No.1212 ≪会社を成長させるって大きくすること?≫-2022.5.18

30年前、上場企業の株式時価評価額の世界ランキング(出所: https://startup-db.com/ )上位10位の内日本企業が7社ランクインしていました。世界1位は電電公社(現NTT)でした。2位以降は銀行5行がランクイン、東京電力も9位にランクインしていました。トヨタは11位でした。30年後の今、トヨタ以外の企業は50位以内にもランクインしていません。日本企業ではトヨタ自動車だけです。我が世の春を謳歌した銀行は名前すら変わってしまいました。

売上高の世界ランキング(出所: https://www.youtube.com/watch?v=cABonTeYr3o )でみると、約30年前の1995年でみると、1位は三菱商事(1758億$)、2位三井物産(1715億$)、3位伊藤忠商事(1678億$)、4位住友商事(1625億$)、6位丸紅(1502億$)、10位トヨタ(882億$)で日本企業が上位10社中6社ランクインしていました。そして2019の実績でみると、10位にランクインしたトヨタ自動車(2726億$)以外はすべて欄外となりました。売上高世界一はアメリカのウォルマート(5144億$)です。ちなみに1995年のウォルマート(834億$)は12位でした。

純利益の世界ランキング(出所: https://asian-links.com/ja/rieki-kigyou-top )でみると2021年の実績で日本企業はソフトバンクが3位にランクインしていますが、次に来るのは売上高で10位のトヨタが17位(212億$)、NTTがかろうじて50位(9億$)でランクインしています。売上高世界一のウォルマートは28位(135億$)です。ちなみに1位アップル(574億$)、5位マイクロソフト(443億$)、7位アルファベット(403億$)10位メタ(291億$)、16位amazon(213億$)とGAFAMが名を連ねています。

これらのデータはヒト・モノ・カネが潤沢でブランドが定着している上場企業と言えども、成長を持続することは極めて難しいことを意味しています。経営者の能力を超えて急成長するとコントロール不能となって自滅する企業は無数にあります。企業には絶頂期もあればどん底期もあります。山や谷を経験することでより良い会社を目指すことで永続的に成長することができます。
結果的に売上高世界最大企業になったウォルマートも1995年の834億$から2019年の5144億$まで25年間で6.2倍、年率にすると2%成長です。トヨタでも882億$が2726億$で3倍、年率にすると1.2%成長となります。

私たち中小企業はなおさら大企業の真似をしていては消滅してしまいます。会社の成長の物差しを何にするかがとても大事になります。
当社が主宰している「SS社長塾」というセミナーでジャグディッシュ・N・シース著「自滅する企業 エクセレントカンパニーを蝕む7つの習慣病」を取り上げ、「拡大強迫観念症――右肩上がりの幻想」の話をした時、「そもそも会社は成長しなければならないのか?」という質問を受けました。
私は、「成長することを規模の拡大ととらえるなら、成長する必要はない。大きくすることを目的としてしまうと、目的達成のために手段を選ばなくなる可能性が飛躍的に高くなる。やってはいけないことも声の大きい人が号令するとやってしまう。不正やごまかしが出てくる。そのような成長は会社を消滅させるだけだ。しかし、会社をより良くすることを成長とするなら、これは絶対的に必要だ。社会に役立つ、人が育つ、皆が豊かになる。これは必要な成長だ。その結果、規模拡大できたならばダブルハッピーだ」と答えました。

また、「SS社長塾」では100年企業になることを前提にしています。100年続いて一人前という考え方です。「なぜ100年企業を目指さねばならないのか?」という質問を受けました。
私は「人間には寿命がありますが、企業には寿命はなく永遠に存続可能です。子供を産んだら育てるのは親の務めであるのと同様、会社を創業すれば育てねばなりません。会社の寿命は永遠ですので、一つの目安として100年があります。3代継承して100年です。会社経営における継承がいかに大事かというのはこれが為です」と答えました。

規模拡大と決別し、昨日より今日、今日より明日へと会社をより良く成長させることを目指しましょう。人材が育つ、商品が育つ、顧客が喜ぶ、利益が増える、信用が育つ、社会から求められる、そんな企業を目指しましょう。