皆さんご存じのマズローの法則は欲求5段階説で有名です。欲求5段階説とは、一番最初に起きる欲求は「生理的欲求」生きるための食欲・就寝、次に起きる欲求が「安全欲求」安全な住まい、経済的安定性、良好な健康状態の維持、この2つが満たされると出てくる欲求が「社会的欲求」集団への帰属欲求や必要とされている実感 で、さらに「自我的欲求」存在価値の承認が起きてきます。これらが満たされて初めて「自己実現欲求」知命・立命が起きてくるという説です。アメリカの心理学者アブラハム・H・マズロー(1908-1970)が主唱しました。
日本沈没や大災害、大戦争により平和な生活がすべて破壊されつくし、マイナスから復興が始まる時の人間の心理は多かれ少なかれマズローの法則のように移ってゆくと思います。まずは生理的欲求と安全欲求が生まれます。だれもそんなことは起きてほしくないと思っていますが、何が起きるかわからないのが現代です。露烏戦争を対岸の火事として他人ごとに思っているととんでもないことですし、東日本大震災が東北地方で起きた過去の出来事ととらえるのも間違っています。今も復興途上にある現実です。「フクシマ50」の人々が命を懸けて福島原発のメルトダウンを防いでくれていなければ東京以北は人が住めない土地になっていたのです。原発を狙う最新鋭のドローンが開発されいつ何時攻撃されるかわからない危険と隣り合わせにいるのが私たちの日常です。
起きてほしくない未来を願いつつ、今打てる対策を確実に実行してゆかねばなりません。今打てる対策とは「軍事力増強」「エネルギー8割自給」「食料8割自給」対策です。さらには「サイバー空間」と「宇宙空間」の安全の確保です。話が大きすぎて中小企業のカバー領域を超えていると思われるかもしれませんが、そんなことはありません。会社の強みを活かせる市場にアクセスすればよいのです。例えば「軍事力増強」という市場をとらえた場合、どのような可能性があるでしょうか。自衛隊や米軍基地と取引することもできますし、取引している企業との関係を強化することもできます。前回に核シェルターの話をしましたが、「シェルター」という切り口で技術を積み上げる方法もあります。
先日、沖縄の建設会社に「地下シェルターのある家」を作りませんかと提案したところ、「面白いですね」と前向きな反応をいただきました。最近は木造住宅が20%以上占めるほど普及していますが台風の通り道の沖縄では依然としてRC住宅が基本です。サンゴの上に成り立つ島ですので地盤が軟弱なことと埋立地が多いので杭打ちをして建設します。深い所では支持層まで40m以上の場合があります。地下室を作らなくてもそれほど深く掘り下げますので地下シェルターは若干のコストがかかりますが技術的にはそれほどむつかしくありません。完全防音のシェルター内だと大音響で音楽を聴いても、シアタールームを作っても、トレーニングジムを作っても近所迷惑になりません。この技術の積み重ねが安全保障に直結し、災害にも防災にも戦災にも対応できるようになるのです。また、最近は南太平洋の海水温の上昇により台風は本土を直撃することが激増しました。台風を経験することのなかった北海道を直撃する巨大台風も増えています。木造が主流の住宅はRC住宅に着実に置き換わる可能性があります。RC住宅のノウハウは沖縄の専売特許です。ヒンプン等の台風対策の知恵が生きてくること間違いなしです。
「食料8割自給」も同じように会社の強みを生かしたかかわり方ができるはずです。日本では米の自給率は実質100%以上ありますが、小麦粉製品の代替品として米の使用が増えるでしょうから、米は不足するはずです。その米を増産する分野へのかかわり方は大きな市場になります。農機具製造や販売やレンタル、農業支援サービス、農作業代行業、農地の整理や転用サービス、太陽光発電と米作のハイブリッド農業ビジネス、休耕田での放牧、里山プロジェクトの推進、ぽつんと一軒家集落、機械式林業の普及、間伐材住宅の普及、薪ストーブの製品開発及び普及・販売及びレンタル、ユニット暖炉の開発と普及、農家レストラン、自家栽培カフェ、レンタル農園代行業&農家レストラン、リモートワークへの支援金制度創設等いくらでもアイデアが出てきます。現実化するまで時間がかかりますが、まずは趣味から入るのが早道だと考えています。
芸人のヒロシさんの趣味「ひとりキャンプ」が空前のブームとなり、大きな成長市場となっています。ひとりキャンプができる山を購入する希望者が殺到し山林販売・レンタル市場が活況を呈しています。テレビ番組の「ぽつんと一軒家」が高視聴率をとっています。絶景の地に立つグランピングは憧れの的です。建設コストが格段に安いのに宿泊価格は高級ホテルの数倍する上、予約がとれないほどの人気です。さらにアウトドアサウナや森のサウナが空前のブームです。誰がこのような事態を想定していたでしょうか。そのすぐ横にあるのが食料自給市場です。これらのほとんどは中小企業が強みとする分野です。
SDGsとの親和性、ジェンダーフリーの人材活用、若い人たちの自然回帰、家族優先といったトレンドとも合致します。やってみないとわからないことが多々ありますが、小さくアクセスして大きく育てましょう。いずれやってくる日本の危機をチャンスに変えるために。