No.1087 ≪中小企業の脳の使い方≫-2019.11.8

最近とても不安になることがあります。あまりにも便利で、商品は街にあふれ、欲しいものは何でも手に入り、検索すれば知りたい情報は即座に得られる。人間の持っている才能を使わずとも機械がすべてやってくれる。このような世の中は果たして正常なのだろうかと。そして、いつまで続くのか。自分の頭で考える前に、ネットで検索して、よく似た考えを自分の考えと錯覚してしまう。頭は考えるためにあるのであって、単なる飾りではないはずなのに。そのような世界では巨大資本しか生きてゆけないのではないか。中小企業は消滅するのではないか。

インターネットが商用化された1995 年に、私達は今までとは異なる時空を超える魔法の世界を手に入れました。まるでコロンブスが新大陸を発見したように、新天地が開けました。そして、私達は、目に見えない雲の上にクラウド空間があり、そこを無数の情報がサーバーを経由して瞬時に現実化する世界を生きています。
スマホがあれば他のものはいらないようになりました。電話であり、財布であり、銀行であり、PASS であり、図書館であり、映画館であり、コンサートホールであり、ゲーム機であり、PC であり、辞書であり、秘書であり。

この環境を宇宙で支えているのが宇宙衛星です。1957 年にソ連が「スプートニク1 号」の打ち上げに成功してから、今日までの約60 年間に打ち上げられた宇宙衛星は約7600 機あり、機能している宇宙衛星は4400 機あるそうです。

もし、万が一、なんらかの原因で宇宙衛星が壊れたら、地上では何が起こるでしょうか?スマホが使えなくなります。インターネットを始め、あらゆる通信が遮断されます。テレビ、ラジオも機能しません。銀行のATM も使えません。ネット経由のマネジメントシステムは全てアウトです。ライフラインのコントロールは手動に切り替わり、GPS が機能しなくなります。カーナビやスマホ、自動車の自動運転、電車の運行、飛行機の運航、船の運航が紙のマップのアナログに替わります。また、原子時計が作動しなくなりますのであらゆる設備や装置の動機が取れなくなり、事故が多発する可能性があります。

これら目に見えない世界を牛耳っている企業がGAFA(Google Amazon Facebook Apple)とBATH(バイドウ アリババ テンセント ファーウェイ)で、GDP の多くを占めています。
最先端のテクノロジーを使って提供されるサービスは、AI やロボットで動くものが多いため、人間がやるよりも安く、早く、正確です。従来のやり方ではとても太刀打ちできません。AI はさらに深層学習により進化するためにますます安く、早く、正確で、便利で、かゆいところに手が届くようになってゆきます。

ある日、突然に、スマホやPC が動かなくなったらどうしますか?
そんなときこそ、中小企業の出番です。中小企業は巨額投資ができないので、日ごろから社員の育成に力を入れています。中でも人間力を高めることに力を注いでいます。機械に頼らず、脳をより活発に使っています。
たとえ、今の最先端テクノロジーが破たんしても、何ら問題はない。それが中小企業です。先端のテクノロジーに依存して脳の使い方を忘れている人は最悪です。昔は、30 個ぐらいの電話番号は誰でも暗記していましたが、今は覚えていない人が激増しています。電話を掛けたくても電話番号はスマホに入っていますのでわかりません。ネットで調べようにもネットがダウンしています。

スマホやPC を使わなくても仕事ができるように普段から頭を使う訓練が必要です。
私達の脳は万能機械で、使えば使うほど成長してゆきます、使わなければどんどんと退化してゆきます。
1. 一番脳を鍛えるのは「読み書きそろばん」です。本を読む、その感想を書く、それを数字で表すのです。
2. 瞑想も頭を鍛える良い方法です。呼吸を整えて、呼吸に意識を集中して、息を数えます。
3. そして対話すること。人と話し合うことによって脳は活性化します。
4. 結論を一言集約で表現する事。一言とは20文字以内です。一つの文章には一つの考えだけ表現します。
日ごろから脳を活性化しましょう。