No.1327 ≪強気のプラス言葉が環境を切り開く≫-2024.8.28

「悲しいから泣く」のか「泣くから悲しい」のかという心理学の古典的命題があります。皆さまはどちらだと思われますか? 正解は「泣くから悲しい」です。意外に思われるかもしれませんが、まず情動(身体反応)が現れ、偏桃体がそれを認識して感情が現れることは脳波の研究から科学的に証明されています。「情動で感情を統制する」。これは経営でも使えます。

例えば、会議を始める時、「姿勢を正して!起立!礼!(お願いします)」とけじめをつけますね? まず情動を起こして、感情を整えるのです。やる気が出ない時、握りこぶしを高くつきあげて「よーし、やるぞ!」と声に出せば、感情がついてきてやる気が起きます。経営決断に迷った時、両手で机を「バンッ!」とたたいたり、指パッチンを鳴らして「よしっ、これで行こう」というのも同様に効果的です。情動を起こせば感情がついてくるのです。情動は喜怒哀楽と恐怖ですから、喜楽を中心に情動を起こせばよいのです。「ああ、楽しい」「これ、面白い」「とってもうれしい」「やってみたい」と気楽(キラク)に思えばよいのです。
5年計画(一般的には中期計画と呼ばれています)をデザインする時、あなたは、今までの実績を踏まえて毎年5%UP、5年後1.3倍で計画しますか? それとも倍増しますか?
私はVW式、つまりVサイン、Wサイン、すなわち2倍3倍増をお勧めします。できれば10V、10Wが良いのですが。
「5年で倍増なんて現実的ではない。強気はいいが、根拠のない絵に描いた餅になっては意味がない。必ず達成できるもっと地に足の着いた計画を立てないと世間から笑われますよ」と言われます。
確かに、上場企業ならQ単位で年度計画差異が売上高で10%以上、営業利益で30%以上ある場合は記者会見で修正する必要があります。これによって株価が変動するのですから慎重にならざるを得ません。未上場の中小企業には必要ありません。
私は「ならば、あなたはできて当たり前の現実的な5%UPなら達成できるのですね?」と反論します。多くの方が経験していることですが、現実的な計画はほぼ達成できません。なぜだかわかりますか?
「5%UPならもうちょっと頑張ればなんとかなる」と思えるので、やり方を変えないで従来路線の延長上で乗り切ろうとするからです。今まで手抜きしていたなら別ですが、今までも一所懸命に頑張ってきたはずです。それを毎年5%UPして頑張り続けるのは苦痛以外の何物でもないのではないでしょうか?
VW式は、直感的に「今までのやり方では無理だ」とすぐにわかります。やったことがないことにチャレンジするしかない。遊び感覚になります。同じやるならワクワクする楽しい計画の方が面白いし、楽しいです。
楽しい計画に向かって、やり方を変える、新分野に参入する、世界進出する、市場を変える、DXで無人化する、設備投資をする、新製品を開発する、販路を変える、ドメインを変える、新しい取り組みをする。楽しい未来からバックキャストして今を変えてゆくのです。
1年先はおろか1か月先の環境すら予測できないVUCAの時代です。まして5年先です。楽しくなくては続きません。

思念は実現するという「鏡の法則」があります。これはご存じのように、私たちの頭上には鏡が広がっていて、プラスやマイナスの強い思念はそっくり未来に投影し、現実化することを言っています。
こうなってほしいと強く願ったプラス思念は鏡に反射して未来に現実化します。
一方、なってほしくない不安や恐怖のマイナス思念も同じように鏡に反射して未来に現実化します。
この「鏡の法則」のエンジンは潜在意識です。私たちはだれもが顕在意識と潜在意識の2つの意識を持っています。潜在意識は何事も現実化させることができる万能機械とも呼ばれています。潜在意識を活性化する最も有効な方法は「瞑想」です。その時に注意が必要です。マイナス思念はプラス思念の最低でも4倍以上の強さを持っています。特に恐怖はすごいパワーを持っていますのでプラス思念は相当強くなければ現実化するまでに時間がかかったり、現実化しなかったりします。
例えば、「こんな会社にしたい」と瞑想しながらプラス思念を固めてゆきます。こんな会社の中身は社員や社員の家族の笑顔、お客様や仕入れ先の社員の笑顔、社会から尊敬されているビジョンを具体的にイメージするのです。数字は念仏のように「社員の年収2000万、法人税は5億円、日本一の〇〇社」みたいに唱えるのです。強気で、大ぶろしきで、ポジティブに。そうすると、必ず、もう一人の元気なあなたが歌を歌いながら登場します。「そんなの無理無理、できっこない。あのライバルを追い越すなんて、そんなの無理無理、できっこない。無駄なことはやめなさい」
それを意に介さずにプラスイメージを描き続けるのです。そこで初めて潜在意識があなたの本気度にスイッチが入るのです。

一方、最も強い思念は「恐怖」です。「恐怖」には人それぞれの種類があるでしょうが、いったん「恐怖」に魅入られてしまうと脱出することは至難の業です。「恐怖」の入り口は不安とマイナス言葉です。不安は「もし病気になったら」「もし赤字になったら」「もし失敗したら」という漠然としたイメージ、マイナス言葉は「苦しい」「つらい」「悲しい」「できない」「難しい」・・・。不安は妄想を呼び起こします。マイナス言葉は口に出すことで耳から脳に伝わり記憶されます。いったん記憶された情報は取り消せません。潜在意識のスイッチが簡単に入ってしまいます。
しかし、不安もマイナス言葉も予防できます。不安はできるだけ具体的に書き出します。おそらく人間が解決できる不安は数個だと思います。また、マイナス言葉は飲み込み口にしないことです。また、そのような恐れのある人や場所に近づかないことです。そうすると相手(恐怖のことです)も守りができていない人を探しに行きます。だから、いつも楽しいことをイメージし、よりよくなるように瞑想し、プラス言葉だけ発するのです。それも強気で。

強気のプラス言葉で自ら環境を変えてゆきましょう。