2020 年も1 月が終わってしまいます。やるべきことは予定通り進んでいますか?
昔の人は言いました。「1 月はいぬ、2 月はにげる、3 月はさる。やるべきことがあれば、先延ばしせずに早くやりなさい」。年が明けるとあっという間に時間がたってしまうので気を抜いてはいけない例えです。
4 月が年度始めの会社も多いでしょう。4 月に年度を始めるためには、全社計画の骨子となる社長方針は2 月中旬には完成していないといけません。大きな組織では1 月中に完成させねばなりません。
完成した社長方針を最高意思決定機関である役員会や幹部会で発表し、それをもとに部門責任者は部門に持ち帰り部門幹部で目標達成するための方策を討議し、具体策にまとめてゆきます。次に個人計画に落とし込み、社長方針、部門方針、個人方針が一気通貫するようにします。
そして、3 月のしかるべき時に全社員が一堂に会して「経営計画策定会」を開き、各部門の計画を発表し共有し全社でシナジー効果が最大になるようにすり合わせを行います。この場での指摘事項を反映した部門計画をもとに、経営計画が完成します。この経営計画を、しかるべき場所で「経営計画発表会」を開き内外に宣明し、年度が始まります。
年度末の締めくくりと新年度の計画づくりを同時に進めないといけないので、猫の手も借りたいほどに忙しいことでしょう。担当者としての目標も達成しないといけません。
段取りのよい部門長は、皆があわただしく動いているこの時期に、普段と変わりなく粛々と仕事を進めています。社長方針が出る前から、社長になったつもりでどのような経営方針を取らないといけないかを日ごろから考えています。トップとの経営方針に関する議論も日常的に行い、市場の状況についても顧客訪問で情報収集し、適切な外部情報を活用しながら、自分なりに整理しています。部門メンバーとは、SWOT 分析を行うことで環境分析と環境ニーズを共有しています。SWOT 分析は、S(同業他社に比べてわが社の強いところ)とW(同業他社に比べてわが社の弱いところ)とO(外部環境の変化の中でわが社にとってチャンスとなる変化)とT(外部環境の変化の中でわが社にとって脅威となる変化)の4 つを分析する手法のことです。経営計画策定においては非常に有効な分析手法です。
これらのステップで分析すると、わが社は何をしなければならないか、わが部門は何をしなければならないかが見えてきます。課題が明確になれば、打つ手も明確になり、もっとも適材はだれで適所はどこかが見えてきます。適材となる人材との協議を日ごろから交わしながらアイデアを引き出すと同時に動機づけも行っていきます。
すると、社長方針が発表されても、大きな狂いはありません。環境の激変で新たに追加される社長方針にも柔軟に対応できます。
経営計画策定会は、日ごろ個別に行ってきたコミュニケーションを他部門メンバーも含めて一堂に会して共有する場になります。目標の整合性や期限の調整を図ることが中心で、どのようにすればもっと効率的にできるかを議論する場になります。
もう、新年度の行動が始まっています。このような部門長は目標達成意識とその実績が高いですし、トップとの信頼関係も強固です。そして、有言実行ができています。説得力が違います。社長はこのような部門長を育成する責任がありますね。
全企業を対象に、罰則付きの残業時間の上限規制が4 月から始まります。1 年間の猶予期間が終了します。これからは先手先行前倒しをどれだけ行えるか、仕事の仕方をどう変えてゆくか、そのために必要な手法やツールをどれだけ積極大胆に導入できるかで業績が決まってきます。仕事を追いかける体制を体質化しないと利益はみるみる減ってゆきます。社内政治に明け暮れる愚を避け、過去の実績を尊重しつつも、こだわらず、年齢やキャリア、性別、国籍に関係なく、社会をよくするために、ひいては会社の利益を上げる人材を評価し、限られた時間と労力をつぎ込まねばなりません。仕事に追いかけられている間は、泣きっ面に蜂で、業績だけでなく罰則までついてきますので、社員の定着が悪くなります。
早く・早く・早くの3S(SPEED・SPEED・SPEED)がとても重要になります。部門長の力量とトップの覚悟が試されるのはもうすぐそこまで来ています。