WHO のテドロス事務総長が、3月11日、ついにパンデミック 宣言を出しましたが、依然として中国擁護の声明を出し続け ています。報道を見る限りは、今回の事態は「中国の情報操 作」と「WHO の中国擁護」による人災といえ、その結果がだれも止めることができないパンデミックを引き起こしたように見 えます。1月23日時点で非常事態宣言を出し、渡航制限を 勧告しておればもっと様相は変わったことでしょう。 しかし、いまだに「中国以外の感染者が中国を上回った」とか 「もっと中国を見習え」とか。各国は様々な背景があり政治決 断をしているので、報道されることと異なる事実があるのは世 の常です。取り巻く環境がどのように変化しようとも、トップは 会社を存続させる使命を帯びています。真実を知る努力を 続けなければなりません。 今はまさに目に見えない「ウイルス」との細菌戦と「政治的思 惑」の情報戦の2つの戦時中だと認識すべきです。
ニューヨークダウ平均はパンデミック宣言の翌日、3月12日に1000$大暴落し取引中止になりました。その後何度か危機 を迎え、ついに 3月17日に3000$下落しました。 1000$~3000$の大暴落で取引中止したのは 3月に入り3 回も あります。野村証券のスペシャリストが、ダウ平均のような大 暴落現象が起きる確率を計算しました。その結果、「1600億 年に一度の確立で発生する」そうです。宇宙が誕生して450億年ですので、1600億年に一度の確立というのは、「あり得 ないことが起きた」という解釈になります。これはAI ディーラー を使ったプログラム取引の弊害だそうです。人間がやっておればここまでの事態にはならないそうです。
一方、日本でも3月12日のアメリカの最初の大暴落を受けた 翌朝、3月13日の金曜日に1割近く下落し、日経平均は一時17400円台を付けました。新聞の株価紙面はほぼ全株白 抜数字(昨年と比べて最安値又は最高値の時に表示される) に覆われました。白抜数字になっていない銘柄は医療関連 だけです。 この紙面は終わりの始まりだと思い記念に取っておきたいと思 います。今後数回このような紙面を見ることができるでしょうが、 とても怖い紙面です。
私は仕事の関係上、顧問先に強い利害関係を持つ上場企業 と移動でお世話になるANAの株式を少しですが所有していま す。今回のような世界的危機の局面分析や顧問先で起きている現象と株式市場で起きている現象との比較やタイムラグ、四 半期ごとの決算短信や株主総会資料を入手することで今後の 戦略を見通し、顧問先の経営判断の一助にする目的で購入し ています。今回は、ものの見事に、どれも時価総額が目減りし、 損失を抱えました。
日本では様々な感染防止策の効果もあり、3月19 日には、地 域差はあるでしょうが、異常な自粛ムードは若干緩和されてゆくことを期待しています。宝塚歌劇団のように、感染防止に最 新の注意と対策を行い、再開しても、何らかの圧力や風評被 害で再中止せざるを得ないような事態は減ってゆくのではないかと思います。 4月になると学校の再開、イベントの再開が行われることを期待 したいです。休校休職や介護休職の助成や消費税減税、納 税留保等の救済策がとられることでしょう。しかし、渡航制限は安全保障問題なので時間がかかりそうで す、そうなるとサプライチェーンの復旧は GW 以降の重要課題 だといえます。中国の生産稼働は徐々に進んでいるようです が、部品の多くを中国に依存しているセットメーカーの生産は 相当ずれ込み、受注キャンセルが相次ぐ可能性があります。突然の供給停止が発生したり、納期未定通告が出たりすると、 予定していた売上高がゼロになり、黒字決算が一気に赤字決 算になってしまう企業も続出するでしょう。
サプライチェーンの足が長い製品を扱う企業の場合は、どこで 何が起きているかの把握が困難で、中間流通が読めない状況 は続くでしょう。そうすると、できることといえば、固定費を押さえ つつ、資金手当てをしっかりとする以外はありません。与信対 策は一層神経質に、基本に忠実に行わねばなりません。取引 先のトップの人物を評価し、決断力の有無、組織がうまく機能しているか、見極めねばならない局面に、少しづつ近づいてき ています。