『人間は宇宙の進化と向上に順応するために生まれてきた』。森羅万象はよりよく進化するためのプロセスだ。 コロナのおかげで、だれもが一日24時間では足りないと思っていたら、こんなにもありあまる時間があったと気づき、なんと今まで無駄に生きてきたかと反省し、哲学者のように真理の追究に余念がないように思います。とても良いことです。 突き詰めれば、人間が生きてゆくうえで必要なモノは「衣食住」、だれにも必ず起きることは「生老病死」、生きていることを実感するのは「喜怒哀楽」です。一人ではできないことばかりです。
私が高校生の頃、3つ上の姉が19歳の春に急性心不全でなくなりました。その日の朝はいつもと同じように食事をして、いつもと同じように「いってきます」「いってらっしゃい」と出勤して行きました。夕方帰ってきたときは冷たくなっていました。明日は永遠に続くものと思っていた中での、まさかの突然の中断です。 そこから「私達は何のためにこの世に生まれてきたのか」この素朴で大きな疑問のヒント探しが始まりました。人生の折り返し点を迎えるころ、疑問に対するヒントを与えてくれた書籍に出会いました。故 森信三先生(神戸大学教授)と故中村天風先生です。
森信三先生の教えの原点は「人生二度なし」。 口述録「父親人間学入門」(寺田清一編)に、ヒントがありました。
「(1)我々人間は自分自身の意思と力によってこの地上に生まれてきたのではなくて結局、大自然というか絶大無限な宇宙生命によってこの地上にその生を与えられたというほかない。
(2)従って、又我々人間と言うものは大宇宙意思によってこの世へいわば派遣せられたものといえよう。
(3)我々人間ならびに万有は一体何故この世に出現せしめられたのか。それはいわばこの地上の栄のためでありさらに全宇宙の栄光のためであろう。
(4)何のために私という一個の人間がこの世に派遣せられたか。自分に課せられたこの世の使命を知るのが、一 人一人の人間各自にその責任が有り、それこそ 第一の任務である。
(5) この地上へ派遣せられた自らの使命感の自覚は人生の二等分線-40歳前後-を超える頃であり、しかもそれは死の寸前まで深められねばならぬ。」
また、中村天風先生は口述録「運命を拓く」(講談社)で、こうも語っておられます。
重い肺病の治療法を探して世界中を旅して、何の解答も得られなかった失望で「日本で死のう」 と帰国する途中、エジプト・カイロでカリアッパ師に見出されインド・ヒマラヤのカンチェンジュンガ山に連れて行かれ修養する事になり、ある時カリアッパ師から「おまえはこの世に何をしにきたのか知っているのか」と問われて答えに窮して、悔しくて、考えて考えて考えて、瞑想を続けて半年後に出した結論をカリアッパ 師にこう答えました。
「『今日は人間が何しにこの世に来たか、という質問の答えを持ってきました』
殴られるのを覚悟だから一間ばかり距離を置いて手が上がったら逃げだそうと思っていた。
『人間は宇宙の進化と向上に順応するために生まれてきたのだと思います』すると先生がニコッと笑って『うん、良く出来た』 この時は嬉しかった。つまり人間はそれ自身、この宇宙の創造を司る造物主と称する宇宙根本主体である宇宙霊と自由に結合しうる資格を持っている。と同時に共 同活動を行う一切の力が与えられている。
これを理解して活きる者は生きがいのある人生を創りうるのである。
この悟りが開けて以降は、人生は『天馬空を行く』状態である。他の追従を許さない幸福で毎日を活きているのである。だからいかなる時 でも忘れてはいけない。
『不孤(孤ならず)』自分と言う者は一人でいるのではない。常に宇宙霊というものに包まれていてしかも宇宙霊は全知全能の力を持っている。それと結びついている生命を自分が持っているのである。」
この半世紀で、私たちは人類史上かってない繁栄を築き、その真っただ中にいます。科学技術が飛躍的に進歩し、数々の病を克服し、生活は便利で快適で豊かになりました。その結果、世界中に著しい貧困格差が生じましたが、それでも人口は倍増しています。
そして、新型コロナウイルスが蔓延し、世界は一瞬でフリーズしました。国は鎖国化し、都市 はロックダウンされ、人々は#STAY HOMEを求められました。これは何を意味するのでしょうか。
アフター・コロナはどうすればよいのか。一つ の方向性は、「原点回帰」「シンプルライフ」「自然に帰ろう」。 企業は規模の追求から解放され、存続に必要な 利益を残し、あとはより良い社会の再構築のために分配する。世界70億人のシンプルライフ で消える市場、生まれ市場があります。わが社 は、何をするか、何ができるか、哲学的追求が 必要なのではないかと思います。