No.1312 ≪実は、中小企業は儲かるのです≫-2024.5.16

最新の中小企業庁の統計によると日本には会社が約359万社あり、調査の度に減少して過去7年間で約62万社(約△17%)少なくなっています。そのうち平均従業員1300人以上の大企業は約1.1万社(0.3%)、残りが平均従業員9名の中小企業が約358万社(99.7%)あります。不思議なことに99.7%という中小企業の割合や平均従業員数が9名という数字は10年近く変化がありません。理由は個人事業主又は従業員数名の小規模事業主が増えたり減ったりして調整弁になっているからです。従業員10名以上1000名未満の中小企業は約53万社とほぼ一定していますが、平均従業員数は約50名から40名に減少しています。ある以上の規模になると従業員数は増えてゆきますがそれまではなかなか成長は厳しいものがあります。ある一定規模とは私の感覚では10名です。10名を超えると会社としての総合力が発揮され、従業員数も増加に向かいますが、それまでは属人的で生業レベルから脱却できず成長は難しいものです。

中小企業の社長の平均年齢は年々0.2歳づつ上昇し、帝国データバンクの2022年の調査では60.4歳です。60歳代の社長の割合は26.6%、70歳代の社長の割合は20.2%、80歳代以上の社長の割合は5%と高齢化しています。日本の産業の中で最も若い経営者が多いサービス業でも58.9歳です。これは親族ですら事業を継ぐ魅力を感じていないためで、経営責任を負って後継経営者になるよりそれなりに安定したサラリーマンを選択する人が多いからだと言えます。

また、国税庁の会社標本調査によると、赤字会社の割合は60%を超えています。中小企業は好景気の恩恵を一番後に受けて、不景気の影響を一番最初に被ります。まるでジャンボ機の後輪同様、一番最後に離陸し、一番早く着地するのです。

これらの統計資料だけ見ると、まるで「良いことなし」に見える中小企業ですが、とても「良いこと」があるのです。実は、中小企業は一番儲かるのです。

中小企業というと、頑迷固陋な高齢化企業が蔓延し、とても見通しの悪い近未来しか見えてこないように思われるかもしれませんが、頑迷固陋に経営をしてきたがゆえに、品質に優れ、良い仕事をする職人企業が多いことも事実です。地域に愛され、地域の高齢化とともに命を終える企業群は、見方を変えると、これほどの有意義な社会資源はまさに金鉱脈に匹敵するかもしれないのです。

ある会社は、年老いた両親から巨額借金で破産寸前の旅館を継いだ嫁は週4日だけ営業する高級旅館に変身させ、いつの間にか無借金の高収益企業となりました。
ある会社は、年老いた廃業予定の父親から鐵工所を継いだ息子は父親の加工技術を全く別の視点で評価して、高付加価値の製品にすることで国内だけでなく世界中から求められる企業に変身しました。
ある会社は、自社の商品ではなくお客様の困りごとにおせっかいばかりやいているうちに本業以外のサービスが口コミで広がり新事業を展開して、寺院向けクリーニングでは国内最大企業に変身しました。
ある会社は、機械が故障してどこに電話しても取り合ってくれず困っていたお客様の電話に1分以内にエンジニアから返電し、24時間以内に現地を訪問することで、絶大な顧客の信頼を得て、地域NO.1企業になりました。
従来の延長線上に経営してレッドオーシャンに沈むと行き詰まりますが、誰もが見向きもしなかったブルーオーシャンに視点を変えて価値を見出すと高収益企業に変身します。中小企業にはこのような原石が無数にあるのです。

成長の足かせとなる小規模から脱却し、まずは従業員数10名以上にすることです。アルバイト、パート社員、契約社員、兼業社員、外国人等どのような方でもOKです。極力、若者、よそ者、馬鹿者を集めてまずは10人以上にするのです。一人の非凡なスーパーマン経営者より10名の凡人社員の方がはるかに価値があります。それはチーム力のなせる業です。非凡なスーパーマンは一人で10人分の仕事をするかもしれませんが、10人の凡人は互いに影響しあい10×10=100の潜在力があるからです。その中から非凡なスーパーマンが何人も育つのです。

従業員数を増やすには仕事、つまり売上高を増やさねばなりません。安売りで売上げを上げることは簡単ですが倒産街道まっしぐらですので絶対厳禁です。他社にない、顧客の「5不」を解消する商品、サービスで売上高を増やさねばなりません。「5不」というのは「不足、不安、不満、不便、不快」です。他社より少々高くても小回りが利いて納期が早く面倒見もよい。他社より少々高くても無理を聞いてくれるし仕事が丁寧だ。他社より少々高くても困ったことを一緒に考えてくれる。

このような技術と地域に根差した信用のある会社を引き継いで、再活性化させれば、ゼロからスタートするよりもはるかに魅力的な会社を短時間で作ることができるという見本です。日本の中小企業はまだまだ捨てたものではないのです。何に価値を見出し、何を売りにするか、まだまだ私たちがやらねばならないことは沢山ありそうです。中小企業は間違っても大手企業の住む世界に入ってはいけません。分を知り、NO.1になれる最適の市場や分野を発見し、育てて、大手企業が入ってこれないような工夫と努力が必要です。

中小企業は一番儲かるのですから。