世界の国民の平均年齢ランキングは国連の推計人口「World Population Prospects, 2024 Revision」によると2023年時点で、日本は第4位。バチカン59.6歳(人口800人)、モナコ54.4歳(人口3.9万人)、セントヘレナ50.5歳(人口4000人)、日本49歳(人口1.245億人)です。6位イタリア48.5歳、15位ドイツ45.2歳、21位韓国44.5歳、27位台湾43.5歳、40位フランス41.8歳、イギリス56位40歳、中国は62位39.1歳、アメリカ71位38歳。一番若い国は中央アフリカで236位14.3歳です。
世界は「みんな違ってみんないい」(金子みすゞ)人たちの集合体ですが、日本はそんな中でも特別な状況にあると言えます。様々な産業分野で高齢化が進んでいます。なかでも会社経営においては技術も意識も仕組みも驚天動地のごとく大きく変化し、そのスピードも年々けた違いに早くなっています。柔軟な思考ができないと一気に淘汰されてゆきます。かっての成功体験が大きければ大きいほど、成長すれば成長するほど会社は失敗を恐れるあまり保守的に憶病になってゆきます。それはとりもなおさず未来の消滅リスクの倍率を高めてしまいます。VUCAな時代に未来計画をデザインするより目先の安全を選択するからです。リスクを取らないことがリスクであることに目を背けているに過ぎないのですが。
総務省の2021年度経済センサスによると日本の会社数は337万社で15年前の2009年度の421万社から▲20%減少しました。その間変わっていない比率が2つあります。一つは従業員数250人以上の大企業比率が0.3%という数字です。もう一つは従業員数20人以上の中企業比率が13%~15%という数字です。つまり大企業を除く中小企業が99.7%、そのうち個人事業主及び従業員20人未満の中小零細企業が約85%という構造は変わっていません。
会社数は毎年激減していますが、確実に増加している集団があります。それは創業100年以上の老舗企業です。現時点(2025年4月)で47,254社あり、毎年2000社以上増加しています。
「老舗」の語源は井原西鶴「世間胸算用」の「親の仕似せたりこと・・・」(親を真似ることが転じて家業を守り育てること)からきているとか、京商人がいつも新舗(しんみせ)の心構えで商いをするから気づいたら老舗(しにせ)になっているとか諸説ありますが、いずれにしても長寿企業を「老舗」と言います。
長寿企業は人間の細胞と同様に常に新陳代謝を繰り返しています。本店は歴史を感じさせる何とも言えない佇まいをしていますが、いったん奥に入るとそこはIT起業かとみまがうばかりの最先端システムがフル稼働しています。ロボットはいうに及ばずAI、DX、IOT、場合によっては宇宙ビジネスとの関わりまで持っている場合があります。
創業者から二代目、二代目から三代目、三代目から四代目と連綿と続く歴史は若返りの歴史です。もちろん感情をもった人間ですから「のれん」や「理念」は共有していても、やり方は時代に適応して変わってゆきますので世代間の対立が起きて当然です。起きない方が危険です。同族企業でいえば、先代(親)は後継者(子)のやり方を見て不安になるものです。親は成功体験があればあるほど不安になりますから口を出します、手を出します。すると自分のやり方を否定された後継者(子)はいじけて意欲を無くします。それを見ている社員はもっと意欲を無くして転職や独立を考えます。運が悪ければ企業は衰退し消滅します。
このような愚を避けるために老舗企業には各社各様の「智慧」があります。中でも共通しているのは「隔世教育」です。先代(親)は会社に行かないで次期後継者(孫)の教育を行い、「花道」を飾るのです。自分のやってきたことや苦労話を孫に聞かせるのです。親子だと素直になれないことでも孫とは素直になれます。孫もわからないことは何でも教えてもらえます。うまくすればお小遣いやごちそうもいただけます。
そうすることで、親は会社に行かないので後継者(子)の言動を見ませんから平安な心を保てます。必要な時には後継者(子)を呼んで報告をさせ、後継者(子)は親に定期的に報告に行きます。その姿を孫に見せるのです。
帝国データバンクの「全国社長年齢分析調査(2024年)」によると、記録のある1990年の54歳から2024年の60.7歳まで毎年上昇しているようです。社長の交代年齢は平均で68.7歳だそうです。また社長交代すると社員の平均年齢は約16歳若返る結果が出ています。https://www.tdb.co.jp/report/economic/20250325-presidentage2024/
社長交代年齢が年々下がるような日本にしてゆかねば日本も将来が危ないですね。
若さは「智慧」は弱いかもしれませんが「体力」「気力」は有り余るほど持っています。なくすものがない若い人は失敗を恐れません。長寿企業も創業の時はナイナイ尽くしで無知ほど怖いものはありませんので若気の至りだらけの躍動感を持っていたと思います。成長発展し安定した基盤を確立した企業が躍動感のある若気の至りを発揮して日本を発展させてゆかねばなりません。 先代は晩節を汚すことなく「花道」を飾り、後継者(子)は先代に感謝して先代の残してくれたレガシーに敬意を表しながら、自分の「花道」に向けて邁進してゆきたいものです。