No.1268 ≪インナーボイスに従う≫-2023.7.5

すべての経営者は重い重い荷物を背負っており、良い会社にするためにどうすればよいか迷っています。まっすぐ行くべきか、右に行くべきか、左に行くべきか。そもそも、ゆくべきかゆかざるべきか。最良の道はどれなのか。他の経営者と比べて自信を持ったり失ったり、他社と比べて規模や業績や評判や評価が気になりだすと夜も眠れません。うまくやってゆけるだろうか、経営者はいつも孤独です。神様さえわからない不確実な未来に向けて決断しなければならないのですから。うまくゆけば「さすが、先見の明がある立派な経営者だ」と評価され、失敗すると「それ見たことか」と批判されます。経営者という役割は本当に大変です。しかし「経営」ほど刺激的でワクワクドキドキする魅力的な仕事は他にありません。一度経営の醍醐味を味わった経営者は普通の人には戻れないと思います。

うまくいっている時は怖いもの知らずで将来の不安など感じることなく自信に満ち溢れて強気で即断即決できますが、少し何かの苦境に陥るととたんに弱気になり優柔不断になります。例えば、体調不良や原因不明の不定愁訴、入院や手術が必要な病気がみつかる、がんの再発など。家庭においては、夫婦の不和や親族のトラブル、親の介護、親子不和、子供の学校生活の問題や好ましくない交友関係、それにご近所トラブル。会社においては、業績不振、得意先からのクレーム、回収トラブル、金融機関との関係悪化、製品の不具合発生、後継者の力量不足、幹部陣の深刻な対立、社員の不穏な空気など。実に様々です。何か一つの困った事をきっかけに不安が不安を呼び、次から次へと漠然とした不安がとめどもなく広がり、もがけばもがくほど「魔のスパイラル」から抜け出せません。まるで底なし沼のようです。
不思議ですね。あんなに元気で自信満々だった経営者が、まるで別人のように陰気で弱気で笑顔もなくなって会社にこもりがちになります。弱り目にたたり目、泣きっ面に蜂。マイナスパワーが団体でやってきます。これは誰もがいとも簡単に陥ってしまう罠です。この時に、経営判断をするととんでもないことになります。

生涯現役で経営者を務めるには、このような「魔のスパイラル」に陥らないように予防する習慣を身につけることが大事です。
1つ目は、不安の不連続連鎖は時間軸も空間軸もめちゃくちゃで多次元です。こんな時は一体何が不安なのか、紙に箇条書きで書きだしてみるのです。スマホやパソコンではだめです。必ず紙に書きます。無数にあると思っていた不安を書き出してみると「あれれ? これだけ?」というぐらい少ないものです。その中で一番不安な項目に〇をつけておくのです。文字にできない不安はあなたの身に起る事はありません。
2つ目は、日ごろからストレス耐性をつけておくのです。つまり、「山よりでっかい石はない」「朝の来ない夜はない」と開き直るのです。「そうか! この苦境は天が私を見捨てていない証拠なんだ。見込みのない人に苦境を与えても無駄だ。天はそんな無駄なことをするはずがない。見込みがあるから気づかせようとしているんだ。きっと今の苦境は私の力量にぴったりなんだ。そうだ、あの人に会いに行こう、会って話を聞いてもらおう。」と行動するのです。
3つ目は、内なる自分と向き合うために瞑想する習慣をつけます。瞑想ができるようになると一人内観ができます。内観研修所に入所するのがベストですが最初は一人内観がおすすめです。お気に入りの禅寺や禅堂を持つとさらによいです。ご縁があれば高僧と出会えます。私たちは一人一人が最先端のスーパーコンピュータであり、人類の英知のデータベース「アカシックレコード」にアクセスできます。瞑想は最も強力なアクセス・パスワードです。

会社で起きるすべての不具合や問題は経営者に原因があります。これを「原因自分論」と言います。他人に責任転嫁しない人を経営者と呼びます。社長でなくても「原因自分論」を実行できる人はすべて経営者です。
雨が降るのも、郵便ポストが赤いのも、災害が起きるのも、業績が悪いのも、赤字になるのも、回収不能が起きるのも、社員が働かないのも、社員が辞めるのも、社員が遅刻するのも、クレームが起きるのも、商品開発が進まないのも、すべて、すべて経営者に原因があるのです。理屈はさておき、まずそう思うことです。
そう思うと「ありがとうございます」「申し訳ありません、ごめんなさい」「許してください」という気になります。自分に原因があるのですから何をすればよいかがわかっています。自分が変われば周囲が変わります。周囲の環境の方が都合の良いように変わってくるのです。経験した人はわかるはずです。「原因他人論」に立って批判ばかりしている人にはわからないでしょう。
「原因自分論」を別の表現で言えばインナーボイスに従うことです。全人類の英知が集まっているデータベース「アカシックレコード」から発せられるメッセージは、目先の損得や表面的な論理思考を越えた説得力を持っています。経営者の深層にある理念と共鳴して発せられるのです。