1995年1月17日 午前5時47分に発生した阪神大震災から30年を迎えます。マグニチュード7.3、死者6,434人、負傷者43,792人、倒壊家屋249,180棟(内、全焼家屋6,965棟)、ライフラインの全滅という想像を絶する被害が神戸を襲いました。その被害額はおよそ10兆円に上ります。阪神高速道路が600m以上にわたって横倒しになり、ある高層ビルは大きく傾斜し横のビルにもたれかかり、ある高層ビルは倒壊し、あるマンションは数階が押しつぶされました。神戸の長田区は火の海で、一面焼け野原で駅から海が見えました。お亡くなりになった方々のご冥福を祈るとともに被害にあわれた方々に心よりお見舞い申し上げます。
安否確認をしようにも固定電話がつながらず大混乱となりました。その教訓からPHS携帯電話がポケベルに代わり一気に普及し、その後のガラケー、スマホの普及につながりました。思えば多くの人が利用しているLINEは2011年3月11日の東日本大震災で携帯電話もつながらない状態を解決しようと生まれました。困った問題を解決するためにイノベーションが起きて新しいテクノロジーが生まれ、世の中はどんどん便利に変わってきました。
ところで、来週の月曜日(1月20日)トランプ大統領が2度目の就任式を迎えられます。
就任日の初日に大統領令を出すことが予想されている政策の一つが「追加関税」です。メキシコ、カナダからの輸入品に25%、中国からの輸入品に10%の関税を課す、その理由は不法移民や犯罪や薬物が流入することに対する報復措置だと言われています。
2つ目に予想されている政策が「不法移民の送還命令」で史上最大の強制送還プログラムだとか。発言するだけで強烈なインパクトを伴い、それに対応して世界の首脳が動いてゆきます。これが実行に移されるとその変革パワーは想像を絶すると思います。
そのほかにも、カナダを買収して51番目の州にするとか、パナマの獲得による東西通行の自由を担保するとか、グリーンランドの統治権を獲得するとか、漏れ伝わってくる情報はどれもいままで発想すらしなかった事案が多数あります。世界中の耳目を一身に集めて一挙手一投足がパワーを伴っています。
では私たちはどうするか。
為替はどうなるか、金利はどうなるか、景気はどうなるか、物価はどうなるか、人対策はどうなるか。企業にとっては大いに関心のあるテーマですが、いずれも個別企業の努力の域を超えていることばかりです。
そこで思い起こす言葉があります。「企業は環境適応業だ」 いついかなる場合にも企業は存続してゆかねばなりません。「原因自分論」で対応しなければならないのです。ではわが社は何ができるのか、社員や協力会社、取引先と十分なコミュニケーションをとってとことん考えて実行してゆくことしかありません。
基本はヒト・モノ・カネ・システムです。
経営の基本は「ヒト」ですので人を大事にする。待遇や職場環境を改善し、ハイクオリティなコミュニケーションを積み重ねる。
売りモノを磨いて磨いて磨き倒してよりよい商品に育てる。つまりQCDSを徹底的に追及する。Q(品質)を磨く、C(コスト)をゼロベースでとらえなおす、D(納期)を1時間でも1日でも短縮する、S(サービス)は顧客の求める情報をタイムリーに届ける。
カネはもしもの時に必要なお金の確保。できれば3か月売上がゼロになっても大丈夫なように工夫する。早晩、商慣習としての手形取引はなくなります。小切手の発行もできなくなります。昨年の11月から施行された改正下請法も厳しくなっています。手形をファクタリングに替えてもサイトの長い取引はよほど力のある企業でないと難しくなります。
これを機会に会社を総点検し、10年後、30年後を見据えた「ありたい姿」を描き、取り組むことが必要になってくるでしょう。成り行き任せの出たとこ勝負は、個人旅行以外は命取りです。AプランがだめならBプランに変更し、それでも状況が変わればCプランを実行するという具合に先の先の先まで読んで経営することが生き残りのポイントになると思います。