No.1404 ≪高市政権に期待する≫-2026.2.12

永田町は伏魔殿と言われますが、政治の世界は何が起きるかわからないものだとつくづく思います。その政治が経済に優先するのですから、経営者は無関心でいるわけにはまいりません。

今からたった15か月前に起きたことを皆さんは覚えておられますか? 2024年9月27日の自民党総裁選の一次投票で断トツトップだった高市早苗候補に、決戦投票で逆転勝利した石破茂候補が自民党の新総裁に選ばれました。「なんで?」「どうして?」が正直な感想でした。その瞬間の高市早苗候補の驚きと悔しさの表情! 当時の自民党の議席は261議席、公明党が32議席で、連立政権は余裕で過半数を確保していました。数は力です。
9月30日の自民党新総裁会見の時に、「(解散するにしても)全閣僚が出席する予算委員会まではやる」という総裁選での前言をあっさり翻して、10月9日解散、27日投開票をいきなり明言されました。まるでマリオネットのようで、まだ総理にもなっておられませんし、能登地震の復興もままならない時期に解散宣言とは。唖然としました。とても支持できないと思いました。
それでも私はメルマガ(NO1332:2024/10/02)で、ハチャメチャな解散をしてまで石破元総理が信を問おうとしたのは「日米地位協定を(本気で公式に)改定する」と宣言されたその一点ではないかと信じて支持し、期待しました。政権発足すると、それは、完全に封印されて「地位協定」のちの字もおっしゃいませんでした。あとは推して知るべしで、裏切られた気持ちでいっぱいでした。選挙公約は当選すれば修正するのが政治の鉄則だそうですが、SNS時代では時代錯誤の気がします。

この時の総選挙の結果は、自民党191議席、公明党24議席で過半数割れした連立政権は野党になってしまいました。結果的に首班指名で第二次石破政権が発足しましたが、衆参両院で過半数割れの内閣には遂行能力に限界があります。
外交デビューは10月にペルー・リマで開催されたAPECでした。カナダ・トルドー首相が、スマホをいじっていた新参の石破総理の席にやってきて握手を求めた時に、座ったまま握手をしている姿が世界に配信されました。武士道の国のリーダーとしては見るに堪えませんでした。
そして、2025年1月20日、アメリカではトランプ政権が発足しました。就任早々、トランプ関税発動。日本は相互関税が25%に引き上げられました。交渉役として赤沢経済再生担当大臣が10回近く訪米を重ね、7月24日にホワイトハウスから「(日本は)米国の指示により 5,500 億$(約80兆円)を投資する合意に至った」とファクトシートを発表。さらにバイデン前大統領の中止命令で停滞していた日本製鉄によるUSスチール買収が動き出しましたが、黄金株を大統領が持つという特約付きで決着。最終的に石破総理は、日米関税協定の目途が立ったという理由で退陣。

そして、2025年10月4日の総裁選で、高市早苗候補が選ばれ、史上初の女性新総裁になりました。連立政権は過半数割れ、さらに連立を組んでいた公明党が連立離脱を通告。新総裁になれても総理になれるわけではありません。紆余曲折と難産の末に、日本維新の会と連立を組んで、10月18日の臨時国会の首班指名で、史上初の女性総理が誕生し、高市政権が発足しました。臨時国会終了後に打って出た今回の総選挙のテーマは政策よりも「日本を任せるのは高市総理か、野田代表か。過半数いかねば退陣する」の信任を問いました。結果はご承知の通り、単独2/3以上の316議席で、戦後最多の歴史的圧勝でした。アメリカ的表現をすれば「地滑り的勝利(LANDSLIDE VICTORY)」を成し遂げました。一寸先は闇ではなく光だったようです。

組織運営の基本は政治も会社も同じかもしれません。つまり、圧勝したことは最高に素晴らしいですが、同時にとても高いリスクをはらんでいます。持続できなければ見限られます。強すぎるリーダーに諫言はむつかしいので問題が内部潜航し顕在化しにくくなります。明確な国家観(ビジョン)や価値判断が言語化されていると熱烈な支持者は妥協を嫌います。しかし、現実には妥協が不可欠ですので支持者が離れます。官僚は長期政権の見極めがつくまで様子見で動きが鈍い面従腹背型になります。中国のことわざ「人間塞翁が馬」「禍福はあざなえる縄のごとし」のように素直に、柔軟に、丁寧に、「悲観的に準備して楽観的に行動」していただきたいものです。

また、マニフェスト(自民党政策BANK 出所:https://storage2.jimin.jp/pdf/news/policy/212294_2.pdf )を見ると、4万語と膨大なボリュームで、下記のように、28テーマ、290政策がうたわれています。これらを実行してゆくには、信頼できるブレーンや実務を実行推進するチーム作りが不可欠です。チーム作りの巧拙で政権の寿命が決まると思いますので、ぜひとも、うまく乗り切っていただきたいと念願しています。

下記はテーマと()内数字は政策数です。
「危機管理投資・成長投資(21)」「経済安全保障(13)」「ネルギー政策(26)」「デジタル(14)」「科学技術(19)」
「所得拡大・生産性向上(7)」「金融(11)」「財政運営(7)」「地域未来戦略(19)」「中小企業(15)」「農林水産業(44)」「環境(5)」「外交(8)」「安全保障(10)」「インテリジェンス(情報の収集・分析等)(3)」「ども・子育て(6)」「社会保障(9)」「教育(18)」「文化・スポーツ(7)」「女性活躍(4)」「防災・減災、国土強靱化(19)」「災害復興(12)」「社会資本整備(9)」「生活の安全(17)」「外国人政策(12)」「多様性・共生社会(9)」「憲法改正等(5)」「行政改革・政治改革等(10)」