No.1152 ≪物は生きている!≫-2021.3.12

あの未曽有の被害を出した2011年3月11日 14時46分東日本大震災から10年が経ちました。1995年1月17日 5時17分 から26年。

「あの日を忘れない」ことが最大の鎮魂かと思っています。犠牲になられた皆様に哀悼の誠を尽くすとともに被害にあわれた方々の平安をお祈りします。
「物は生きている。物はこれを生かす人に集まる」。毎週の倫理法人会モーニングセミナーの始まりの儀式で唱和する17か条の栞の一節です。動物、植物に限らず、この世に存在するありとあらゆるものは生きています。それは「働き」という命をもって生きているのです。
例えば、空気は多くの生命に息吹を吹き込み生かす「働き」があります。鉛筆は紙に文字や絵を表現する「働き」があります。物を大切に扱い感謝して「働き」を生かしてもらえると物は喜びます。そうしてくれた人に恩返しをしようと思います。

私はある時、皮コートと出会いました。そのコートに出会うまでは安いコートを数年毎に買い替えていました。今から思えば、結構乱雑に扱っていたと思います。妻が「安物買いの銭失いというでしょう。少し高くてもよいものを大切に使えば結果的に安い買い物になるから良いコートを買いましょ」といって37年前に、当時の月給相当の高級でかっこいい皮コートを買ってくれました。皆が羨ましがって、いらなくなったら譲ってほしいという人が何人もいました。クリームを塗ったり、ボタンが緩むと糸で補強したり、手入れしながら今でも現役で活躍してくれています。大事に扱い、物の持っている能力を存分に生かしてやると物が恩返ししてくれるのです。

お金も同様です。「無駄遣い」とか「お金をどぶに捨てる」とか「湯水のごとく使う」という言葉がありますが、このような使い方をされるとお金は喜びません。感謝して大切に使ってもらったり、誰かの役に立つような使い方をしてもらうと喜びます。財布にいれるお札は、しわを伸ばすだけでなく金種ごとに向きをそろえるとか、場合によってはアイロンをかけるとかします。硬貨は酢や洗剤で洗うと元の輝きを取り戻します。もし、私がお札ならどうしてほしいと考えればすぐにわかることです。すると、お金が友達を連れてやってきます。時に団体で来られることもあります。お金だって居心地の良いところに行きたいのです。

車や道具、設備、家屋等は言うに及びません。もしあなたが〇〇だったらと考えて実践してみてください。きっと奇跡のような出来事が起きますよ。

物でさえ生きているのですから、人間ならなおさらですね。
「適材適所」という言葉があります。人の持てる能力を見出して、それを生かす場に配属することです。誰でも得手不得手、向き不向きがあります。本人が考える得手不得手と人が考える得手不得手は違う場合がほとんどです。かって野茂投手は仰木監督に見出され大成長しました。アドバイスを素直に受け入れて投法を変えたところ、あのトルネード投法が生まれ、アメリカの大リーグにおいて日本人選手が活躍する道を開きました。どのような職場にも「今一歩伸びきらない社員」はおられます。その人の良さが生きていないのです。人の上に立つ人はこのような社員の良いところを見出してそれを生かせる環境を整えるのです。自分好みにするのではなく、その人好みに生かし切るのです。

A君は、まじめで誠実で嘘がありません。何事にも一所懸命ですが、一向に目が出ないのです。聞くと、営業が得意だというのですが、どう見ても一番不向きなのです。いつもおどおどして自信のなさが全身からオーラとして出ています。構えすぎて相手の懐に飛び込めないのです。そこで、簡単に取れない資格に挑戦させることにしました。するとどうでしょう。一発で合格するのです。どの資格もすぐに合格します。その資格をつかった仕事に就かせると、生き生きとして、お客様からも頼りにされ、大活躍したのです。物は生きている、人はなおさら。経営者はこの原点に立ち返り、わが身を点検してはいかがでしょうか?