「『察しない男』と『説明しない女』のモメない会話術」(五百田達成著 ディスカバー21刊)というベストセラー本があります。読まれた方も多いと思いますが、とても面白い本で、思わず深く頷いてしまいます。
「基本編」「仕事編」「日常編」「恋愛編」「家庭編」の5つのシチュエーションで男女の会話でもめる会話と正解例を全部で50のケースで「とにかくモメずに平和に言いたいことを相手に伝える」コツを解説してあります。つまり、通訳が必要なほど異なる男語と女語を理解してコミュニケーションすることは技術なのだと言い切っておられます。私もこの技術を練習してマスターしている最中です。
次の男語タイプか女語タイプかがわかるチェックリストをやってみてください。
1.仕事で褒められるときは、A「すごい」と言われたい、B「がんばったね」と言われたい
2.どちらかというと、A黙っていたい、B話していたい
3.好きな言葉は、A「成長」、B「変身」
4.好きな人からは、A「あなたが一番」と言われたい、B「あなたは特別な人」と言われたい
5.家に帰ったら、A休みたい、Bあれこれ片づけたい
6.好きなテレビ番組は、Aスポーツ、Bドラマ
7.仕事での失敗に反射的に思うのは、A責任を取りたくない、B怒られたくない
8.ケンカの時に心の中で思っているのは、A「絶対に謝らない」、B「謝って済むなら謝っちゃえ」
9.どちらかというと自分は、Aいつも自信満々、Bいつも自信がない
10.記念日に行きたいのは、A行きつけの店、B最近ニューオープンの店
11.優先したのは、A「偉い人から振られた仕事」、B「仲のいい人から頼まれた仕事」
12.最近した買い物は、A調べて比べて買った、Bぱっと見で気に入って買った
13.偉人の名言は、Aぐっとくる、Bピンとこない
14.大災害とっさに守るのは、A自分、B家族
Aの数が11以上は「ド男」、7〜10は「男」、4〜6は「女」、3未満は「ド女」だそうです。私は9で「男」でした。
例えば次の100%モメる買い物中のケースをみると、妻「ちょっとコーヒー飲みたくない?」、夫「うーん、僕はいいや」妻「・・・(休憩したいのにどうして察してくれないの?)」という場合、正解は、妻「ちょっとコーヒー飲みたくない?」夫「いいね。飲もうか」妻「良かった。足が疲れちゃって」夫「そっか!じゃあ休憩しよう」です。夫が飲みたくなくても「僕も飲みたかったんだ」と言えばもっと良いかもしれません。
察してほしいけれど説明しない妻の例ですね。このようなケース事例が50掲載されてその理由が解説されています。何度読んでも笑いが止まらない本です。
内容を要約すると、「男は成長願望、女は変身願望」「男は理由が欲しい、女は誠意が欲しい」「男は話をまとめたがる、女は話を広げたがる」「男は偉ぶる、女はもったいぶる」「男は自分が一番、女は家族が一番」「男は家で休みたい、女は家で話したい」「男はアドバイスする、女は同情する」「男は自慢する、女は自虐する」「男は褒めてほしい、女はわかってほしい」「男は自信過剰、女は自信過少」「男は謝らない、女は反省しない」「男は覚えない、女は忘れない」となります。
沖縄に「ゆんたく」という会議に似たコミュニケーションがありますが、コミュニケーションとは 似て非なるものです。私のコンサルティング手法は「ゆんたく」をベースにしています。
会議は「会して議する、議して決する、決して行う」ことが目的ですので、決めることが重要になります。論理的な発言を求められます。発言の根拠も求められます。納得づくで結論を出すためには必要なことです。言ってみれば「ド男」タイプのコミュニケーションです。
一方「ゆんたく」は茶話会、ブレーンストミング、井戸端会議、雑談です。皆がお菓子を食べながら好きなように発言し、その発言に根拠も求めないし、抽象的でもあいまいでもとがめない。つまり発言に責任を求めません。結論を出すことを目的とせずプロセスを共有することに重点を置いています。しかし、自然と結論めいたものが出てきて皆が「やってみよう」となります。言ってみれば「ド女」タイプのコミュニケーションです。
一人一人の個が優先されるジェンダーフリーの世界に変わり、受け取り方次第で嫌だと思った感情がハラスメント犯罪になり、チームプレーによる仕事の仕方に変わってゆくと、ロボットではない人間同士のコミュニケーションは極めて重要な「技術」になってゆきます。