No.1150 ≪中小企業には中小企業の生き方がある≫-2021.2.17

2021年2月13日23時7分福島沖で震度6強の地震が発生しました。被害にあわれた皆様に心よりお見舞い申し上げます。2011年3月11日東日本大震災の余震だそうです。コロナ禍での避難は困難を極めたと思いますが、くれぐれもご自愛くださいませ。

さて、2月15日に日経平均株価が30年ぶりに3万円を突破しました。バブル崩壊以降初めての3万円台です。まだ高騰を続けています。今の時期に買いに走っているのは誰か? 外国人プロ投資家と日銀だそうです。さらにはスマホ金融が普及し、「〇〇ペイ」大流行も影響し、スマホで簡単に投資ができる個人投資家の存在も大きいようです。株価と企業の経営実態が乖離して久しいですが、パンデミックスのこの時期に株式投資に走る素人の個人投資家は良いカモになること間違いありません。私の苦い経験では2010年1月にJALが経営危機に陥ったとき、錯綜する情報に惑わされて毎日がストップ安の状態なのに一縷の望みをかけて紙くずになるまで持ち続けてしまいました。新入社員の年収2年分の損失をこうむりました。

SMBC日興証券が3月決算の上場企業713社を分析し、2月4日にその内容を発表しています。それによりますと、コロナ禍で増益企業は41%(294社)、減益企業は43%(312社)、赤字企業は14%(104社)とのことでした。コロナ禍の中でGDPはマイナス成長が確定的にもかかわらず、日経平均が30年ぶりの記録的高値に高騰したのは、企業業績によるものではなく全く別の理由によるものです。
それは、世界中がコロナ対策のために金融緩和し、給付金をばらまき、異常なお金の使い方をしています。わかっているだけでも、コロナ対策として世界で準備された資金は主な国だけで約650兆円。アメリカが3.9兆$(約406兆円)、日本60兆円、中国2兆元(約90兆円)、EU7500億€(約95兆円)。世界で必要なワクチンの代金だけでも数10兆円必要です。コロナ対策資金はまだまだ増えそうです。このお金が株式市場に流れているのです。

岡三証券が2021年2月1日作成の「外国株式投資の魅力」というお客様資料によりますと、「2021年1月末の世界の株式時価総額は、103.6 兆ドル(前年末比+3,291 億ドル、+0.3%)でした。そのうち米国が 42.8 兆ドルで 41.3%を占めます。日本は6.7 兆ドルで 6.5%となり、中国の 11.2 兆ドル、10.8%に次ぐ、第 3 位でした」とあります。世界で103.6兆$に、コロナ対策の金融緩和でだぶついた何兆$もの資金が流入すると高騰するのは当然です。とても個人や中小企業が手出しできる分野でないことは一目瞭然です。

グローバルな巨大市場で巨額の資金が飛び交う世界の住人である大企業は競争に勝つためにボリュームディスカウント力をつけねば「企業としての死」を迎えてしまいます。果てしなく規模拡大をしなければ存続できません。世界の情報産業を牛耳るGAFAが将来に影響を与えそうな技術を持ったベンチャー企業を破格の価格でM&Aして競争の芽を摘むのもそのためです。しかし、いずれ成長には限界があります。持続可能な成長に移行する時期が必ずやってきます。多くの場合は破綻という結末が多いのですが。

中小企業は大手企業の住む世界と決別し、生き残り、成長持続するには、分を知り、NO.1になれる最適のセグメント市場を創造し、大手の参入障壁を高める工夫と努力が必要です。世にいう「ニッチ市場」ですが、すでにある隙間としてのニッチではなく、大手が参入しにくいセグメント市場を創造するのです。もちろん、他社にない独自性の高い「何か」を持っていなければなりません。さらには規模拡大を至上命題にする大企業の真似を決してすべきではありません。

また、私は日ごろから顧問先企業に上場を勧めています。その意図は、いつでも上場できるだけの社内整備、人材育成、意識レベルの向上を図るのが狙いです。上場そのものはある一定基準を満たせばだれでもできるものです。実際に上場するかどうかは、別の問題です。
中小企業は労働生産性(一人月当たり限界利益)100万円、一人当たり年間経常利益300万円を達成するまでは果敢に攻めないといけませんが、それが実現できた段階では量よりも質に転換しなければなりません。内部体制の充実、人材の充実、地域社会への貢献、地球社会への貢献、SDGs対策に力を入れて、一段高いステージを創造すべきで、決して規模の拡大、量の追求に参加すべきではありません。

労働生産性で100万円創造するには、人の持てる力を存分に生かしたソフトサービスを拡充する必要があります。建設業であれば、施工そのものよりも、地縁や地の利を生かして設計施工、プランニング、リノベーション、コンバージョン、不動産の仲介・売買、相続相談、土地の有効活用、土地開発等の付加価値が高く徹底的にアフターサービスを日常化することです。地域を限定することで、重機や人の有効活用と残土場所や別利用が可能になり、コスト競争力は比べようもありません。付近の住民が営業マンとなり引き合い情報が増え、良好な人間関係により段取り良く工程を進められ、クレームや手直しが無くなることで工期は1か月以上短縮できます。

中小企業の弱点の一つは財務力です。利益を出して内部留保することが基本ですが、金融機関との良好な関係を保つことも極めて重要です。メガバンク、地銀、第二地銀、信金、信組等どの金融機関を取り組むかで大きく環境が変わります。
皆さんの会社のメインバンクはどこですか? 今までは各行が入り乱れて口座獲得に動いていましたが、最近は政府の方針で銀行の統合が始まっていますので、融資したい好業績企業には猛烈な営業攻勢をかけてきますがそうでない場合は見向きもされませんし、呼んでも来てくれません。特にメガバンクの動きが不気味で中小企業に距離を置いているような印象があります。事情通の情報によりますとメガバンクの取引条件は年商70億円以上だとか。妥協しても50億円以上だそうです。今までの付き合いで口座は維持しても新規取り組みには消極的です。その背景にはマイナス金利の影響があります。業績の良い企業だと5年長期・無担保無保証・金利0.5%未満が相場です。1億円借りても金利は年間50万円です。これではひと月分の人件費さえ出ません。トップの個人財産や相続資産の管理まで含めないと割に合いません。
では地銀はどうか。地銀の主力は年商30億円までの企業だそうです。それ以上になると大手銀行との競合でうまみがないそうです。年商30億円~50億円クラスの企業は地銀からもメガバンクからも距離を置かれる可能性があり空白地帯になる可能性がありますので、金融機関とのかかわり方を見直す必要がありそうです。

中小企業は立ち位置を考えて、持ち味を生かして、他社にない独自性を磨いて、量より質にシフトすることを意識しなければなりません。その前提条件は、労働生産性100万円。一人年間経常利益300万円です。