No.1356 ≪インテリジェンス脳と詐欺事件≫-2025.3.28

目加田経営事務所が主宰する社長塾で「インテリジェンス脳」を鍛えるコースがあります。日常会話で知的な人のことを「インテリ」といったりしますね。あの「インテリ」はロシア語のインテリゲンチャ(知識人、知識階級)の略ですので、英語のインテリジェンスとは異なります。
インテリジェンスは知性と訳されますが、自分にとって得になるために答えのない問いを探求することで「自分」を知る能力だと定義しています。別の表現を使えば、主に未来のシナリオを構築する上で、すでに証明され、認知されている事実データ(Date)、裏付け根拠(Evidence)、知識(Knowledge)や情報(Information)を収集し、分析・加工して、戦略決定し行動できる能力です。

玉石混交ならぬ真偽混交の情報洪水の現在において、大飛躍の飯の種もあれば、とんでもない詐欺情報もあります。本物以上によくできている偽物が横行しています。ファクトとフェイクの見分け方は実に難しい時代に入っています。このような環境の中で、インテリジェンス脳を鍛えることは、きわめて重要です。

警察庁の統計によると2014年~2023年の10年間で「特殊詐欺」の件数は漸増しています。様々な媒体を使ってあれだけ注意喚起しているにもかかわらず2014年の13,392件から2023年の19,038件へと増加の一途をたどっており、10年間で約16万人の方が被害にあっています。被害額は2014年の565億円から2023年の453億円と減少基調ですが、ここ数年は増加に転じています。10年間の総被害額は約3900億円です。
主な手口は「オレオレ詐欺」「預貯金詐欺」「キャッシュカード詐欺盗」「架空料金請求詐欺」があるようですが、冷静に考えれば「あれっ?おかしい」とわかりそうなものばかりです。
インテリジェンス脳を鍛えておれば、まず、被害にあうことはありません。しかし、多くの方が大金を搾取されている現状はいかにインテリジェンス脳を持っていないかの証左でもありますね。弱肉強食の生態系に生存する生き物は天変地異だけでなく空から陸から海から四方八方から天敵に狙われる危険と隣り合わせが常で、自分を守るために突然変異の如く変態し変身し進化し生き残って未来に存続させています。人間も同様に、ミスをすれば命を落とす常在戦場にいた人は自分の体を360度センサーのように本能を鍛え上げて必要な情報を察知収集し取捨選択していたように思います。治安もよく戦争もなく安全が当たり前の日本ではその本能が退化しアトポーシスされているように思えてなりません。

経営者の方がターゲットになっているのはポンジスキームを使った投資詐欺が多いと思います。なぜ、被害にあうのかがわからないぐらいに簡単に信用してしまう方がおられます。これからお話しするのは顧問先のA社長から私に相談があった事例です。もちろん、未然に防ぎましたが、A社長は仮申込書にサインまでしておられました。
A社長が日ごろから信頼しているセレブなB社長から「ここだけの話だけど、ある人から社債購入を紹介された。5年満期で毎年20%配当があって5年後に買い取ってくれる条件なんだ。そんなうまい話があるわけないと疑っていたんだが、その人は預金通帳を見せてくれて、ちゃんと配当金が振り込まれていたんだよ。それで、僕も信用して買ったんだが、ちゃんと配当金が振り込まれていたので、これは良い話を聞いたと思って、この前追加購入したんだ。その人から『誰にも言うな』と言われているが、日ごろから立派な経営者として信頼している君には教えたくてね。なんだったら紹介するよ」と言われた。セレブ志向の強いA社長は「(やはり特別な人にはそんなネットワークがあるんだと思い)ぜひお願いします」と伝えた。早速、社債販売会社のC社長が来られ、話を聞いて、その場で、仮契約をしたというのです。
私は「それでいくら契約されたんですか」と聞くと「一口2000万円だというので3口6000万円です」とのこと。
A社長は「それで、今日、社債販売会社のC社長が来られるので、本契約に立ち会ってほしい」と相談がありました。
代金回収に来られたC社長は若い女性でした。再度説明を求めましたら次のように説明されました。
「先日A社長様にご契約いただいた社債代金6000万円をいただきに参りました。この社債は名前は出せませんが、A社長様も名前を聞けばご存じの有名な上場企業です。Z社としておきましょうか。Z社がある筋から確実に利益の出る超極秘プロジェクトを受注されました。Z社も超極秘プロジェクトですので市場から公開で資金調達するわけにはまいりませんので、必要な資金200億円を関連会社のX社が社債発行して調達することになりました。超極秘案件ですので、だれかれなしに担当させるわけにはまいりませんのでX社から特命で私どもに200億円分の社債販売の依頼がありました。X社の社債は5年満期で毎年20%配当があり、5年後に元金で買い取るという条件です。例えば、5000万円の社債をご購入いただければ毎年3月に20%の1000万円を5年間配当します。5年後に社債をご購入いただいた5000万円で買い取らせていただきますので5年間で資金が倍になります。このようなきわめて有利な条件ですので、社債を購入いただく方は人間的に信頼できる方でご紹介者の人脈に限らせていただいております。B社長様からA社長様をご紹介いただきましたので、先日お伺いし契約していただいた次第です。これが、A社長様がご購入されたX社の社債購入契約書です。社債は発行しませんのでこの契約書が社債を兼ねております」
私は「よくわかりました。うれしい投資情報をお届けくださいましてありがとうございます。A社長は購入の意思を持っておられますが、A社長から全権を依頼されている立場上、間違いは許されません。拝見したところ、このX社の社債は私募債だと思いますが財務省に登録されているはずだと思いますが、登録番号が記載されていませんね。記録の関係上、財務省の登録証明書をお送りいただけませんか? それと振込先も教えてください。すべて確認がとれましたら振り込ませていただきます」
C社長は「承知いたしました。確認してご連絡を差し上げます」と言ってすんなりと帰られました。
A社長に「この話はポンジスキームの詐欺ですね。やめた方が良いですよ。私募債も偽物です。ただ、うかつに詐欺とは言えません。なぜなら5年後に元金返済がなければ詐欺といえますが、それまでは配当金が振り込まれておれば詐欺とは言えませんし、詐欺だというと名誉棄損で訴えられかねませんので、連絡があっても『この件は目加田さんにまかせているので確認してください』とおっしゃってください」と言いました。 C社長からの連絡はあれ以来ないそうです。後日ネットで検索するとC社長が「X社投資詐欺被害者の会」から訴えられているニュ