「苦難は幸福の門」といいます。苦難を乗り越えると幸福が待っているという意味です。苦難はないに越したことはありませんし、苦難がなければ幸福になれないわけではありません。しかし、竹の節と同様に節がなければ強い竹になりませんし、樹も年輪がなければ数百年の寿命を持つことができません。その間には筆舌しがたい艱難辛苦の風雪があったことでしょう。それを乗り越えることで「しまり」が出てくるのです。
生涯一度も苦難に遭遇したことが無い人はいないように、必要に応じて苦難が現れるのです。それはその人を成長させようとする天の恩寵のように見事です。遭遇した苦難に対する対処の仕方で人に多様性が出てきます。深みと彩が出てきます。その苦難が大きければ大きいほど、厳しければ厳しいほど、苦しければ苦しいほど、多ければ多いほど、乗り越えた人は明るいです。節のような年輪のようなしまりのある深い魅力を感じます。
「天行健なり」 宇宙は誕生した時から創造化育するようにできています。宇宙の子である私たち人間も常に造化し続ける宿命にあります。人としての道を、昨日より今日、今日より明日と成長を続けねばなりません。
自分では一所懸命にやっているつもりでも、どこかで都合よく合理化しているものです。それが過ぎると甘えや油断やスキ、怠慢、慢心の種が育ってゆきます。
「天網恢恢疎にして漏らさず」 天は寸分たがわず「そのままゆくと危険だよ」と気づかせるためにサインを送ってくださいます。波動と言い換えてもよいでしょう。その波動が人間界では具体的な「問題」となって現れます。品質クレーム、受注不振や売上不振、大口商品の帳合変更、社員の不祥事、社員の退職やモラル低下、多額の赤字工事や赤字案件の発生、大口得意先の倒産、競争力のある対抗商品の出現、資金繰りの悪化、反社会勢力の侵入、金融機関の融資引き上げ等様々です。また経営者個人においては病気、交通事故、家庭内不和、近隣トラブル、それらが親の身に起こったり、子の身に起こったり、実に様々な形でおきますが、あなたが一番気づきやすい形で起こります。気づいても放置すると今度は困った形に悪化してゆきます。
気づいた問題はすべて解決できます。逆に言えば解決できる問題しか気づきません。ここがポイントです。
気づけば問題解決に向けて行動を起こすか、放置するか、黙認するか。気づいているのに放置したり、黙認するとさらに逃げ場のない最悪の状態に追い込まれます。それでも放置したり黙認すると現実界での寿命がなくなります。体は生きながらえても存在しないかのようなゾンビ人間状態になってしまいます。
気づいた問題は必ずあなたに解決能力があります。たとえそれがとんでもない巨大な壁のように見えても大丈夫です。問題を解決するたびに、あなたは大きく強くたくましく成長します。さらに大きな問題を解決できる能力が備わってゆきます。「パワーアップ」するのです。
どのような会社でも問題のない会社はありません。何かしらの問題を抱えています。解決しないともっとひどいことになるネガティブな問題もあれば、将来に向けての課題というポジティブな問題もあります。しかし、例外なく問題のない会社はありません。経営者になくても社員にあったり、商品にあったり、設備にあったり、会社になくても家庭にあったり、家族にあったり、地域にあったりします。
中小企業の経営者に「中国との尖閣問題の解決」を迫られることはありません。それは首相や外務大臣や防衛大臣の仕事であって、中小企業の経営者にゆだねられることはありません。また、それを「私しか解決できない問題だ」と認識する経営者もいないと思います。もし、おられるなら、経営者よりも政治家向きですね。
「業績が昨対15%ダウンしている。このまま行くと今期は赤字になる。銀行からも指摘があり改善具体策を要求されている。」これは経営者の問題です。謙虚に素直に「原因自分論」に立って解決しなければなりません。言い訳や責任逃れは論外です。会社を経営する以上、すべての責任はトップである社長の責任です。
「業績が良くないのはわが社だけでない。業界全体が衰退気味だし、世界景気も悪い。コロナの感染も拡大していて、見通しが立たない。」
「今年は予想外に災害が多くて、皆が頑張ったけれど受注不振で業績が悪化している」
「社員の退職が多くて困っている。他社が引き抜きをかけているようだ。決して少なくない費用を使って採用し、時間をかけて育成したのに情けない」
原因自分論に立った時このような発言は恥ずかしくて言えません。せっかく天があなたの力量を見込んで次のステージに進化させようと恩寵を与えてくださっているのです。問題をわがこととしてとらえ解決に向けて一所懸命に取り組まねばなりません。「問題」の本質は、あなたの成長チャンスなのです。