31年前の1995年1月17日(火)早朝5:47。未曽有の「阪神淡路大地震(M7.3)」が発生しました。死者・不明者6,437名。負傷者43,792名。全壊家屋104,906棟。半壊174,474棟。全焼7,036棟。犠牲になられた方々のご冥福と被害に遭われた方々の平安を心よりお祈りいたします。あれから、もう31年、まだ31年、やっと31年、思いは様々でしょう。目に見える物質的な景色は着実に復興しつつありますが、目に見えない精神的景色は時が止まったままかもしれません。毎年、この時期のメルマガは阪神大震災に学ぶことを書かせていただいております。あの時にわが身で体験したことは、報道で得た知識と異なり、生涯忘れることはありません。
地震発生当時の日本はバブル崩壊直後で、この世の終わりのような暗いムードに覆われていました。前年(1994年)の6月27日には不気味な「松本サリン事件」発生。10月14日に「北海道東方沖地震(M8.2)」発生。12月28日に「三陸はるか沖地震(M7.6)」発生。そして、新春の1995年1月17日に阪神大震災です。阪神高速道路が横倒しになり、バスの半分が切断された高速道路からはみ出して空中に浮いていました。神戸・三宮のあちこちで高層ビルが互いにお辞儀していました。普段は建物で見えない海が電車から水平線まで見えました。
3月20日は無差別テロの地下鉄サリン事件が発生し、死者14名、負傷者6000名以上の方が被害にあわれました。さらに、巷では、1999年7月に天から魔王が下りてきて人類が滅亡するという「ノストラダムスの大予言」がまことしやかにささやかれ、ブームになっていました。
大災害は大きな悲劇も生みますが、革新的な技術も開発されます。阪神大震災発生時、公衆電話で家族の安否確認ができたのは地震発生から8時間後でした。それも公衆電話がパンクして大行列でした。それを教訓に爆発的に普及したのがPHSや携帯電話、その後のスマホです。さらに、Windows95のリリースで今のネット社会が到来しました。メールもマニアしか使っていなかったパソコンメールから誰でも使える電子メールに変わりました。東日本大震災の時は携帯電話も無力で、システムは脆弱で機能しませんでした。そこで誕生したのがLINE、Twitter(現X)です。コミュニケーションツールだけ見ても大変化が起きました。
世の中には3つのさか(登り坂、下り坂、まさか)がありますが、当事者にならないと「まさか」の準備はできないものです。災害に巻き込まれたり、詐欺に騙されたり、事故に遭遇した時、人は「まさか自分に起きるとは思いもしなかった!」と言います。本来、何事もなく平穏な日々を送れることこそが奇跡なのですが、当たり前と思うと感謝もしません。残念なことに私たちは、わが身に災いが起きない限り、日常の平安のありがたさをかみしめることができません。本当は、何があっても不思議はないのに。
交通の途絶による帰宅困難対策、食料備蓄、バッテリー対策等のいざという時に備えようという意識が企業にも個人にも芽生え、普及しつつあるのは、阪神淡路大震災、東日本大震災、最近の大雨による大災害によるものが大きいと思います。不測の事態に備えることは頭では分かっていても、何事もなく平穏な日々を過ごしている時はついつい後回しにしがちです。
2019年末から、巷間、中国・武漢発と言われた「新型コロナウイルス感染症」が世界中に蔓延し、人々の行き来ができなくなり、世界が鎖国状態になりました。人が動けなければモノも作れませんし、輸送できませんから、世界中でモノ不足、価格高騰が発生しました。コロナ禍のおかげでBCP(Business Continuity Plan)策定する企業が急増し、企業にいざという時の防衛意識が生まれました。BCPは発生時対処だけでなく予防まで含めて、コロナ感染リスク、クラスターリスク、被災リスク、サプライリスク、サイバーテロリスク等幅広く、アクションルールが策定されます。定期的な訓練も実施され、次第に充実したシステムに成長していると感じます。
個人も企業も、天災や人災が起きて初めて『何が一番大事なのか』を頭で考えます。しかし、考えるだけではまだ他山の石、対岸の火事としか思いませんから、行動するのはごく一部の方です。ご縁のある方、例えば、友人知人、社員、取引先、お客様が被災して初めて『明日は我が身かもしれない』と考え、やっと行動に移します。
厄介なことに、しばらく何事もなく平穏に過ごすことができると、次第に優先順位が下がってゆきます。そして、ついに、わが身が体験することで初めて本物になります。その時は致命的で深刻な事態に直面している場合が多いかもしれませんね。これは人間の脳の構造がそうなっているのですから止むを得ません。予期せぬ出来事や脅威に直面した時に、それを無意識のうちに過小評価(正常性バイアスと言います)したり、無視(認知的不協和と言います)したりする傾向があります。「まさか、自分が巻き込まれるとは」「まさか、わが社が狙われるとは」「まさか、この町で大事件が起きるとは」「まさか、あの人がそんな人とは」「まさか、・・・・」
誕生日、創業記念日、結婚記念日、完治記念日、就任記念日、竣工記念日、被災記念日、愛する方の命日等、様々なメモリアルな日を大切にして、思い出を語ることで、原点に戻り、初心に返るきっかけになります。そして、何度も訓練することで脳に行動パターンを認識させて、不測の事態に対処できるようになります。
