No.1371 ≪AIを知って、経営に活かす≫-2025.6.25

人工知能(Artificial Intelligence)へのあこがれはギリシャ神話時代から様々な形で歴史に残っていますが、具体的な形になるきっかけは変人で天才のイギリス人アラン・チューリングが1936年に発表した「チューリングマシン(プログラム内蔵式機械)」という計算モデルです。その流れを受けてペンシルベニア大学のジョン・モークリーとジョン・エッカートが陸軍の資金援助を受けて1946年にENIACを設計開発し、コンピュータの時代が始まりました。コンピュータの発展はAI(Artificial Intelligence)の発展でもありました。春の時代と冬の時代を経て、1980年代に特定分野の専門家の頭脳をコンピュータにコピーし、人間に助言する「エキスパート・システム」が全世界で一世風靡しました。「スペースインベーダーゲーム」をご存じですか? 懐かしい喫茶店のゲームですが、あの中にエキスパート・システムが実装されていたのです。画期的なエキスパートシステムも日々進化する知識に対応しておらず、その都度入力する必要があり、自ら学習するシステムが求められ、次第に衰退してゆきました。

1990年代から人間のもつ曖昧さ、学習して教訓とする思考回路をプログラムした「ニューロファジー」理論が普及し、ファジー制御が日本で活発に研究開発され、家電やゲーム機に搭載されてゆきました。当時ファジー制御技術の特許を日本が世界の20%を占めていたこともあり日本経済に多大な影響を与えました。
その象徴として、家電では1990年にパナソニックから自動洗濯機「愛妻号ファジィ」、ゲームでは任天堂ファミコンゲームとして1990年エニックス社(現スクエア・エニックス社)『ドラゴンクエストIV 導かれし者たち』があります。商業界における隆盛とは裏腹に、コンピュータの性能が低すぎて技術的にはAI(Artificial Intelligence)の限界を迎えます。その限界をブレークスルーするのはジェフリー・ヒントンが「ディープ・ラーニング」を発明する2006年まで待たねばなりませんでした。

ジェフリー・ヒントンの「ディープ・ラーニング」は人間の頭脳のように様ざまな特徴やデータを無人で抽出できるものです。技術的限界に達していたAI(Artificial Intelligence)研究が大きく進展しました。
以前に「ビッグ・データ」という言葉がはやったのを覚えておられますか? あれは「ディープ・ラーニング」の材料となり、そこから分析をしてある特徴を導き出します。しかも、とどまるところを知らず世界中で日々激増し続けるデータを自らの学習材料に取り込んでさらに詳細な分析を加えて智慧に変える技術なのです。「ビッグ・データ」を分析するデータ・サイエンティストの仕事も大きく様変わりしてゆきます。
「ディープ・ラーニング」技術は1995年のWindows95のリリースで到来したネット社会と共に発展し、研究が加速し、自動運転の実用化や軍事転用が進み、大きなブームを迎えます。

そこに新たなブレークスルーが起きました。2020年にOpenAI社が開発したトランスフォーマー(Transformer)および大規模言語モデル(LLM: large language model)を採用した1750億パラメータを持つ自然言語処理プログラム「GPT-3」です。実験的に人間になりすまし、ネット上でAIだとバレることなく1週間も人間と対話を続けました。なぜバレたかというと人間にはとてもできない多数の投稿数だったからだそうです。
ここでいうパラメータというのは私たちの脳にあるニューロン(神経細胞)に相当するもので、人間の脳には1000億個のニューロン細胞がありますが1750億個というのは人間の脳の1.75倍の細胞を持っている高性能なプログラムということになります。しかも、人間の脳は天才でも13%(130億個)程度しか活用していないといわれていますので、人間能力の約15倍の能力を持っているともいえます。
ある半導体メーカーのAI専門家は「数年内に100兆パラメータのモデルが出現する」と預言しています。すでに32兆パラメータの試験が始まっているそうですから可能性は高いでしょう。

さらに研究が進み2022年11月にOpenAI社が人間と対話(Chat)する「ChatGPT」(Generative Pre-trained Transformer)をリリースしました。最近の生成AIは、注文通りの絵をあっという間に描いたり、数百ページの報告書の要点を数秒で5点にまとめたり、プログラミングまでしてしまいます。しかもその生産性は1000倍以上です。文章も音声も画像も動画も極めて自然で違和感がありません。日本人以上に日本語が上手ですし、数秒の生の声があればあっという間に学習しその人が話しているようにふるまえますから、オレオレ詐欺もはるかに巧妙になり本人と見分けがつかないでしょう。
ネックは電力供給です。何らかの事情で電力不足が発生するとAIは無力ですから、このあたりの対策も今後講じられてゆくと思います。まだまだ紆余曲折はあるでしょうがAIが後戻りすることはないと思いますので、経営にどう生かすかが経営者に問われていると言えます。

ここからは「AIセミナー」を7月7日より開催するお知らせです。一昨日にも号外でお送りしておりますが、再度お知らせいたします。既に多数の方からお問い合わせをいただいており、関心の高さを実感しております。この機会にご検討くださいませ。
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(有効期限6月29日)