10月1日より19都道府県に発令されていた緊急事態宣言と8県に発令されていたまん延防止重点措置が全面的に解除されることが決まりました。たとえ第6波がきてもこれらの宣言や措置が再度発令されることが無いことを期待しています。得体のしれないウイルスに対処するために過去の教訓(ある意味ではトラウマ)に基づき第2類相当の感染症に指定したために医療崩壊の寸前までいったと思います。その結果、第2類では強制的に国費で入院させないといけない感染者を、苦肉の策でホテル療養や自宅療養という違法な形態をとらざるを得ない状態になりました。自宅療養者はピーク時には10万人を超えました。法律では第2類はすべての感染者への対処は各地の保健所に権限が集中しており感染者や医療機関に指示し、その疫学調査までやることになっています。それを全国の保健所職員約28000人(平成30年の厚生労働白書)の職員が不眠不休で頑張られたのです。「働き方改革法」の監督官庁である厚生労働省のおひざ元で果たしてどのような働き方だったのでしょうか? おびただしい長時間労働と休日出勤が常態化していたのではないかと想像します。それだけ働いても自宅療養者(待機者)へのケアや濃厚接触者調査はほとんどできていなかったようです。
「新型コロナウイルスは致死率が1%程度なのに第2類相当の指定は厳しすぎる。インフルエンザと同じ5類相当に変更してはどうか」という意見は1年ほど前から密かに広がっていました。ワクチンも治療法も確立していない中での変更は少し暴論と言えました。実は私も昨年の12月にお招きいただいた団体の講演で「5類相当にすれば多くの問題が解決する」と話して顰蹙を買ってしまったことがありました。今でも間違っていないと思っていますが、最近では親しい方以外には封印しています。その後人類史上最速の驚異的なスピードでワクチンが開発されましたが安全性や有効性についてはまだ疑心暗鬼の常態でしたし、インフルエンザのタミフルやリレンザのように特効薬が開発されているわけでもありませんでしたので止むを得なかったでしょう。
2類相当とは致死率5%~10%といわれているジフテリアと同じ区分です。交通制限があったことを思えば致死率50%のエボラ出血熱扱いともいえるほどの厳重な慎重さでした。企業にとって最も厳しかったのは風評被害です。誰か一人でも感染者を出したり、濃厚接触者を出したりすると取引先からは出入り禁止になりましたし、電話やメールでも露骨に嫌がられる差別を受けた方もあったようです。高層ビルの最上階の事務所から感染者が出ると、エレベーターは使えず、皆階段を上るか、休業する会社も多かったものです。医療的な重篤度よりも経営的な風評被害の方が深刻でした。
「感染者を出したらアウト」「感染者を絶対出さない」という目に見えない圧力で皆が縮こまっていました。
しかし、菅総理が今年の4月に先進国で一番最初にバイデン大統領と会談するために渡米されたときワクチン製造メーカーのファイザー社トップに自ら掛け合い、ワクチンを一定量確保されてからは、1日4万回だったワクチン接種は一気に1日180万回まで進みました。これは総理の決断の本気度を現場がひしひしと感じ取った成果だと思います。恐らく11月には80%近くの接種率を達成できますし、国産ワクチンも年内には実用化される可能性が高いです。
治療薬もどんどん認証され重症化を防ぎ、亡くなる方が激減すると思います。恐らく来年の春にはインフルエンザによる死亡者の方が多くなり逆転すると思います。そうなると、依然として2類相当に指定しておく必要性がなくなりますし、国民感情もそれを認めるのではないかと思います。1年かけて医療崩壊寸前までいって多くの犠牲者を出して、やっと条件整備が整ったといえます。法律的にはロックダウン法制も現実化するのではないかと思います。
そうすると、いよいよafterコロナの世界へ出発です。マスク着用や消毒の徹底という新しい生活習慣は来年一杯継続される可能性が高いですが、コロナ前の行動の自由度が戻ってくる。あらゆるビジネスの制限がなくなる。海外渡航の制限がなくなる。と思っています。
今まで抑制されていた分、憂さ晴らしのように全国民が一気に活気を帯びるでしょう。瞬間的な大バブル到来です。まずは旅行、そして宴会、イベント、目白押しになり、手帳のスケジュールがいっぱいになること間違いなしです。
それが、一巡すれば落ち着いた従来の巡航速度に戻るでしょうが、今まで使わなかったお金がたまっていますので、この消費は大いに期待できると思います。早めに企画して、早めに対策を打つ方が良いと思います。
そこで社員の年収を増やすことを提案します。コロナ前の日本は、失われた20年、30年といわれ、先進国の中で唯一経済成長ができていません。過去30年で日本のGDPはたった1.6倍しか伸びておらず先進国で最低です。
中国は34倍、アメリカは3.5倍、韓国は6倍も成長しました。一番深刻なのは平均年収です。過去30年先進国で唯一横ばい、伸びていません。国民性ともいわれるぐらい安値競争の癖が骨の髄までしみつき、工夫するのではなく安直に安売りをして、帳尻を合わせえるために最大のコストである人件費を削減してきました。
その結果、創造力や想像力が減り、リスクを極端に恐れ、自ら手を上げるよりいわれればやる無難な道を選ぶ無気力な人々を大量に生み出してきました。この責任は経営者にあります。
Afterコロナはこの悪弊を打ち破り安売りをやめましょう。価格を下げても増益できるのは、巨大マーケットへの量販や量産ビジネス、ネット通販のようなファブレス低固定費ビジネスぐらいです。中小企業が簡単に入れるマーケットではありません。強みを最大限に発揮してブランド志向で付加価値のある商品を開発し、それを喜んで受け入れるお客様を創造しましょう。それによって働く人たちが経済面だけでなく心身ともにより良い幸せにつながる絶好のチャンスです。
受け身で指示待ちを続ける方はやむを得ませんが、人一倍努力し工夫し研究する正直者が報われる会社にするのは今しかないのではないかと思っています。
いよいよafterコロナの世界へ出発です。