予測不明のトランプ関税と国内景気対策で百家争鳴の感がある最近の動きはまさにVUCA(Volatility:変動性、Uncertainty:不確実性、Complexity:複雑性、Ambiguity:曖昧性)そのものですね。
VUCAの意味をGoogle Cromeで試験運用されているSearch Labsで検索すると「AIによる概要」による説明を要約すると「VUCAの概念そのものは1985年ごろ出版された「Leaders」で提唱され、ダボス会議で取り上げられて世界中に広まったそうです。同じころにソ連崩壊後の1990年ごろにアメリカの陸軍士官学校でも提唱された」(要約)らしいです。40年前に提唱された概念が今も通用しているのですから不透明な世界は何も変わっていないのです。
ただ、そんなVUCAの中で比較的明確な見通しがある分野の一つに地政学的な安全保障問題があります。米ソ冷戦から米中冷戦へ、民主主義の衰退と権威主義、グローバルサウスの誕生、BRICSやASEANの成長による脅威は緊張を否が応でも高めています。緊張が高まると軍備増強が進み、核開発も進みます。
人類の歴史は戦争の歴史であり、覇権を競う歴史です。戦争のやり方も技術イノベーションと共に変化して、産業革命後は国境のある地上戦を戦う陸軍(ランドパワー)優位の時代から内燃機関の発達で地球上どこにでも自由に移動して敵地を攻撃できる海軍(シーパワー)が主力となり、第一次世界大戦後はさらに自由に高速で移動できる空軍(エアパワー)が主力になり、第二次世界大戦後は核戦力を保有することで覇権を競いました。冷戦終結後はコスト的に安いサイバー戦、ドローンやロボットによる無人戦、さらには宇宙空間が主戦場になっています。おそらく次は月や火星の開発競争が主戦場になるのではないでしょうか。
ミサイルから国を守るアイアンドームも実用化されている現代、かって脅威となった武器が陳腐化・無力化されて新たな武器が登場するイノベーションの時代です。
陸軍、海軍、空軍、海兵隊、サイバー軍、宇宙軍の防衛市場は、確実に成長する成長市場です。これは特定の巨大企業だけの独占市場ではありません。巨大企業といえどもすべて自前でワンストップ対応できているわけではありません。閉鎖的で重層的なおびただしいサプライチェーンに支えられて成り立っています。そこには無数の中小企業の存在があります。中には秘密のベールに包まれて何の部品かわからないものもあるのではないかと想像します。
そこで提案です。中小企業もこれら成長市場のすそ野にアクセスしませんか? 防衛産業も幅広いですから、どの分野を目指すかは企業の得意分野によって異なるでしょう。武器弾薬はさておき、モノとしては、命を守る軍服や装備品、消耗品、兵糧支援の機器、過酷な戦地に対応した食品や飲料、宇宙船や人工衛星で使用する部品や消耗品、護身用具、特殊車両、空飛ぶ車、ロボット等無数にあります。サービスとしては隊舎などの建築物の設計・施工・維持管理、隊舎での食堂経営、基地内での人材教育、ソフト開発、ITデバイスの導入及びメンテナンス、警備・警護サービス等幅広い分野があります。
「宇宙産業、IT産業、防衛産業の先端テクノロジー分野に進出します」とか「地域の安心・安全に必要なサービスを開発し提供します」というビジョンを掲げることで成長産業の一端を担う可能性が高まります。
防衛省、JAXA、産業技術研究所、理化学研究所、国立情報学研究所、情報通信研究機構、農業・食品産業総合技術研究機構等様々な研究機関が成果を上げるためにしのぎを削っています。特に防衛省、JAXAは具体的なビジネスに直結する案件がたくさんあります。防衛省の中でも沖縄施設局は日本の防衛の要でもあり、ものすごい数の入札情報が掲載されています。もちろん参入障壁はありますが、松下幸之助師の口癖のように「まず思うことでんな」から始めればよいのです。
ちなみに、沖縄防衛局のホームページから入札情報 https://www.mod.go.jp/rdb/okinawa/contract/order/ を見てみると、建設関連が多いですが、1~100億円の入札情報が約200件掲載されています。前年度は約350件の入札情報が掲載されています。成長産業への参入を模索しませんか?