15年前の今日(2011年3月11日(金)14:46)は、永遠に日本人の教訓として忘れてはならない時です。東日本大震災でお亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
さて、今回は、目的と目標の関係を考えます。目的のプロセスに目標があります。目標はゴールではなく通過点です。
第一次世界大戦を経験し、二度と世界戦争が起きないように(目的)、世界中のエリートが知恵とリーダーシップを発揮して、戦後は戦勝国によって国際連盟(目標)が設立されました。しかし、15年もすると形骸化し、第二次世界大戦の勃発を許してしまいました。戦後は今度こそ失敗しないように、連合国によって国際連合が設立されました。しかし、すぐに朝鮮戦争、ベトナム戦争を主戦場とした東西冷戦を迎え、国連は崩壊の危機を迎えました。しかし、経済力の象徴としての基軸通貨と情報力の象徴としての海底ケーブルの設置数で圧倒的格差が生じていたため、第三次世界大戦にはなりませんでした。
経済力で東側の盟主として仲間の面倒を見る力がなくなったソ連が崩壊することで、世界はアメリカ一強の平和な時代を迎えました。しかし、それも束の間で、15年もすると平和な時代に経済力をつけたBRICsの成長で、5大国(米英仏中ロ)が三極(民主主義陣営、権威主義陣営、グローバルサウス陣営)に分裂し、共存状態になりました。経年劣化し、制度疲労を起こし、何も決められない茶話会的国連はXデーの秒読みに入ったのです。そこにトランプ大統領の登場で、「今まで同盟国をはじめ多くの国によってさんざん搾取された富を返してもらおう」とMAGAを公約に掲げ、忠実に実行しています。いままで目的と目標の間にあったルールは権威が剥落して、力をもった国が主張するルールに再構築される時代に入ったようです。「国際社会」の影響力は地に落ちています。
その現象が、最近は「戦争」と言わず、圧倒的有利な立場の国が「特別軍事行動」という表現で、準備が整うまで十分な時間をかけて、機が熟すと、国益リスクを排除する勧善懲悪という大義のもとで正当化し軍事行動を起こしています。狙われたら最後、攻撃された側は宣戦布告なき奇襲に応戦するか降伏するか、選択肢は多くありません。
さらに、特徴的なのは高度に進化したAI技術が作戦計画を立案し指揮している点です。ベネズエラの軍事基地内にある大統領官邸にいたマドゥロ大統領夫妻がいとも簡単に拘束されたり、イランのホメイニ最高指導者が厳重に警備された自宅執務室にいるところを爆殺されたりしたのはAI技術のなせる業です。アンソロピック社のAIエージェントをはじめ、数社のシステムが活躍し、攻撃は高性能ドローンと少数の特殊部隊がピンポイントで攻撃し、目的を果たしました。不思議なのは、緊張関係にある大国は、同様のAI技術やドローン技術やサイバー技術で国を守ろうとしているはずなのに、いとも簡単に負けるのはよほどレベルの悪い技術で固めているとしか思えません。まるでメーカーの技術展覧会の実地デモンストレーションを見ているようです。アメリカとイスラエルに協力したメーカーは株価も受注も爆上がりすること間違いなしです。
そして、インテリジェンス組織は、以前は人間(エージェント)が情報を収集し、分析して、意思決定していましたが、今はAIエージェントが人間では収集不能な世界中の防犯カメラ画像をハッキングし、電話盗聴、メール閲覧、陸海空ドローンが撮影する画像、ネット情報、ターゲットとなるPCデータ等のハッキングをリアルタイムに収集・分析・総合しているに違いありません。格段のアップデータを実現しています。
地上戦になれば、人間の力が大きく影響する肉弾戦で長期化するので、AIが得意な空中戦で短時間に終了させる作戦が増えます。
すでにご存じの方も多いと思いますが、世界最大の高性能ドローン生産大国は今やウクライナです。在庫も圧倒的に世界一です。ロシアの軍事作戦が始まったころには中国の技術を学んでいたようですが、実戦の中で改良に改良を重ね、得意のサイバー技術を生かしたAI搭載高性能ドローンは、トランプ大統領から「売ってくれ」と要求されるほどになりました。生き残るために(目的)、ひどい目にあった技術をマスターし(目標)、自国で設計し、自国で生産し、在庫し、輸出する。その資金でさらに改良を進める(目標)。目的に向かってまっしぐらです。
北朝鮮も同様で、生き残るためには(目的)、何としても核開発する(目標)。国民が餓死しても、友好国のパキスタンの技術者を高給で雇い開発しました。核弾頭を載せるロケットを開発するために(目標)、友好国のロシアにトップ自ら取り入って、最後のワンピースを手に入れて成功させました。今や50発以上の核弾頭搭載ミサイルを持ち、アメリカ本土を攻撃可能なICBMも持っている核保有国となっています。北朝鮮が何の意味もなく日本海にミサイルを発射するときは、どこかの国のバイヤーが来ている時だそうです。もちろん新技術の進捗確認もあるでしょうが、商談していると考えると非常に合理的につじつまが合ってきます。
振り返って、我が国はどうか、わが社はどうか。目的は何か、その通過点としての目標は何か。それを実現するための手段は何か。本気で考えないとXデーに巻き込まれそうです。
ちなみに今盛り上がっているWBCの侍ジャパンの井端弘和監督が名言を言っておられました。
「侍ジャパンにとって、WBC優勝は目標(通過点)であり、目的は野球好きの子供たちを増やすことだ」
