盆明けから政界が騒がしいです。立憲民主党が政権交代を視野に入れて9月23日に代表選を行い新代表が決まります。自由民主党は日本再生をかけて9月27日に総裁選が行われ新総裁(≒総理大臣)が決まります。
私たちの命運を預けるのですから、誰がどのような主張しているか、日本がますます良い国になるようによく見極めねばなりません。
地政学的に四隣を隣国と海で隔てているという安心感、世界的にも特異なDNA配列のハプロタイプを持っているお人好し気質、歴史的に歴代皇統のもとで戦国時代を除き鎖国時代も含めて平和な時代を過ごしてきた私たち日本人は、ややもすると危機に鈍感で、熱しやすく冷めやすい、目先優先の現状維持、問題解決の先送り傾向が強いと思います。ことわざに「喉元過ぎれば熱さを忘れる」とも「羹に懲りて膾を吹く」とも言いますが、実に言いえて妙です。
経済産業省の元役人だった堺屋太一氏(1935-2019)が1975年に発表した近未来小説「油断」で描かれた状況は50年後の現在もほとんど変わっていません。対処法は随分と進歩したように思いますが、いまだに令和のコメ騒動のようなフェイク情報で買占めに走る姿は本質的に変わっていないようです。
資源エネルギー庁「2022年版総合エネルギー統計」によると日本の1次エネルギーの海外依存度は88.2%。1次エネルギー構成比をみると石炭25.5%、石油36.3%、LNG21.5%、原子力3.4%、水力3.6%、再生エネルギー10%となっています。日本の原油輸入国ランキングは1位:サウジアラビア39.5%、2位:UAE 32.2%、3位:クウェート9.2%、4位:カタール8.6%、7位:バーレーン1.4%、合計91%を中東から輸入しています。ご存じ中東は宗教対立と国際政治と覇権競争が混在している混沌としたエリアです。しかも、2023年8月には日本の原油輸入国ランキングの1位サウジアラビアと2位UAEがBRICSに加盟しました。ますます、日本の外交力や安全保障力をフル活用しないとどのような立場に置かれるかわからない状態になりました。
さらに1次エネルギーの46%を使って発電しています。電気がなければ何もできない現在において、私たちの生命線は中東、中でもサウジアラビア、UAE等に握られているともいえます。
中東諸国には親日国が多いですから表面だって対立は起きていませんが、デリケートな分野に覇権国米中の動向次第では、昨日の友が今日の敵、その逆にもなりかねません。何が起きてもおかしくはない危機的状況にあります。政治エリートの外交手腕に期待したいと思います。
参考までにLNGの輸入国ランキングは1位:オーストラリア35.8%、2位:マレーシア13.8%、3位:カタール12.2%で上位3国で62%を占めます。石炭輸入国では、1位:オーストラリア原料炭45.6%、一般炭71.6%、2位:インドネシア原料炭22.2%、一般炭11.4%と2国で70%以上を占めています。
そこで、最も日常生活に不可欠の電力を如何に確保するか! これが問題です。でも大丈夫! 日本にはとんでもない技術があります。太陽光をマイクロ波に変換して無線で地上に送電するSSPS(宇宙太陽光発電システム)です。1968年にアメリカのグレーザー博士が提唱し、京都大学篠原教授を中心にJAXAのプロジェクトになっています。今や日本はこの分野においてはダントツトップの位置にいます。今は採算に合わなくても、エネルギーのほとんどを海外輸入に依存している日本が最も注力すべき国家プロジェクトではないかと思っています。
お金はかかりますが、「油断」が現実化することを考えると安いものです。日本が大東亜戦争に突入したきっかけはご存じの通りABCD包囲網により石油を断たれたことが大きいです。宇宙空間には石油に代わる太陽エネルギーが無尽蔵に存在しており、どこの国の権利も確定していないブルーオーシャンです。
そして、SSPSを実用化するためにはロケット打上技術が不可欠です。有人飛行技術や宇宙ステーション建設技術も必要です。残念ながらこの技術は今や北朝鮮にも追い抜かれている現状をどうとらえるか。「2番じゃダメなんですか?」という発想がある限りできません、一番にこだわらないと。宇宙発電所1基で原発1基に相当します。しかも放射能は発生しません。日本がSDGSの観点からも先陣を切って実用化し、デファクトスタンダードにすべきではないでしょうか。中小企業はこれらの技術分野と何らかのかかわりを持つことが未来に向けての戦略の一つといえます。京都大学が研究している木製宇宙衛星の製造技術、世界初の宇宙のごみ掃除のパイオニア企業アストロスケール社の存在は日本の未来がとても明るいことを示しています。
1957年にソ連が「スプートニク1号」の打ち上げに成功してから、今日までの約65年間に打ち上げられた宇宙衛星は国連宇宙部の統計によると2021年12月時点で12000個を超える登録があり、近年は毎年1000個以上増加しています。2022年5月時点のUCS人工衛星データベースによると地球の軌道上を回る人口衛星数の国別ランキング1位:米国(3415基)、2位:中国(535基)、3位:英国(486基)、4位:多国籍(180基)、5位:ロシア(170基)、6位:日本(88基)、7位:インド(59基)、8位:カナダ(56基)となっています。中国とインドの猛追がスゴイです。
日本のエネルギー依存の危機が宇宙の有効活用によって地球環境を保護し、無尽蔵のエネルギーを創造して世界中に供給することで世界を救うことができるのです。そう考えるとワクワクしませんか?