No.1165 ≪天のメッセージ≫-2021.6.10

昨年2020年7月11日に「易」で天に問いかけました。改正新型インフルエンザ対策特別措置法に基づく我が国最初の「緊急事態宣言」が安倍総理により2020年4月7日に発令され5月25日まで48日間続きました。
この宣言期間中に中小企業及び個人事業主に持続化給付金が支給され、そのずさんな欠陥に気づいた専門家による詐欺を横行しました。解除後もコロナ禍は一進一退。さらに梅雨の前後には九州で激しい豪雨被害が発生し、日本はどうすべきか天に問いかけたかったからです。あれから約1年が経過しその時の天のメッセージ(易卦)がどうなったかを確認したいと思います。

易は古代中国人が宇宙や自然及び社会、国家の森羅万象の膨大な事例を記録し、そこから法則性を導き出して真理を探究し体系化したものです。変化にポジティブ対応するための実践行動指針とし、天下国家の行く末やリーダーの判断の元となりました。きわめて有益な実証科学です。当時の世界最先端の科学書であった「四書五経」の一つ「易経」がそれです。近代的な易を完成させた周の時代から約3000年。しかし、生命をも創造せんばかりに進化した21世紀の科学技術といえども、宇宙(天)の造化にははるか及びません。宇宙(天)の化成、造化は人類のはるか先をいっています。易はその天に問いかけるものです。

さて、天への問いは「日本はコロナ後も豊かで便利な社会を目指すべきか?」でした。
結果は「沢天夬(たくてんかい)」と出ました。意味は「まず自らの非を改めて、足元を固めてから進め。無理やり強制してもうまくゆかない。戦略を提示しても、タイミングが悪く、時期尚早で、力も弱い。軽挙は失敗で、うまくゆかない。よく戦略を練り直して、最悪の状況を想定し、警戒する必要がある。いかなる不慮の事態が発生しても心配ないだけの準備をしっかりとして、何らかの外的勢力による攻撃があってもそれを防御する力を充実しなければならない。必要な場合は、敵中の懐に飛び込んで意表を突くぐらいでないと。その結果仲間や国民から叱られてもそれぐらいの勇気が必要だ。しかる後に、共鳴する仲間や同盟国と共に行動する段階に入る必要がある。多くの人は従来の価値観から抜け出せない。よくよく考えよ。」
この1年間、医療崩壊を防ぐという大義名分のもと飲食業を中心に時短営業、アルコール提供中止、外出自粛を要請し続けていますが、世界一政府の指示に従う日本国民といえども我慢に限界があり、次第にその要請には従わない人が増えています。補償は現実離れした少額で、しかも支給されるまで4か月以上の長期にわたるのでは無理もありません。対策は場当たり的、成り行き任せ、責任転嫁合戦の感がぬぐえません。日本一優秀な人たちが官僚になっていると思っていますが、その優秀な官僚を動かす政治家がそうでなければうまくゆきません。まだ自らの非を改めて足元を固めているとは言えないようです。

大所高所からみた判断(綜卦)は「天風姤(てんぷうこう)」。「皆から尊敬される中正の徳を持った社会を目指せ。立派なビジョンや信念をもって自制することで結果的に物事がうまくはかどる。角と角を戦わせるような社会は天の望むところではない。互いに消耗戦に入り、後年、にっちもさっちもゆかなくなる。」
今は「非常時」です。「戦時」と言っても過言ではありません。そんなコロナ禍の中で「尊敬される中正の徳」とは何か? 国民や企業の期待を裏切り、いち早く潤沢な給付金を届け、補償を充実し、難解な事前手続きを事後確認に変える。国産治療薬や国産ワクチンの特別採用の道を開く。一刻も早く「安心安全」を届けることだと思います。
残念ながら、この1年間、すべて逆です。ケチケチした給付金を難解な手続きで諦めるのを待ち、やっと受理されても気の遠くなるような時間を待たせる。日本製の薬品がアメリカで承認されても日本では承認されない。ポリオワクチンやミドリ十字薬害はあったにせよ、「羹に懲りてなますを吹く」ことが尊敬される中正の徳なのかどうか。
また、ワクチン接種は総理が頑張られたのでしょう、頑強な抵抗勢力であった日本医師会もスキャンダルで沈黙せざるを得ず、今では看護師はもちろんのこと、歯科医師、薬剤師、救命救急士まで打ち手とすることで一気に接種率が上がっています。挙句の果てに大規模接種会場はガラガラでワクチン余剰が出ているとか。生鮮品同様賞味期限が短いワクチンをどう有効に使うか、知恵の出しどころです。やればできるのに、なぜ最初からそれができないのか?

では、行き詰まりを打開するにはどうするかを問うた変卦は「雷天大壮(らいてんたいそう)」と出ました。
その意は、「願い事は大いに適う。但し、正しい道を守り続けた場合にのみ利あり。最初は浮足だってしきりに進もうとするがうまくゆかない。それでも初志を貫徹すればうまくゆく。リーダーは慎重に冷静に着実に進まねばならない。抵抗勢力が勢いをつけようが気にかける必要はない。初志貫徹すべし」という意味です。
コロナ禍における「初志」とは何か。省庁が省益を堅持するために各省バラバラで政策を遂行する。横の連携は全く取れていないのをデジタルで横ぐしを刺して、デジタルによって一本化する。そして皆が驚くほどスピードアップする。少なくとも1週間かかっていたものならば宅配ピザ並みの時間で、コストも重複の無駄と人手の無駄をなくし1/100の低コストで解決する。デジタルによって国民や企業の安心安全を目に見える形で進めることではないかと思います。多すぎる役人はもっと人が足りていない部門に異動する。 さらに御用商人が付け入るスキを塞ぎ、御用商人だけが潤う「江戸時代の悪代官方式」をデジタルによってガラス張りにすることが重要だと天は示しているように思いますが、皆さんはどう思われますか?