No.1201 ≪天皇誕生日に思う「日本に生まれて良かった」≫-2022.2.22

2月23日は「天皇誕生日」で国民の祝日です。今上天皇は126代天皇徳仁(なるひと)陛下で1960年2月23日生まれ。第125代平成上皇は明仁(あきひと)陛下で1933年12月23日生まれ、第124代昭和天皇は裕仁(ひろひと)陛下で1901年4月29日生まれ、1989年1月7日崩御、第123代大正天皇は嘉仁(よしひと)陛下で1879年8月31日生まれ、1926年12月25日崩御、第122代明治天皇は睦仁(むつひと)陛下で1853年11月3日生まれ、1912年7月30日崩御。

天皇の誕生日を国民が祝うことになったのは明治政府以降で、それまではなかったようです。明治元年(1968年)はまだ旧暦でしたから明治天皇の誕生日は旧暦の9月22日を「天長節」として祝日になりましたが、新暦に変わった1973年以降は11月3日が祝日になりました。崩御された7月30日は「明治天皇祭」として休日となりました。「祭」とするのは、「祀る」「偲ぶ」からきており、誕生日は祝日ですが、天皇祭は休日なのは天皇を祀り偲び感謝する日という意味です。先祖の命日に故人を偲び感謝するのと同じ意味です。
「冠婚葬祭」とは、生まれてからの節目を冠、結婚すると婚、亡くなると葬、亡くなって後の回忌法要が祭となりますので、亡くなってからの祀りを「天皇祭」というのではないかと勝手の思っております。
天皇誕生日は今上天皇に対して使われますので、崩御又は退位されれば使われなくなるはずですが、その辺りは日本人のあいまいさというか八百万の神々の国というか、一定のルールはあるようでないようです。

例えば、明治天皇の誕生日である11月3日は今日では「文化の日」として祝日として定着しています。昭和天皇の誕生日である4月29日も「昭和の日」として祝日です。
しかし、大正天皇の誕生日8月31日も平成天皇の誕生日12月23日も祝日ではありません。

敗戦前までは、天皇誕生日を「天長節」の祝日、崩御日を「天皇祭」の休日としてルール化されていたようですが、戦後はGHQ占領政策の中で神道や皇室にまつわる様々な行事が廃止・変更されてしまいました。

しかし、宮中では皇室行事として行われている主なものを見ますと(詳しくは宮内庁ホームページhttps://www.kunaicho.go.jp/about/gokomu/kyuchu/saishi/saishi01.htmlをご覧ください)しっかりと伝統は受け継がれております。
1月1日の四方拝(伊勢の神宮,山陵および四方の神々をご遙拝になる)、1月3日の元始祭(国家国民の繁栄を三殿で祈られる)、1月4日の奏事始に始まり、1月7日は第124代「昭和天皇祭」、1月30日は第121代「孝明天皇例祭」、2月23日は今上天皇の「天長祭」、4月3日は初代「神武天皇祭」、6月16日は「香淳皇后例祭」、7月30日は第122代「明治天皇例祭」、12月25日は第123代「大正天皇例祭」と崩御日の「祭」が続きます。
初代神武天皇の崩御された日が新暦の4月3日として今も祭りがおこなわれているのは感動します。古事記の中巻は神武東征から物語が始まりますが、橿原の宮で紀元前660年2月11日に建国宣言され、137歳で崩御されたことになっています。

上記以外の主要祭儀は、2月17日の祈年祭(年穀豊穣祈願の祭典)、春分の日(春季皇霊祭)、6月30日の節折・大祓、秋分の日(秋季皇霊祭)、10月17日の「神嘗祭」(賢所に新穀をお供えになる神恩感謝の祭典)、11月23日の「新嘗祭」(天皇陛下が,神嘉殿において新穀を皇祖はじめ神々にお供えになって,神恩を感謝された後,陛下自らもお召し上がりになる祭典。宮中恒例祭典の中の最も重要なもの)、12月31日の節折・大祓。

折に触れ、私たちの日常に神話の世界が今も脈々と受け継がれており、天地自然の森羅万象を八百万の神として敬い感謝する日本人のメンタリティは「やまとごころ」と称されますが、「やまとごころ」とは何かと問われればあまりに大きくて広くて深いものなので答えに窮してしまいます。
伊勢国松坂の医師で国学者であった本居宣長が師と仰ぐ賀茂真淵の一夜限りの教えを胸に半生を費やして解読した「古事記」があるので私たちは「古事記」を読むことができています。その本居宣長にして大和心とは何ぞやという問いに対して「しき嶋のやまとごゝろを人とはゞ朝日にゝほふ山ざくら花」と表現しています。
朝陽に照り映え匂わんばかりの山桜のようだというのです。
桜と言えば親鸞聖人の「明日ありと 思う心の仇桜 夜半に嵐の 吹かぬものかは」というぐらい儚いものの象徴です。本居宣長は源氏物語に代表される「もののあわれ」の情緒こそが日本文学の本質であるとして中華文明とは一線を画していたからこそ「古事記」を解読することができたのではないかと思います。

世界で最も古い建国の歴史を今に伝える日本に生まれて、日本人として生きることができることに感謝したいと思います。