No.1175 ≪会社を発展させる考え方≫-2021.8.18

目加田経営事務所は1996年12月17日に設立しました。あれからもうすぐ25年になります。
その翌年の9月3日にこのメルマガの第一号を発信しましたので、かれこれ約1200号近くになります。

1985年9月22日のプラザ合意で為替は1$240円から170円と超円高になり、経済は外需から内需へシフトし土地バブルが起き、証券バブルが追いかけました。人手不足は深刻で初任給は急上昇し、あっという間に中堅社員の給与を追い抜いてしまいました。ブランド品が飛ぶように売れ、世はバブル景気一色となりました。
昭和天皇が1989年1月7日に崩御され元号が「平成」となり、4月には消費税が初めて導入され、すべての取引に3%消費税がかかるようになりました。露骨な地上げが社会問題となったこともあり、1990年3月27日に「不動産融資総量規制」が大蔵省銀行局長 土田正 顕氏により発せられ、土地取引に急ブレーキがかかりました。規制は1991年12月に解除されましたが、バブル崩壊の足音が着実に近づいており、不動産不況に伴う金融機関の不良債権が急増しました。まだ住宅ローンが規制対象外だったこともあり、なんとか経済は持っていましたが、水面下では財務破綻が進んでおり、金融機関、ノンバンクの破綻懸念が表面化しました。そこに、追い打ちをかけるように1995年1月17日に「阪神淡路大震災」が発生し、3月にはオウムサリン事件が発生し、暗い世相が日本を覆っていました。「絶対につぶれない、大蔵省がつぶさない」と思われていた兵庫銀行が破綻し、ノンバンクを含む金融機関の破綻ドミノが始まります。
日産生命、三洋証券、山一證券、北海道拓殖銀行・・・。金融機関は「絶対につぶれない、大蔵省がつぶさない」神話は完全に崩壊しました。何が起きても不思議はではありません。

そのころに、目加田経営事務所は沖縄県那覇市で産声を上げました。関西出身の私が日本の1%経済圏でしかも四方を海に囲まれた限定商圏の沖縄で創業するのを知り、その無知と無謀さにあきれる方が多数おられました。「半年持てば御の字。そのうち逃げ帰るだろう」と思われていたようです。半年後に電話が入り「まだ逃げずに頑張ってるって聞いたので、ウチの会社を見てもらおうか」と顧問契約をいただくようになりました。
そのころに始めたのが「21世紀経営クラブ」のメルマガです。その第一号(1997年9月3日発行)に何を書いたのか、原文は下記の通りです。
「私たち目加田経営事務所(M2O:MEKATA  MANAGEMENT OFFICE)は企業繁栄にも法則があると考えています。 21世紀まで後3年4ヶ月です。日数で言えば1216日です。あっというまの出来事です。
そして、21世紀はきっと黄金の時代でしょう。すべての企業が超繁栄することは間違いないのです。なぜなら、21世紀を迎えることのできる企業は現在(約250万社)の多く見積って半分の130万社強。無難な線でみると1/5の50万社ぐらいではないかと思っているからです。
沖縄の法人数は15,000社ですので、半分の7,500社から1/5の3,000社といったところではないでしょうか。
理由は経営コンサルタントとしてさまざまな業種とさまざまな規模の企業経営のお手伝いを通じて培った現実的な皮膚感覚と多くの経営者の方々との対話の中でひらめき、メディアによって裏付けられた先見力やイメージから、『20世紀と21世紀との間には(下図のような)深く大きな亀裂があり、それは“底無しの千尋の谷”なのです。多くの目覚めていない企業はこの窪みに落ちていく。直前で気が付いても飛ぶだけの体力がなければ結局落ちてしまう。一度落ちてしまえば復活は難しい』と思っているからです。普通に歩いていては、渡れません。後から後から続々と続いてくる企業の群れがあるのでバックをするのも容易ではありません。今のうちから3年後の21世紀大陸へのジャンプを意識して、ホップ・ステップのタイミングをつかまなければなりません。 その法則(ノウハウ)がこれから、ご提案する「 M2O企業繁栄シナリオ」です。シナリオは3つの戦略ベクトルとベクトルごとに5つの戦略から成り立っています。」

この時に予想した認識は正しかったのか、間違っていたのか検証しました。
ネットで入手可能な法務局法人登記統計は2006年~2020年の15年間ですので、この期間をベースに確認しました。1年間に設立される会社数は平均104千社、破産・解散・廃業などで消滅する会社は平均136千社で、31千社の純減です。登記法人数は2006年の1,765千社から2020年の1,254千社で511千社減少しています。
「21世紀を迎えることのできる企業は現在(約250万社)の多く見積って半分の130万社強」という認識は少し厳しすぎたかもしれませんが、2006年で176.5万社、2020年で123.4万社ですので、当たらずといえども遠からずというところでしょうか。さすがに50万社は行き過ぎでした。

多くの経営者が考えておられたように21世紀に生き残り発展するには並大抵の努力では難しいことがわかります。環境に適応し、新しいビジネスモデルを構築し、時代のニーズを先読みするインテリジェンスが必要です。
ちなみに1989年4月に始まった消費税は1997年4月に5%、2014年4月に8%、2019年10月には10%になりました。今回のコロナ禍でいずれ増税論議が出てきて当面20%まで増税になるでしょう。2021年8月13日発表された最低賃金は過去最高の上げ幅になりました。コロナ禍による社会進化を経て働く人の意識変革が進み、会社は実質的な手取りを増やす仕組みを構築する必要を迫られ、働き方そのものが変化すると思います。
24年前のメルマガ発行時は、「デジタル&ネット」を最重点戦略として提案していましたが、今のようなスマホ経済圏、AI・5G・AR&VR、ドローンは思いも及びませんでした。

時代のトレンドを読みつつも、足元を精査しながら、確実に生き残り発展する会社にするためにはどうせねばならないか、多くの人々の知見を活かし、異業種ネットワークに参加し、直感を磨くときだと思います。