No.768 ≪勝敗は情報力の差で決まる≫

アベノミクスが動き出して6カ月が経過します。三本の矢は次々放たれ、最後の矢は成長戦略の矢で、最も高度で、難易度が高く、利害が相半ばする政策です。輸出企業が1円円安になると30億増益になるような形式的で計算上の利害ではなく、実質的な企業の力を求められます。この政策は規制緩和を伴いますので、法律や制度の変更や改廃があります。既得権益を享受している業界や企業にとっては大変困ったことになりますし、新規参入を考えている企業にとっては絶好のチャンスとなります。これらの議論は政府の審議会や協議会ですでに学識経験者や有力経営者をあつめて開催されていますので、比較的オープンな情報として広がっています。しかし、コアになる情報はコントロールされていることが多いので、できる限り、多くの経営者やセミナーで情報を収集し、今までの知識や情報を総合して、想像力を活かして、類推する必要があります。


今回は医療の混合診療や農業への株式会社の参入が解禁されると思っていましたが、除外されてがっかりしました。
日本や世界をさらに良くするために変革しようと国益をかけて壮大な変革実験を行っています。関係者は必ず成功させる信念で取り組んでいるでしょうし、経済はその本気度を見極めながら、環境に適応した半歩先の手をうたねばなりません。個々の会社が抱える問題の種類によって打つ手が違ってきますが、何を捨て、何を取り入れ、何に力を入れるかをこれらの情報分析と情報総合で導き出して、行動に移さねばなりません。その結果、対立や競争が発生し、破壊し合い、勝敗が決まり、淘汰が進みます。これは避けては通れない現実です。


この状況の中で、わが社の現状認識をしっかりと行い、強みと弱みと課題を把握し、どうすればいちばん強みを生かせるかを、社員全員の智恵を振り絞って解決策を見つけなければなりません。それぞれの立場で情報を収集し、報告連絡相談を徹底し、提案し、衆議を尽くして決断することです。情報社会はチーム力が決めてです。スタープレーヤーやワンマン経営者だけでは組織は動きませんし、生き残れません。
社員一人ひとりが有機的に機能的に融合する細胞戦の時代になっています。体力に任せて勝負を挑むような組織や国はいずれ限界が訪れます。柔軟にしなやかに、良心に忠実に、汗臭い人間性をぶつけ合い人間関係を改善し、信頼関係を確立する必要があります。勝てばなんでもありの人の道に外れた会社はベクトルが合わないためもろいものです。


世のため、人のため、自分の仕事がいかに価値あるもので、社会に貢献しているかが実感できると、気持ちが前向きになり、やることなすことすべてうまくゆきます。組織のリーダーは社員一人一人、細胞一つ一つに働きかけ、モチベーションを高め、一人ひとりを大事にすることで、一人ひとりが平常心を涵養し、偏った情報や考えに毒されることなく、物事の本質をあるがままに見つめて、情報収集し、分析し、総合してゆくことができるようになります。本物の情報を良心のフィルターでろ過し、進むべき方向が見えてきます。そうすると、やらせられているのではなく、やりたくてウズウズしてきます。
そうなればトップは決断を下し、一人ひとりをフォローすればよいのです。会社は質の高い情報を収集する力の差で勝敗がきまるのです。