勉強熱心な皆さんはすでにご存じだと思いますが、今年は太陽黒点数が最大となり太陽フレアが多数発生します。太陽表面の爆発により放出される電磁波は8分で、高エネルギー粒子は数日で地球に到達すると言われています。太陽の黒点(太陽フレア=磁気嵐)の増減は約11年周期と言われ、中でも今年の7月ごろが計算上のピークとなるのではないかと多くの研究所が警告を発しています。
太陽フレアは磁気嵐を伴い、高度に電子化した現代社会に甚大な被害をもたらす可能性があることがわかっています。
最悪中の最悪の被害としては世界中のどこかで発電所の機能が破壊されますので大規模「停電」が発生します。電気で動いている様々な機器が停止します。通信機器は一番脆弱です。GPSもエラーを起こします。GPS信号を利用しているあらゆる移動インフラ、つまり航空機、船舶、鉄道、空飛ぶタクシー、EVを含む自動車等はエラーを起こして安全面で使用できません。スマホ、PCはいうに及ばず、それらコンピュータ制御の電子機器は使用不能または誤作動を起こします。ドローンやロボットは制御不能になる可能性があります。夜は照明がないので真っ暗です。交通網は途絶します。クーラーが使えないので夏は熱中症、冬は凍死リスクが高まります。銀行は閉店状態、ATMは使用不可、キャッシュレスはネットが不通で使用できません。局所的に発生する自然災害の比ではありません。自家発電機、携帯用ガスコンロ、電池、ろうそくやマッチ等は防災グッズと同じ発想で準備が必要です。そうでないと、一気に原始時代に戻ってしまいます。
記録がある過去最大の被害は1859年の「キャリントン・イベント」で磁気嵐の影響で電信機器に過剰な電流が流れて損傷、電報用紙が自然発火しました。
最近では1989年3月に発生したカナダ・ケベック州周辺で9時間に及ぶ停電が発生し、600万人に影響が出ました。9〜10月には10基以上の静止通信衛星が障害を起こしました。いずれも高度な電子化された時代ではなかったためこの程度の被害で済んだと言えます。
太陽の黒点や太陽フレア、磁気嵐、オーロラは世界中の天文学者や科学研究機関で古くから観測されてきました。太陽の黒点を記録した世界最古の書物は「易経」のようです。当時は肉眼で見えたようです。さらに、「太陽に三足烏(ヤタガラスかも?)がいる」と解される記述が「淮南子」(BC167)にあります。
京都大学や極地研究所が面白い研究をしています。過去の文献と太陽黒点の発生により発現するオーロラの影響をうけた樹木年齢の炭素同位体データを突き合わせて太陽の黒点の周期を実証しています。記録と周期はぴったりと一致したようです。以下は論文の一部です。
「藤原定家(1162-1241)の「明月記」や仁和寺の「御室相承記」には、1204年2月21日から23日に、京都でオーロラが見えた記述があることが先行研究の検討から知られていました。中国の歴史書「宋史」には、同じ2月21日に、太陽に大きな黒点が観測されたという記述があります。これらの記述は、現代的な観測データから推定する限り、太陽から噴き出たコロナ質量放出(太陽フレアと呼ばれる爆発に伴って、大量のプラズマが太陽磁場を引き連れて一気に宇宙空間へ噴き出す現象)が何度も地球に直撃することで、大きな磁気嵐が単発で終わらず何度も発生する「連発巨大磁気嵐」が起こっていたと考えられます」
また、ヨーロッパではガリレオたちが研究して以来400年間にわたり研究が続けられ黒点の数の増減が11年周期だと実証しています。しかし、なぜ11年周期なのかはいまだに誰もわかっていません。
超便利な時代は超電子化された時代です。記憶することに長けている人間の脳はどんどんと退化しています。
ちなみに電話番号をいくつ覚えていますか? 何人の誕生日を覚えていますか? スマホなしに住所の場所にたどり着けますか? 手書きで日記を書いていますか?
私は電話番号も誕生日も手書きの手帳を見ないとわかりませんので恥ずかしい限りです。文明の利器を利用しつつ、頭脳もフル活用することが一番の対策かもしれません。