早いもので甲辰の2024年も後1週間で幕を閉じて2025年の乙巳に引き継がれます。
安岡正篤師の「干支の活学」(プレジデント社刊)を参考に2025年乙巳とはどんな運気なのか見てみましょう。
2022年(壬寅)~2023年(癸卯)は古い体制や陋習を一掃しなければならない年でしたが、旧勢力の力が強く先延ばしや小出し、ごまかしで2024年(甲辰)末まで清算できず2025年(乙巳)を迎えることになってしまいました。旧勢力と新勢力のエネルギーは貯まりに貯まって分断と対立が強大化し普通のやり方では修復不能の一触即発の事態にまでなっています。病気でも早期発見早期治療すれば痛みも少なく治りも早いのですが、とことん先延ばしにすると耐え難い激痛を伴った成功確率1%未満の大手術をしなければなりませんね。同様のことが2025年(乙巳)は起きるかもしれないのです。
このモラトリアムの3年間で露宇戦争(2022年)、香港事件(2022年)、ミャンマークーデター(2022年)、イスラエル・ガザ戦争(2023年)が発生し、日本ではビッグモーター事件(2023年)、ダイハツ不正事件(2023年)及び自動車5社型式認証不正事件による出荷停止(2024年)、自民党パーティ券不正(2023年)、警察官ロマンス詐欺及び自衛官給付金詐欺(2023年)、ジャニーズ性加害問題(2023年)、闇バイト強盗殺人事件(2024年)、GDPが4位転落(2024年)、与党15年ぶりに過半数割れ(2024年)、トランプ大統領再選(2024年)等、分断・対立の歪みからほんの一部のエネルギーが漏れ出し表面化した結果といえます。大半のエネルギーは今も加圧・凝縮・蓄積され続けています。2025年の対処次第ではこの程度では済まないと思います。
一方、中和されこの程度でおさまっているのは、スポーツ選手のさわやかな大活躍のおかげです。日本では野球の大谷翔平選手、やり投げ、柔道、体操、レスリング、スケボー等パリオリンピック・パラリンピックでの選手たちの快挙があります。
2025年の乙巳(いっし)を理解するには、2024年の甲辰(きのえたつ)を知る必要があります。甲辰は旧体制を打破して創造の新しい一歩を進めるけれど岩盤抵抗勢力が強く思い通りにならない。注意深く、用心深く改革を進めないといけない年だったのです。それが上滑りしてしまいました。不幸にも元旦に能登地震が発生し多くの方が犠牲になり、いまだに復興の見通しが立っていません。干支の「辰」は震につながります。政治的には戦後保守体制が制度疲労を起こし停滞の30年にけじめをつけるべくもがき続けましたが小出しの弥縫策に終始し、総選挙で国民の不満が表面化して与党は大敗してしまいました。
マイナス金利が解除されたものの円安基調が続き、GDPは4位に転落しました。政府指導の賃上げ春闘は大盤振る舞いでしたが、物価高騰で実質賃金はマイナス成長のままでした。創造の新しい一歩は2025年の乙巳に先送りされたのです。
2025年の乙巳(いっし)といえば、古代史の重大事件、中大兄皇子(後の天智天皇)と中臣鎌足が、時の権力者蘇我入鹿を暗殺して政権転覆(クーデタ)させ、蘇我氏勢力を一掃して実権を握り、先進の知識を持つ留学僧の協力を得て「大化の改新」(605年)を断行した時です。旧勢力が私有化していた土地や人民を「公地公民制」で国家統治とし、戸籍を作り公民に分配する「班田収授法」を制定し、「国郡制度」「租・調・庸の税制」を施行して国家体制を中央集権化してゆきました。当時では想像を絶する大改革です。
また1905年には日露戦争にけじめをつけてルーズベルト大統領の仲介により勝利を収めた形をとることができました。
犠牲の割には得るものが少ないと国内の不満分子の暴動も激しかったのですが、この英断がなければ日本の勝利はおぼつかなかったのではないかと思います。世界のだれもが勝てる戦と思っていなかったのですから、戦費確保は深刻な問題でした。この時に獲得した韓国の権益で統監府を設置する(韓国では乙巳条約という)ことになるのですが、120年後の今年2025年はどのような日韓関係を構築するか、英断が求められます。
他にも乙巳の年の歴史を振り返ると乙巳の年は、徳川幕府が新しい体制を確立したのが1605年、源頼朝が平家を亡ぼし鎌倉幕府体制を確立したのが1185年。乙巳の年は従来の「何もしない」「先延ばし」「姑息な手法」にけりをつけて新しい創造の年にしなければなりません。
企業とて宇宙の子である以上、同じようなエネルギーが満たされますので、それを避けて通ったり、無視したり、ゴマかしたりするとそのツケは取り返しようがなくなります。社員と取引先と社会とよくするために、長年の懸案にけりをつけ、思い切った抜本的構造改革、事業再編を進め、新しいステージに向かう年にしなければなりません。