No.1177 ≪日本は大丈夫か!≫-2021.9.2

最初にお断りしておきますが、私は政治音痴です。経済には多少造詣が深いと自負していますが、政治は一般大衆と同じレベルの感性しかないと自覚しています。ゆえに友人である国会議員、地方議員、有力地方自治体の幹部のプロの方のフィルターを通して政治を見るようにしています。

昨日(9月1日)の早朝5:00にスマホニュースが入りました。見ると「首相、9月中旬の衆院解散を検討…自民党総裁選は先送りの意向」(読売新聞オンライン)のタイトルです。これには政治音痴の私でさえ絶句しました。
「それはないでしょ、総理」
記事は次のように続いています。
「菅首相(自民党総裁)は31日、党役員人事と小規模な内閣改造を6日にも行い、9月中旬に衆院解散に踏み切る検討に入った。衆院選は10月5日公示・17日投開票の日程とし、自民党総裁選(9月17日告示・29日投開票)は先送りする意向だ。ただ、総裁選の先送りには反発が必至で、総裁選を行った上で「任期満了選挙」とする案も残っている。 複数の政府・与党幹部が明らかにした。総裁選前のタイミングで人事を行うのは極めて異例。人事を刷新し、求心力を回復したい考えだ。二階幹事長は交代させる。党副総裁への起用を求める声が一部にあるものの、処遇しない方向だ。
知名度の高い石破茂・元幹事長の要職打診も検討している。衆院選の「選挙の顔」とする狙いがあるが、石破氏は総裁選出馬を模索しており、要請があっても受諾するかどうかは不透明だ。 首相は31日夜、東京・赤坂の衆院議員宿舎で二階氏らと会談し、衆院選の日程などについて協議した。党幹部によると、首相は衆院解散に傾いているが、最終決断には至っていない。総裁選には岸田文雄・前政調会長がすでに出馬を表明している。首相は総裁選の先送りが困難と判断すれば、衆院を解散せずに総裁選を行い、任期満了選挙となる。この場合も、衆院選は10月5日公示・17日投開票の日程とする意向だ。
 総裁選で首相以外の候補が勝利し、衆院を解散すれば、衆院選は任期満了日の10月21日以降にずれ込む可能性がある。」(全文 読売オンラインのまま)

もし、本当にこれが実行されたら、自民党はガタガタになると思います。それでなくてもコロナ対策では後手後手に回って、思い切った抜本策の決断を先送りし、緊急事態宣言とまん延防止重点措置をマンネリ的に小出ししている間にデルタ株が急拡大し、危機的状況に追い詰められています。飲食店や商店、ホテル旅館、土産物店といった中小企業経営者は半ばあきらめつつも踏ん張っていますが、この調子でいくといつまで続くか、年を越せるかどうかと皆が不安に感じています。でも朝の来ない夜はないと自分に言い聞かせ、きっとよくなる、来年はもっと良くなると鼓舞して辛抱しています。未来に期待できないならば辛抱はできません。そんな中でこのニュースです。

安倍総理の病気による中途降板で誕生した臨時の菅政権ですので、前政権の政策継続が主な使命です。今回の総裁選は本格的な「顔」選びになり、「新しい国のカタチ」を決める選挙です。その新しい「顔」と「新しい国のカタチ」で国民の信を問うのが総選挙です。そこで信を得られれば新しい内閣が選ばれ、政権運営に弾みが付き、それぞれの担当大臣が多少強引でも今までできなかった大胆な政策を実行できます。DXは一気に進むでしょう。そして、人心が一新するのです。

そんな時に、どなたかの、どのような意図であれ、政権トップの腹がまだ据わっていないとも取れるようなニュースが流れるのは極めて不謹慎だと思いました。これを観測気球というのであれば、大衆を馬鹿にするのもいい加減にしてほしいと思います。
会社で言えば、新年度の経営方針を決定し、経営計画書を作成した後で社長を選ぶようなものです。そこで社長の続投が決まればラッキーですが、新しい志を持った社長が選ばれれば、策定された経営計画は反故にされ、自らの信じる志を実行するのが普通です。日本は大丈夫でしょうか!

アフガニスタンでタリバンが政権を奪取し、旧政権は国外逃亡しました。在留邦人救出のために自衛隊機がカブール空港に向かいました。しかし、IS戦闘員が空港で自爆テロ攻撃を行った影響で、一旦バス4台に分乗して空港に向かっていた在留邦人は想像を絶する大混乱で目の前の空港にたどり着けず引き返さざるを得ませんでした。今後は外交交渉による救出になる見通しです。他国はすでに退避完了したとニュースが流れています。OECD先進国では日本だけが退避完了できませんでした。
このニュースをみて25年前のイラン・イラク戦争の時の出来事を思い出しました。
1985年3月17日、イラクのフセイン大統領は48時間以内に退避しなければ民間機といえども攻撃すると宣告しました。日本政府は自衛隊機も日航機も救出に派遣しませんでした。当時の国会答弁は215名もの自国民を見捨てても何の良心の呵責も感じないような言い訳オンパレードの議事録が公開されています。結局、在留邦人215名を救出したのはトルコ政府が派遣した2機のトルコ航空機でした。
その時にギリギリまで現地に残り在留邦人救出の交渉を重ねたのはイラン駐在の野村豊大使。もう一人はトルコ駐在の伊藤忠商事イスタンブール支店長の森永尭さんでした。野村大使は親友のビルレル・トルコ大使に、森永さんは旧知のトルコのオザル首相に窮状を訴えたところ、2人の友人は「心配するな、やっと恩返しができる」と言って快諾してくれました。
恩返しとは、約130年前の1890年7月、トルコの親善使節団が乗船する海軍のエルツールル号が、和歌山沖で台風により座礁・大破した時、遭難した乗組員を地元民が夜を徹して身の危険を顧みず救出したことがありました。約590名の犠牲者を出したものの救助された約70名のトルコ人は献身的な村人の介護と全国民の寄付のおかげで回復し日本の軍艦に乗って帰国しました。その時の恩を返したいとトルコ航空の機長たちは危険な救出飛行に志願してくれたのです。
トルコ航空機2機が在留邦人215名を乗せてイランのメヘラバード空港を離陸したのはフセイン大統領の攻撃期限の75分前でした。 日本の危機管理、インテリジェンスは大丈夫でしょうか!