私たちの悪い癖で、同じ価値観が通用しなくなると「最近の若い者は何を考えているかわからない」とか「俺たちの若い頃はあんなことはなかった」などと懐古主義に浸って、「宇宙人」「新人類」「Z世代」などと異質な人のように区別してしまいます。かくいう私たちも若い頃は先輩に同じように言われて育ってきたはずなのに、立場が変わると勝手なものですね。これは成長ではなく老化なのでしょう。
マーケティングリーダは世代をグルーピング化して見事なネーミングをつける技術を持っています。
アメリカの世代表現は「ベビーブーマー世代」(1946~1964年)、「X世代」(1960年代~80年代)、「Y世代」(1980年代~90年代)、「Z世代」(1990年代後半~2000年前半)の4世代で、それぞれ約20年間で価値観が移り変わってゆきます。
名誉ある連合国のリーダーとして世界で戦い勝利してきた兵士から生まれた子供たちがベビーブーマー世代。冷戦時代の泥沼のベトナム戦争から精神を病んで帰国した兵士から生まれたX世代。深刻な景気後退で双子の赤字に悩み自信を無くしていたころに生まれたY世代。GAFAMに代表されるネット全盛世代に生まれたZ世代。
では日本ではどのような世代があるかといえば、「団塊世代(1947年~1949年)」「バブル世代(1960年代)」「団塊ジュニア(1970年代)」「ミレニアム世代(1980年代~90年代)」「ゆとり世代(1980年代後半~2005年ごろ)」「Z世代(1990年代後半~2000年前半)」が有名です。
生活が豊かになり時代背景によって価値観も変わるので、家族の在り方や子供の教育にも影響を及ぼすためこのような世代グループに分かれるのです。団塊世代、バブル世代、団塊ジュニア世代は高度成長期で明日は今日よりも必ず良くなることを誰もが疑っていませんでした。それがオイルショック、ドルショックを経験し低成長経済に入ると就職できるだけでラッキー、待遇もそれほど良くならない時代に生まれたのがゆとり世代です。バブル崩壊とともにネット社会が到来した頃に生まれたZ世代が誕生します。Z世代の親は高度成長期も後半で経済に陰りが見えてきた時代に生まれた団塊ジュニア世代で、彼らが大人になるころにバブルが崩壊し、就職氷河期を迎え、夢や希望をもって落胆するよりほどほどの現実的な生き方をし、無限の可能性を秘めたインターネットの洗礼を浴びながら社会生活を送ってきたのです。その親を見て育ったのがZ世代です。情報は既成メディアではなくLINE、SNSのネット空間からファクトとフェイクの区別なく正しいと信じて仕入れています。人とのかかわり方はネットを介した関係が中心で、考え方や個性や世代が異なる生身の人との関わり方はどうも勝手が違うようです。結構、孤独で不安なのではないかと勝手に推測しています。不安や自信のなさから自己肯定感を求め承認欲求が高いのも理解できます。また、おかれた場でぶつかり合って乗り越えるより、簡単に転職したり退職代行を利用するのも根っこは同じではないかと思います。しかし、中には私たち以上に古き良き日本人の価値観を持った方もたくさんおられます。
世代のグループ化とネーミングで異なる人種のように見えますが、根っこは農耕民族の日本人の本質を理解すればいかなる世代ともチームワークを組みパフォーマンスを上げることができますまた、海外ではその国の本質を理解しなければならないのは至極当然です。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」と喝破したのは戦国武将の武田信玄。立派な城を築くよりも、強い武士を育て、戦う集団を作ることの方が大切だと信念し、「信頼してこそ人は尽くしてくれるもの」と信じて家臣に積極的に話しかけていたと言われています。
稲盛和夫師は「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」とおっしゃいました。考え方は生きる姿勢であり、これにはマイナス100点からプラス100点まである。能力と熱意はプラス0点から100点まである。人生や仕事の結果はこの3つの積なので、いくら能力と熱意が100点でも、考え方がマイナス100点ではいただけない。考え方次第で人生や仕事の結果は180度変わってくるのです。いかに人間としての正しい考え方をもつことが何よりも大切だと言えます。
「事業は人なり」と喝破したのは松下幸之助師。「産業人」という概念を確立し、「社会生活の改善と向上を図り世界文化の進展に寄与せんことを期す」と綱領に明記されました。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」と喝破したのは山本五十六氏。命令は絶対服従が当たり前の軍隊ですら、人を動かすにはこのような極意があったのです。
企業は人がすべてで、人で決まります。人の能力を存分に発揮させるにはどうするかがいつの時代も重要なテーマですが、その参考になればありがたいです。