No.1101 ≪やるべきことをやるときが来た≫-2020.2.21

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さて、コロナ新型肺炎の猛威が収まりません。ついにクルーズ船乗客から死者がでてしまいました。亡くなられた方にお悔やみ申し上げます。クルーズ船の対応は、いくら日本の法令に基づいた行動とはいえ、もっと何とかならなかったのかと思います。あれでも政府は超法規的な対応をしたと聞きますが、立法時に想定されていた状況とそれを超える現実がある場合は、想定外に対する対応能力が不可欠です。このリスクをとれるのは一国の総理しかいません。2月初旬の政府の動きは日本国民として安心と誇らしさを感じました。
ところが、法令を満たしているウイルス検査キットで、定められた国立の検査機関でないと検査してはいけないという理由で検査を希望する人も検査を拒否するというやり方はあまりにも硬直的で官僚制の悪い点がすべて出てしまったと思います。
しかも、DMAT として乗り込んだ神戸大学教授の医師が、船内の状況を動画報告すると政府官僚のやり方に批判的だということで強制下船させられ、動画削除をせざるを得なかったらしいと聞くと、政府による情報操作が行われている印象をぬぐえません。事実はそのうち明らかになるでしょう。

3700 名を乗せた巨大クルーズ船の動向は世界中に強烈なインパクトを持って発信されています。
いままで日本に忖度して遠慮していたアメリカが自国民の救済のためにチャーター機派遣を決めると、イギリス、カナダ、韓国も同様の方針に舵を切りました。日本政府が1 月中旬にコロナ肺炎の感染が明確になったとき、武漢市及び湖北省の在留邦人を帰国させるべくいち早くチャーター機を6 機も出して救援したり、いち早く「指定感染症」に指定したのと比べると、危機感と行動力と決断力にあまりにもギャップがありすぎます。
そして、今は、感染経路が特定できない最悪のシナリオである市中感染が起きています。すでにパンデミックの前兆です。私のオフィスのある沖縄でも感染者が出ました。2 月1 日に着岸したクルーズ船から2400 名の乗客が下船し、50 台の大型バスと300 台以上のタクシーが市内観光を担いました。そして、隔離終了日ともいえる2 月14 日に感染者が出ています。その後もタクシー運転手が1 名感染しています。タクシーという日常の移動手段が感染源になると、だれが感染してもおかしくない状況にあります。感染撲滅処置よりも、目先のインバウンドが減るのを恐れた対応がこのような状況を引き起こしているのではないかと推測します。このインバウンド需要の回復は数年を要すと思います。こうなると、インバウンド・バブル景気でにぎわった不動産、観光、流通業、飲食サービス業、建設業、旅行業、旅客機関、航空会社は数年にわたって業績悪化と危機的な状況が出てくる可能性があります。さらに、消費税増税後の10月~12 月のGDP 速報では、大幅なマイナス成長となっています。1 月~3 月の速報にはコロナウイルス関連の影響が加味されますので、さらにマイナス成長は明確になるものと思います。景気後退はもう始まっています。オリンピックまでに収束はするでしょうが、まだまだ分かりません。危機に強い日本国民ですから一所懸命に盛り上げるでしょうが、インバウンドがどこまで回復するかは未知数ですので、会社経営という観点からすると、悲観的に想定したほうが良いと思います。
一方、中国国内に生産拠点をもつ企業は、やっと操業許可が下り始めました。中国当局に明確な業種別企業別ランクがあるようで、一斉に操業許可を出すというよりも、医療系の企業から優先して、順次他の産業にも許可が出ているようです。顧問先企業は今週に入って許可が出たそうです。それでも早いほうだと聞きます。さらに、会社の操業許可が下りても、従業員は動けません。春節等で国外及び他省に移動した人は2 週間の隔離生活を義務付けられます。人もそろって以前の操業体制に戻るのはもっと後になるでしょう。

感染者や隔離者は、生活必需品を購入するために外出するにも当局の許可がいり、公安の監視下で行動しなければなりません。SARS、MERS、新型肺炎と感染症のカントリーリスクでサプライチェーンが分断されたことは、生産拠点のさらなるグローバル化を推進することになるでしょう。日本国内でも、物資不足があちこちで起きていると聞きます。セットメーカーは操業停止に追い込まれています。

危機の迎え方は、当面必要でなくても、早めに使途自由の半年分の運転資金を長期資金で手当てしておくことです。幸いにもマイナス金利下で低金利は続きますので、低コストで調達できます。経営方針の重点を明確にしながら、環境変化に柔軟に適応するために、四半期ごとのローリングチェックに力を入れることです。

そして、頼りになるのはヒトです、社員、協力会社、関係者との関係を密にして、情報共有できる環境を整えます。お客様への接触を増やし、情報収集に力を入れることです。直接訪問が可能ならそれが一番ですが、感染拡大がどの程度収まっているかわかりませんので、面談以外の接触方法は今の間に開拓するとよいでしょう。