-2022.9.21

毎年、下手の横好きで大胆にも大阪と沖縄で展覧会を開いています。個展もあればグループ展もありますが、春は大阪で、秋は沖縄で開催します。今度の沖縄での展覧会は10月4日(火)~9日(日)の1週間、那覇市おもろまちにある県立博物館美術館「おきみゅー」です。都合のつく方はどうぞお越しください。お待ちしています。

毎回、出展するための絵をかきます。きっかけは、いろいろな偶然と誤解が重なり大学の美術部に入部したことです。今から50年前のことです。そこで油絵と出会いました。絵具を溶かすにはペインティングオイルを使い、筆を洗うのもオイルクリーナーを使います。乾燥するまで1日以上の時間がかかりますので、重ね塗りをすると、絵具が混じってしまいます。また、乾燥した上に絵具をのせると下の色はすっかり消えてしまいます。じっくり時間をかけて描くには最適の絵具です。オイルを工夫すれば数百年以上劣化せずに鮮やかな色が残ります。

卒業後は絵を描くこともなく数十年が過ぎ、15年ほど前に先輩の個展に出かけたのがきっかけで、絵筆を握ることになりました。油絵を描く道具は持っていましたが、さすがに敷居が高いので、入りやすい水彩画にしました。絵具も水があればすぐ使えますし、筆も水で洗えます。しかし、重ね塗りをするとにじんでしまいます。一発勝負で描く技術が必要です。かといって、アトリエもないのに臭いオイルにまみれて油絵に戻るのは家族の苦情が大変です。とにかく部屋が汚れます。

そこで、出会ったのがアクリル絵具です。油絵具の風合いと水彩絵具の手軽さをミックスした良いとこどりの絵具なのです。水を使って油絵具のような描き方ができますし、筆洗いも水でできます。ただ、15分程度で固まってしまうので、賞味時間は15分です。固まると水では溶けないので、その絵具は使えません。

絵具以外にも、チョークのようなパステル、色鉛筆もありますが、それぞれ、何を表現したいかによって、使う道具が異なります。例えば、抜けるような真っ青な空を描こうとすると、油絵具も水彩絵具もアクリル絵具も筆痕が残り均質な透明感が出ません。それを、パステルをナイフで削って指で描くと抜けるような空を表現できます。あるいは、エアーブラシを使う人もいます。

絵具一つとっても、目的に応じて、さまざまな使い方があります。これは「個性」なのです。水彩絵具に油絵具の真似はできないのです。アクリル絵具に水彩絵具の真似はできないのです。使う人が、表現したい目的に応じて「個性」を活かすことで調和のとれた作品に仕上がるのです。

では人はどうでしょうか? 人も「個性」があり、得手不得手があります。絵具のように使い方を間違えると明確に失敗しますが、人の場合は、なんとか要望に応えようと不得手でも文句を言わず対応しようとします。時間もかかり、出来栄えもよくありません。しかし、よく考えれば、その人が悪いのではなく、経営者がその人の「個性」を知らずに用いているだけではないでしょうか?

人は絵具と違い、応用範囲が広いですし、無限の可能性も秘めています。新たな挑戦をさせることで才能を発掘できることもあります。時間をかければいずれはできることも増えてゆきます。場数を踏めば、それなりにできるようになります。人は必ず変わります。しかし、経営者は、人に甘えてはいけないのかもしれません。

「適材適所」という言葉があります。適材を適所に織りなすことで、見事なモザイク絵が完成するのです。基本は個性をよく見ることが重要です。

絵を描きながら、果たして自分は、スタッフの個性を熟知して、活かしているだろうかと反省をしています。