最近の世相は殺伐とし、何事もお金さえ手に入れば無分別に行動してしまう。例えば、闇バイト。ネットの闇バイトに応募し、会ったこともない人からの指示で、何の恨みもない家に強盗に入り、場合によっては殺してしまう。白昼堂々と銀座の時計店に押し入って強盗を働いた5人組も闇バイトでした。お金をもらえるなら何でもやる。
公務員は国民・市民に奉仕する下僕という崇高な精神ゆえに尊敬され権威があるのですが、その公務員が詐欺、性犯罪を行うという信じられない出来事が多々起きています。2021年6月のコロナ禍真っ最中に起きた経済産業省主幹のコロナ給付金を同省のキャリア官僚がペーパーカンパニーまで作って詐欺した事件を始め、役人だから知りうる抜け穴を現役官僚が悪用する事件はなんとも言いようがなく悲しいです。「そこに誇りはあるんか」と言いたい気分です。
最近では国会議員が昼は政治家をやりながら、夜は性犯罪に手を染めたり、下半身に節操のない方が、与党にも野党にも複数以上おられる時代になりました。これも個性や人権や自由を拡大解釈すれば問題とならないのかもしれませんが。
天下国家を論じる超エリート国会議員も官僚も検察官も裁判官も民間人同様に人間なので魔が差すことも欲に負けることもあるでしょうが、そのような行動に移す前に自制する理性や倫理観がいとも簡単に崩壊するのはどうしてなのだろうと思います。
外交では2010年9月7日、民主党政権時代に中国漁船が尖閣諸島で海上保安庁の船に体当たりしてきたのでやむなく船長を拘束したが、9月22日に中国の温家宝首相から釈放要請を受けて、24日に釈放された。漁船船長は「ざまあみろ」という顔をしていた記憶があります。せっかくの対中外交カードをあっけなくただで手放してしまったのですから、世界的には幼稚な外交、外交音痴と言われても仕方がないかもしれません。
自民党政権になって久しい2020年11月24日に王毅外相が来日して日中外相会談が行われた時、公式の記者会見で王毅外相が「中国の領土である魚釣島(日本名:尖閣諸島)に一部の正体不明の日本漁船が敏感な海域に頻繁に入っている」と茂木外相に苦情を呈した時、微笑み返しだけで終わりました。その場面をニュースで見て絶句されたのは私だけではないと思います。茂木外相に言わせれば公式の記者会見では相手国のコメントに対して抗議しないのが慣例だからそうしたのであって、翌日に直接王毅外相に抗議したとのことですがそれは報道されていません。
2004年8月13日に沖縄国際大学に在日米軍のヘリコプターが墜落した時、幸いにも犠牲者はいなかったので良かったのですが、在沖米軍憲兵隊は現場をいち早く封鎖して立ち入り禁止にしました。日本の行政、警察、消防等は傍観するだけで一切立ち入ることが許されません。日米地位協定第23条における米軍の「財産保全」処置の一環です。米軍関連の設備がトラブルを起こせばそこが即座に治外法権エリアになるのです。
では米軍が駐留する他国(ドイツ、イギリス、イタリア、ベルギー)ではどうか。いずれの国も自国法を適用して駐留米軍をコントロールして国益を守っています。たとえ合意事項でも簡単に破られて歴代司令官の実行が伴わない謝罪表明で済んでいるのは残念ながら日本だけのようです。
強い物には弱く、弱い物には強い日本。いつからこんな日本になったのか。世界が尊敬した「武士道精神」はいずこ。建国して2684年の世界最古の歴史を持つ日本国および日本人としての矜持は、誇りはどこに行ったのかと叫びたくなります。
その真因は敗戦後の7年間に及ぶGHQ/SCAP(General Headquarters /Supreme Commander of the Allied Powers)の占領政策「WGIP:War Guilt Information Program」にあるように思います。占領軍の主力である米軍GHQは「日本が2度と戦争をしない国にして消滅させる」作戦を計画し、1945年8月30日に厚木基地に降り立ったマッカーサー元帥は4つの軍令を発令しました。「①戦争放棄を明記した平和憲法を制定」「②日本3分割統治」「③神道指令、即ち日本の強さの原点は神道にあると捉えアイデンティティを消失させるために神話を教えず・誇りを持たせず・自虐史観を植え付け・100年後には消滅させる」「④軍政を敷き、公用語は英語とする」の4つです。④はGHQの言語学者が識字率が低いので英語を公用語にしようとしましたが、日本の識字率は世界最高だと知り撤回したそうです。
②と④は実行されませんでしたが、①と③は占領下の7年間徹底的に実施されました。その象徴ともいえるものがNHKラジオ番組「眞相はかうだ」と東京裁判でしょう。学校で習ったことの中で③の自虐史観は長い間根私の中に付いていました。だからなかなか誇りが持てなかったのです。その自虐史観を完全に払拭できたのは50歳になってからでした。
同じ敗戦国のドイツやイタリアでさえ憲法は何度も改訂し、国家と国民の生命と財産を守る軍隊も持ち、駐留米軍との地位協定も自国有利に変更しています。誇りを取り戻しているのです。日本では朝鮮戦争に重点が移った米軍の代替組織としての警察予備隊から発展した自衛隊はありますが日本軍はありません。軍事予算がドイツに次いで世界9位(約509億$:2021年)の規模にもかかわらずです。それは憲法に「第九条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。②前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。」と『戦力不保持』を明記しているからです。だから国連平和維持軍に参加しても丸腰で外国の軍隊に守ってもらいながら活動をしているわけです。憲法を活かして自衛隊をなくすか、現実に合わせて憲法を改正するか、どちらかしないとあいまいな政治解釈によって運用するには国際情勢はそれほど平和ではなくなっています。
明治2年に明治天皇が国家のために尊い命をささげられた方々の御霊を鎮めるために建立された靖国神社に、さまざまないきさつや解釈はあると思いますが、最も参拝すべき国家元首が参拝がままならない国はほかにあるでしょうか。国家元首が外国を訪問すれば最も重要なセレモニーとして献花するのが当たり前なのに。
敗戦後79年、国家主権回復後72年。いい加減に目を覚まさねば、GHQが描いたとおり「100年後に日本民族を消滅させる」が現実化してしまいます。主権回復後は自国の憲法を制定し、普通の主権国家になるだろうと確信していた占領軍GHQが日本の現実をみて一番驚いているのではないでしょうか。
最も危機感を持っておられる中小企業の経営者が正しい日本の歴史と民族の価値観を知ることを今後も愚直に続けてゆかねばならないと思います。