No.409【成功する経営者はヒト育てがうまい】

成功する経営者は人をその気にさせるのがうまい。
長所をきちんと認めた上で、「君ともあろうものがそんなことでどうするか」と苦言を呈する。
自分の才覚で生きてゆく商売人から、家人を使い家業を営む商人、他人を雇って事業を展開する企業経営者へと段階をおって成長する。
それぞれの段階で人に対する認識が変化してゆく。自分の思い通りにならない他人をその気にさせて、とんでもない力を発揮させるのが成功する経営者だが、彼らは共通して「情熱家」で「穏やか」で「気配りが行き届き」しかも「忍耐強い」。


広辞苑で「商売」と引くと
① あきない。うりかい。商業。『-繁盛』
② 俗に、職業。仕事。『学生は勉強するのが-だ』
③ 芸娼妓などの業『-女』
とあり、関連用語で、「商売気質(かたぎ)」「商売人」「商売気」等が掲載されている。

そこで、「商売気質(しょうばいかたぎ)」を広辞苑で引いてみる。
商人特有の気質。金銭上の利害に鋭敏な性質と書いてある。
では「商売人」はどう書いてあるかとみると、
① 品物を売買する職業の人。あきんど。
② 専門家。くろうと。
③ 芸娼妓など水商売の女。商売女。
とある。よく似た言葉で「商人」があるが、これにはどう書いてあるか気になる。すると
① 商業を営む人。あきんど。
② 商法上、事故の名を持って商行為を行うことを業とするもの
とあり、「商売人」よりもう少し広い意味で使われていることがわかる。
次に「商売気(しょうばいぎ)」をみると
なにかにつけて商売上の損得を中心に考えようとする態度。自分の職業に有利なように事を運ぼうとする態度。又は職業意識


今度は、広辞苑で「経営」を引くと
① 力を尽くして物事を営むこと。工夫を凝らして建物などを造ること
② あれこれと世話や準備をすること。忙しく奔走すること
③ 継続的・計画的に事業を遂行すること。特に、会社・商業など経済的活動を運営すること。また、そのための組織
なるほど。ならば、「経営者」はどう書いてあるかとみてみると
企業を経営する人。雇用関係からは使用者に同じ。所有と経営との分離していない企業にあっては資本家、企業家などと同義
と書いてある。では「企業」とは何かを見る。
生産、営利の目的で、生産要素を総合し、継続的に事業を経営すること。また、その経営の主体
とあります。
商売人は商業から派生し、モノの売り買いをする人で利害・損得に敏感な人だと捕らえられている。なんとなくマイナスの印象を受けてしまいます。
一方、経営者は営利目的で経営資源を総合的に継続的、計画的に経済活動を行う人となる。


「あの人は立派な商売人だ」という評価と
「あの人は立派な経営者だ」という評価では微妙にニュアンスが違うのも頷けますね。
しかし、「あの人は立派な商人だ」という評価だと経営者と同義語の印象を受けます。


成功する経営者は、経営哲学や理念を熱っぽく語り続けることによって、組織やチームのメンバーの持っている力を引き出して、ひとつの方向にベクトルを合わせて、比較的、長期的な視点で繁栄を確実にしようとする人と言えます。だから、たとえ、その経営者が死んでも、幹部や社員が事業を継続し、発展させることができるシクミを構築している場合が多いのです。


一流の優れた経営者は「人を残す」


だれの言葉かわかりませんが
「金を残すは三流、事業を残すは二流、人を残すは一流」というのがあります。
金は必死になってがんばれば作ることも蓄えることも可能です。事業は時代にマッチしており人さえ得られれば存続させることができます。優秀な人さえ残せれば金がなくても調達できますし、事業が低迷していても再建することができます。人こそ、最も重要な経営資源だといえます。
成功する経営ノウハウとはまさにこのことでしょう。人材育成に力を入れることが重要であることは皆が認めるところですが、なかなかこれが実行を伴いません。
継続的・計画的・総合的に事業を展開しようとすると、必要になるのが「人材」なのですが、「人材」は出会いと育て方の2つの組み合わせで決まります。


「人柄を信用しているが、行動は信用してはいけない。人間誰しも魔がさすことがある。」
「彼(彼女)ほどの人材が当社で働いてくれている。なんとありがたいことだろうか」
「彼の強みは人好きだから、徹底的に伸ばしてやろう。私が全責任を取ればよい」
「会議も大事だがもっと大事なのは、多くの人と知り合いになれる食事会だ」
「研修は継続することに意味がある。熱のあるうちに次の刺激を与えて初めて生きてくる」
「思い出したように研修するならやらない方が効果的だ」
「一人ひとりの個性が違うのだから、育て方も一人ひとり違って当然だ」
「金は稼げば取り戻せるが、教育の機会を中断すると元には戻らない」
「一人ひとりの力を発揮させる鍵は私にある」
「トイレ掃除がすべての基本。トイレ掃除が素手でできれば何でも成功する」
「叱るときは悔し涙を見せるぐらい叱れ。ほめるときはうれし涙を見せるまでほめろ」


経営者になると決めた以上、人育てをすることは経営者の義務といえます。
喜怒哀楽、中でも怒りの感情に流されない自分作りが人を残す早道といえるのです。
最後に柳生家の家訓をプレゼントします。
「小才は縁に出会って縁に気付かず、中才は縁に気付いて縁を生かさず、大才は、袖すり合った縁も生かす」