No.1291 ≪規模別経営のポイント≫-2023.12.14

大谷翔平選手のおかげで日本人は本当のコスモポリタン(国際人)になったように思います。世界史上最高の契約にも関わらず、お金にキレイ、誠実、正直、利他の精神を感じるからです。今までも世界一を成し遂げたアスリートやアーティストは沢山おられましたが、遂に日本人らしいコスモポリタンが誕生したようでとてもうれしく思います。

アフターコロナが本格化し、先進国をはじめとする多くの国々では好景気で個人消費が活発です。日本もインバウンド需要が一気に盛り上がり、観光業界やホテル業界の鼻息は相当に荒く投資計画は数年先まで埋まっています。値上げも順調に進んでいるようで、社員の待遇が急激に改善されています。一方価格転嫁が難しい流通業では大規模チェーンを中心に省人化DX投資が活発で、セルフレジ店舗が続々と誕生していますし、スマホとカメラを連動させたレジレス店舗も広がってゆきそうです。労働集約型ビジネスから資本集約型ビジネスにシフトしてゆきます。今後はますます二極分化が進み明暗を分けるでしょう。沖縄では2024年8月に開業するコストコのスタッフの時給は1800円と最低賃金の2倍以上です。

会社は適正規模を認識しつつ、勝てる市場で勝てる製品を磨かねば存続すら難しい時代になりそうです。
身の丈以上の投資をすれば激変する市場の読みを間違うと経営危機に到ります。かといって必要な投資をしなければ社員も集まらないし顧客からも見放されるリスクがあります。ある一定以上の市場規模に成長する予測があれば供給力の確保が不可欠になります。自前主義で行くかファブレス主義で行くか、M&Aも大きな選択肢になってきます。経営規模の大小が企業の優劣ではありません。経営者の経営能力及び存続体力が企業の優劣です。わが社はどのような戦略をとるのか、とても重要な岐路を迎えます。2024年は業態の別なくこのような決断が必要な年になると思います。

経営規模のマネジメントに参考になるのは軍隊組織です。様々な戦場で無数の教訓を踏まえてシステム化された軍隊組織はそのまま企業経営に応用できます。日ごろ何気なく使っている「戦略」「戦術」「戦闘」という言葉は軍事用語です。ランチェスターの法則もクープマン理論もOR理論も20世紀の戦争で磨かれ完成した理論です。
軍隊では小さな組織順に、組・班(約6名)→分隊(約10名)→小隊(約50名)→中隊(約2百名)→大隊(約7百名)→連隊(約3千名)→旅団(約5千名)→師団(約2万名)→軍団(3万名以上)で、それぞれに役職や権限が規定されています。
では会社の規模別の定義はどうかというと、実はとてもあいまいです。中小企業庁の定義では小規模企業は20名以下、中小企業は300名以下と定義しています。厚生労働省では100名未満を小企業、1000名未満を中企業、1000名以上を大企業と定義しています。経済産業省では通称大企業と中小企業の間に、2000名以下を中堅企業として位置づけようとしています。役所によって意味合いが異なりますので、経営コンサルタントの立場からすれば大まかに、小企業は20〜50名、中企業は100〜200名、中堅企業は300〜2000名ととらえています。
では70名ならばどの位置付けかと言えば、小企業の性格を持ちつつ中企業の要件を必要とする移行期にあるというとらえ方です。以上の経営規模を元にそれぞれの経営機能(経営態度、組織、商品、研究開発、生産、営業、財務、労務)について確認をしておきましょう。今週と来週の2週にわたってお届けします。

まず経営態度について
小企業:
1.トップの能力と人間的魅力がすべて 
2.小まわりを最大限に利かす 
3.ほかにない商品、サービスのユニークさを売る 
4.経営哲学や方針や目標を明確にする 
5.公私の区別をつける 
6.実行力を前面に押し出し、なりふりかまわず  働く 
7.棲む世界を明確にする 
8.信用を大切にし、誠実な仕事をする
中企業:
1.社長ひとりではどうにもならないので幹部を育てる 
2.社長自ら創業の精神にたちかえる 
3.思いきってステップ・アップをはかる 
4.下請一辺倒ではなく自主性を高める 
5.ラフでも良いので中期計画をもつ 
6.日常業務のルール化と予算実績管理及び先行管理の実施 
7.労働集約型から資本集約型への転換
中堅企業:
1.一流とは何かを探求し、そうなることを決意する 
2.ヒト・モノ・カネの質の充実と体質の強化を急ぐ 
3.トップの経営哲学の徹底と企業使命感の確立 
4.部門経営者の利益責任体制をつくる 
5.先行管理の徹底(できればダム経営) 
6.規模と能力のギャップマネジメントに注意する 
7.禍福は糾える縄の如しの精神を浸透させる 
8.企業ブランドを作り高める 
9.最新技術導入への取り組みを行う 
10.独自の企業ポジションをめざすと共に国際感覚を持ったバイタリティーある社風をつくる
組織について
小企業:
1.トップの陣頭指揮あるのみ 
2.販・生・資金の組織分化
中企業:
1.実力ある幹部が5~6人は必要 
2.権限委譲と報告の徹底 
3.社内コミュニケーションをよくする 
4.社長の分身を育てる 
5.機能分化を図る
中堅企業:
1.コミュニケーションの強化 
2.会議が“怪議”になっていないか 
3.スタッフにメスを入れる 
4.全員参加のシステムづくり 
5.分社制度による活性化

次回は組織から商品、研究開発、生産、営業、財務、労務について確認します。