7月~9月にかけて基礎的な知識を得ることと実際に触って体験することを目的に「AI能力開発セミナー」をAI専門家にお願いして全8回にわたり開催し終了しました。
扱ったソフトはアメリカのオープンAI社の「ChatGPT4.0」、イギリスのStability AI「Stable Diffusion」、日本のドワンゴ社「VOICEVOX」、日本のNOTTA社「Notta.ai」、オーストラリアのCanva Pty Ltd社「Canva」、アメリカのGamma Tech Inc社の「Gamma.AI」、Google社の「Gemini」と「NotebookLM」、韓国のVoyagerX社「VREW」の9つです。マイクロソフト社の「Copilot」はMS365ユーザー向けで無料ではないので今回は対象にしませんでした。他にも50種類以上のAIソフトがあり、プログラム支援ができる高度なソフトもたくさんあります。
AI市場は想通貨同様に活況を帯びており、どちらも半導体と電力を大量に使用するので、ソフトや半導体開発はものすごい勢いで進歩するでしょうが、これを動かす電力が追いつかないのではないかと言われています。しかし、ビジネスニーズのあるところには必ず問題解決する企業や国が出てきますので、心配無用といえます。
AIができることは、膨大なネット上にある情報を瞬時に収集して、それを利用して、論理を構築・検証して、命令に対応した答え(成果物)を返すことです。その時に勝手に類推したり、質問者の癖や思考回路も学習していますので、適当な答えも返してきます。ネット上にあるのはFACTとFAKEが混在していますから、AIが返してきた答えが正しいかどうか必ず確認しないといけません。
メルマガNO.1371号でもお伝えしましたが、生成AI市場にブレイクスルーが起きたのは、2020年にOpenAI社が開発した1750億パラメータを搭載した「GPT-3」の登場です。パラメータとは私たちのニューロン(神経細胞)に相当するもので、人間の脳には1000億個のニューロン細胞がありますが1750億個というのは人間の脳の1.75倍の細胞を持っている高性能なプログラムということになります。しかも、人間の脳は天才でも13%(130億個)程度しか活用していないといわれていますので、人間能力の約15倍の能力を持っているともいえます。
半導体メーカーのAI専門家によると「数年内に100兆パラメータのモデルが出現する」と予言しています。すでに32兆パラメータの試験が始まっているそうですから可能性は高いでしょう。
このような高性能なプログラムソフトが開発された以上、ニーズに応じて際限なく進化することは人類の歴史が証明しています。あなたの写真があれば動画が作れますし、あなたの数秒の声があれば同じ声を作り出せます。話す癖まで学習させれば忠実に再現しますので見かけ上は本人だと誤認します。また、ChatGPTの日本語能力は極めて高度でほとんど違和感がありません。対応している言語は100以上ありますし、地方の方言さえ把握しています。日本語論文を英語論文にするのは瞬きする間にできます。(これは言い過ぎですが、それでも数分を要しません)
私がお届けしているこのメルマガを英語に翻訳すると25秒でできました。勿論、中国語、簡体語、韓国語なんでもできます。
会議の議事録も発言者がヘッドセットをつけて活舌を意識して少しゆっくり発音すれば、息遣いまでテキスト化します。要約することも、課題、期限、担当者、次までのアクションを整理させることもできます。
8月下旬に開催した台湾での展覧会には、新しい試みとしてChatGPTのSORAというソフトで元絵を作成し、それをもとに描画しました。
なんでも瞬時にできる万能機械で、適当に嘘もつきますし、間違いを指摘すると文句を言わずやり直します。一人ブレーンストーミングも可能です。今はどのソフトも無料でお試しできますから自分専用の有能な秘書を無料で雇えます。来年には有料化するでしょうからその時にサブスクで申し込めばよいと思います。
便利な道具を使うときには注意点もあります。まず、AIで答えを得る前に、自分の考えを持つ事、ストーリーを組み立てることです。そして、あらゆる仕事は下積み期間が必要です。いわゆる基礎をつくる見習い段階です。芸能でいえば「守破離」の「守」です。学ぶことは真似ることと言います。この期間にAIを使ってできた気分になってしまうと、勤続年数だけ長い考えない止の指示待ち人間を大量生産してしましますから要注意です。自発的に自立的に自分の考えをしっかりと持ち、どうすればできるかを沈思熟考する習慣がついている方がAIを使うと鬼に金棒になります。AIを使うことで低レベルの仕事は置き換えができますので、コストダウンはできますが、面白くない嫌な社会になってしまいます。
これを経営に生かすにはどうすればよいか。なんでもできるのでどう実務に落とし込むか、もっと言えば、本来業務以外の付帯業務を減らせるかがポイントです。
例えば、会社にかかってくる電話は要件別に番号を選んでもらう自動応答にすれば社員は別の仕事ができます。
各種日報は全社員が作成しますので、音声入力で所定様式に格納するAIにすれば運転しながら日報作成できます。削減できる手間を一人10分とすると年間で40時間節約できます。医療の世界ではAIによるカルテの音声入力はすでに常識になっていますので会計までほぼ無人化できます。受付周りのスタッフをカウンセリングや提案業務に配置できます。多くの人が関わり、独特のルールで手間がかかっている業務をAIを使うことで半自動化すれば次の成長につながります。
あなたの会社にはどのタイプのAI画向いているか、無料の間に試してみてはいかがですか? それと優秀なAI専門家を見つけておくことです。勿論、採用するのも一案です。