2026年(丙午)、新年あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。
今年最初のメルマガをお届けします。
先週お届けしたメルマガでも書いておりますが、2026年丙午は激動の年で、「丙午・丁未」という大波乱の幕開けそのものが実際に出来事として発生しました。
日本時間の1月3日15:01に開始されたアメリカ軍によるベネズエラ大統領夫妻拘束作戦(AR作戦:Operation Absolute Resolve)は1月4日9:52にニューヨーク・ブルックリン拘置所に収監されることで終了しました。
前代未聞の現職大統領夫妻が他国軍により拉致され拘束されるという出来事には、正月早々、とても驚きました。
トランプ政権の大義名分としては「マドゥロ氏は公正な選挙で選ばれていないため、ベネズエラの正当な大統領ではないので、国家元首としての免責特権は認められず、以前の麻薬密売組織の首領として逮捕状を執行しただけである」ようだ。
今回の作戦は劇場型で、トランプ大統領の予告付きの映画を見ているようで、白昼堂々と準備状況が世界中に公開され、日本でもたびたび報道されていました。以下は予告を含めて公表された報道です。
2025年9月2日を皮切りに「ベネズエラの麻薬密売組織の高速艇を爆破した」という映像公開。
12月10日、ベネズエラの麻薬組織の資金源を断つためにベネズエラを出港しキューバに向かっていたタンカーを拿捕しました。12月20日、21日と合計3隻のタンカーを拿捕しています。
12月22日、米軍のC-17ヘリコプターをプエルトリコに多数駐留させ、26日にオスプレイ10機以上投入。
12月24日、CIAのドローンがベネズエラの港湾施設を破壊し機能不全にしています。
12月29日、ホワイトハウスがマドゥロ氏の懸賞金を5000万ドル(日本円で75億円)に引き上げたと発表。
12月30日、すべての準備が完了。
1月3日~4日、AR作戦終了(拘束から収監までの所要時間18時間)
この目標を達成するためのシナリオを逆算すれば、計画の全体像にたどり着けます。当然、政府の中枢と連携したインテリジェンスのプロがミッションインポッシブルばりの工作をしていたのは想像に難くありません。
ちなみに、ベネズエラの「防空網は南米で最も近代的な防衛システム」と自負しており、レーダー網で捕捉し、ロシア製ミサイルと連携するシステムだったようですが、今回は機能停止し沈黙していたそうです。ちなみにメーカーは中国製だとか。いまごろ、かの国々では混乱しているのではないでしょうか。
ベネズエラが安定するまで「アメリカが国家運営する」と発表していますが、果たして、今後、どのような化学反応が起きるのか予断を許さない状況になりました。様々な勢力抗争が見えないところで工作され、フェイクニュースも含めて情報を慎重にみなければなりません。ベネズエラの友好国の中・北・露とは日本の隣国でもありますし、キューバやイランがどのような行動に出るか注目しなければなりません。中でも、キューバはベネズエラの格安石油がエネルギー源だったようですから、経済的な動きがどうなるか注目です。
トランプ大統領になってから「モンロー主義」が取りざたされることが多くなりましたが、歴史の復習も兼ねて、モンロー主義とは何かを改めて確認しておきましょう。
モンロー主義は、1823年に第5代ジェームズ・モンロー大統領が年次教書で示した外交方針で、主に次の2つからなっています。
1.すでに主権国家が存在している南北アメリカ大陸(欧州から見て西側に位置しているので西半球と呼ぶ)に欧州の植民地を作らせない(非植民地化原則)
2.米国は欧州(いわゆる東半球)に干渉しないし、欧州もアメリカ大陸諸国(いわゆる西半球)に干渉しない。干渉すれば米国に対する敵対行為とみなす(不干渉不介入原則)
この方針の裏には、時代背景として、ナポレオン戦争後、スペイン植民地だった中南米諸国が多数独立しており、ロシア、オーストリア、プロイセンの「神聖同盟」は、独立を阻止し再植民地化しようとする動きを強く警戒したことがあります。
そして、北米大陸にあるロシア領土のアラスカ領から北米大陸への南下政策の動きを牽制する意味がありました。恒久的な危険除去のために、アメリカは1867年に720万ドル:現340億円でロシアから購入しました。
さらに、これが本音でしょうが、欧州排除により西半球(南北アメリカ大陸)の主導権確立がありました。つまり、「南北アメリカ大陸は俺のもの。手出しするな」と宣言したに等しいのがモンロー主義です。
これによりアメリカは、第一次世界大戦まで欧州の紛争に関与しないことが伝統的外交政策の根拠となり、南北戦争(1861-1865)は避けられませんでしたが、他国とは戦争せずに済みました。
また、20世紀初頭に圧倒的な軍事力を持ったアメリカは第26代セオドア・ルーズベルト大統領の時代に、後に「棍棒外交」と呼ばれる中南米に不具合が起きるとその都度警察権行使を行いました。その根拠になったのがモンロー主義です。
第一次世界大戦では、アメリカは英仏に戦費を融資しており、戦後は莫大な賠償金を課されたドイツに融資して、賠償金を英仏に支払わせ、その賠償金をアメリカが回収することで、富がアメリカに集中し、覇権国はイギリス(東半球)からアメリカ(西半球)に変わりました。その結果、10年後には生産力を回復した欧州が台頭し、アメリカで世界恐慌が起きました。
時計の針が逆進しないように見守らないといけませんが、昔も今も国際法は「実効支配は合法」とみなしています。
今後は中南米、東欧、中東の勢力争いがどのような化学反応を起こすか、関心を持って見ておかねばなりませんね。まさに、丙午の年です。来年は丁未でもっと荒れます。
