戻り台風14号の線状降水帯の影響で想像を絶する豪雨に被災をされた能登半島の皆様方に心よりお見舞い申し上げます。元旦の地震の復興もままならない時に立て続けに起きた今回の災害には言葉もありません。いつどこで誰が被災してもおかしくない現状は、今のハザードマップでは命が守れないことを証明しています。今後の国土強靭化の進め方を根本的に再考しなければならない時期に来ているようです。
立憲民主党代表選(9/23)の結果は野田元総理が代表に決定しました。政権交代を本気で進める決意を表明されました。9月27日は自民党総裁選の結果も出ますので、日本の行く末、進路が見えてきます。公約のほとんどは当選すると履行されないと言われますが、今回はそのようなことがないようにしていただきたいものです。
ものの見方三原則は「今」を見る非常に有効な思考法です。科学技術、中でもデジタル技術、再生技術の進歩により政治・経済・軍事・教育を含めた社会の在り方が大きく変化してきているのを感じているのは私だけではないと思います。出来事の表面をとらえて一喜一憂するのではなく、出来事の背景や因果関係やそれぞれの思惑、利益に総合的に探求し、連続する一つの事象としてとらえて、その事象を長期的にみる、多面的にみる、根本的にみる(ものの見方三原則)ことで事の本質をとらえ核心に迫ることが重要です。
100年先の未来(2124年)から現在の地球や世界を見るとどのように見えると思われますか? 今から100年前の1924年はどのような世界だったか見るようなものです。
ご存じのように、100年前の1924年の世界は、人類史上初めて世界中の国を巻き込んだ悲惨な第一次世界大戦が終わり、1919年から2年にわたるパリ講和条約締結後、二度と世界大戦を起さないように願いアメリカのウイルソン大統領(民主党)主導で国際連盟が1920年に設立され戦後処理が終わりました。1919年は敗戦国のドイツは莫大な賠償金を課されハイパーインフレに苦しみ、戦後の混乱の中でナチス党が結党した年でもあります。1920年のアメリカ大統領選挙では病気で出馬しなかったウイルソン大統領に代わり、共和党のハーディング大統領が政権を担いました。ハーディング大統領の主張は「アメリカを第一に」(America First)で、ヨーロッパの戦争にも反対、国際連盟には反対でしたので参加していません。一方の超大国ソ連は共産革命直後の混乱期にあり国際連盟には参加しませんでした。国際連盟の運営は常任理事国(フランス・イギリス・イタリア・日本)に委任されましたが、「全会一致の原則」を堅持していた国際連盟では米ソ2大超大国が不参加の中で何も決まらない混乱が続き、戦地となったイギリスとフランスは経済的に疲弊しており、日本が事実上の重責を担わされるという事態になりました。アジアの列強国日本はその後、大戦不況に見舞われ、原敬首相暗殺事件、関東大震災、金融恐慌と社会が混乱し、次第に軍部が勢力を伸ばし中国大陸進出、満州事変、5.15事件、国際連盟脱退、2.26事件と戦乱の時代に突き進んでゆきます。2024年現在起きているロシア・ウクライナ戦争、イスラエル・ガザ戦争、アメリカの分断、中国の権威主義の昂進等様々な出来事がオーバーラップして見えてしまいます。
さて、最近遠く離れた中東の地で起きた2つの出来事と中国に関する1つの話題に驚きました。
一つは9月17日にレバノン・ヒズボラが配下に配布した3000台のポケベルの一斉爆発事件です。技術の進歩により、今やスマホのGPS機能を使って敵の要人の居場所を特定しピンポイントで暗殺したり、AI顔認証搭載のドローンが特定の人物を探索し攻撃することが当たり前になりました。ヒズボラは敵から身を守るために、全メンバーのスマホを廃棄させ、代替の情報伝達手段として用意したのが前近代的なポケベル(台湾ブランド)でした。これが一斉に爆発したのです。
2つ目は9月18日にトランシーバー(日本製ブランド)が一斉に爆発する攻撃が行われました。敵に察知されず盗聴されない前近代的な通信手段のトランシーバーが準備され、これが一斉に爆発したのです。身を守るための武器が身を亡ぼす武器に代わったのです。
誰の仕業か不明ですが、ここまで相手の情報を把握し行動を読んで周到に準備を進め一斉に相手を無力化させる発想と技術と行動には戦慄します。空爆や艦砲射撃は不特定多数の人々に被害をもたらしますが、今や敵の陣容やビハインド情報をスパイがすべて把握したうえで、特定個人を攻撃するようになっているようです。
中国に関する1つの話題は、サイバー空間における認知操作、いわゆる世論調査が国家ぐるみで行われている実態が2024年9月20日NHKの特集番組https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240920/k10014585911000.html で報道されています。報道によると「2024年2月に中国のサイバーセキュリティー企業(「i-SOON」在上海)の“内部文書”がネット上に流出した(のを台湾のセキュリティ企業T5が発見した)。詳しい実態が分かっていない中国のサイバー空間での「暗躍」を明らかにできるのではないか。NHKは世界7つの国と地域の専門家と文書を徹底分析した。文書に含まれていたのは、SNSで世論をコントロールするシステム。取材を進めると、中国による『世論操作』の一端が見えてきた。」というものです。文書中にあった「Twitter世論コントロールシステム」はアカウントの乗っ取り手順と大量のアカウントをコントロールする方法が書かれているそうです。「Twitter世論コントロールシステム」の最初の現場は香港民主化運動の鎮圧時に使用され大成功を収めました。武力鎮圧よりも効果的だったようです。ネット上でAI生成による無数の市民が「政府擁護、民主化運動批判」を展開するのです。フェイクとは知らずその画像を見た人々は次第に政府にとって都合の世論に傾いてゆくのです。ご興味のある方はNHK特集をご覧ください。驚異的なスピードで進化する生成AI技術によって作成された動画は、初期のころのような不自然さはほとんど見られず本物以上に本物に見えます。動作音が無音のEV車がわざとエンジン音を発して歩行者に注意を発するように意図的に不自然なAIを生成してマーケティングに使うようになっているように何が本物で何がフェイクかわからない時代に私たちは生きています。認知戦の本家、孫子の兵法の国、中国は認知戦の先進国です。4000年以上の長きにわたって詭道を磨き上げ、今ではAIを使ってさらに進化しているのは大いなる脅威といえます。
これらの事例の教訓は、本当の情報は信頼できる「人」からしか入手できないことです。信頼できる人とは「たとえ騙されて命を落としても後悔しない」くらいに信頼できる人を見つけその輪を広げることだと思います。
経営も全く同じだと思います。