No.1192 ≪2022年壬寅を読む≫-2021.12.22

来年の干支「壬寅(みずのえとら)」を安岡正篤師の「干支の活学」(プレジデント社刊)及び関西師友協会の出版物を元に読んでみましょう。
2019年師走に発生した武漢肺炎が2020年「庚子(かのえね)」には世界中にまん延しパンデミックになりました。「庚子(かのえね)」の本質「従来の価値観が通用しない大きな変化のきっかけとなる年」そのものでした。
その変化の流れを汲み2021年「辛丑(かのとうし)」は「実力行使しても断乎改革遂行の年」でした。
mRNAワクチンという画期的な発明で、数年かかるワクチン開発がわずか数か月で製造及び接種まで可能にする驚異的なテクノロジーは「辛丑(かのとうし)」の本質そのもので、世界中で人体実験が行われました。この副反応が数十年後の子孫に悪い影響を与えないことを願うばかりです。

政治の世界でも断乎改革遂行が行われ、アメリカでは民主党のバイデン大統領が就任し、アフガンから米軍が完全撤退することでタリバン政権が復権し混乱の極みを迎えています。ヨーロッパではロシアによるクリミア併合ともとれる軍事的なプレゼンスが続いており、きな臭い緊張が発生しています。中国では習近平氏が毛沢東、鄧小平に続き歴史決議を行い「神」となりました。香港では民主運動が弾圧され返還後50年間は現状維持するという約束は20年で反故にされ一国2制度は形がい化し次は台湾危機が叫ばれています。ミャンマーでは軍事政権が発足し民主勢力は一掃されました。ベラルーシも危険な状態です。
日本では菅政権のもとでコロナ・ワクチン接種は世界最低から世界最高へと急速普及しました。様々な問題はありましたが、パンデミック下で人類史上初の無観客オリンピックも開催されました。9月には岸田政権が発足し10月の総選挙では圧倒的な議席を確保しました。断乎改革遂行の年の翌年にあたる2022年はどのような年になるのでしょうか?

干支(えと)の前部分にあたる十干は陰陽五行を表しています。五行とは「木」「火」「土」「金」「水」を言い、陰陽は兄(エ)と弟(オト)で、五行それぞれの兄と弟で生命・エネルギーの変化を表しています。種から芽が出て成長して木となる、木が成長すると摩擦で燃えて火が起きる、火が燃えると土となる、土は鉱物(金)を育て、鉱物のある所には水が生まれる、水はすべてを押し流すとともにすべての命の種を育てる。それで木の兄(キノエ=甲)、木の弟(キノト=乙)、火の兄(ヒノエ=丙)、火の弟(ヒノト=丁)、土の兄(ツチノエ=戊)、土の弟(ツチノト=己)、金の兄(カノエ=庚)、金の弟(カノト=辛)、水の兄(ミズノエ=壬)、水の弟(ミズノト=癸)で十干になります。

十二支は生命・細胞のライフサイクルで誕生から老衰のプロセスを意味し、子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥で表現されています。
子(ね)は無数の生命がやどる状態で、丑(うし)は母の胎内から出て手を伸ばしている姿、寅(とら)はすくすくと成長するさま、卯(う)は成長して戸を開けて積極的に未開の地を開拓する、辰(たつ)は開拓を進めると出くわす障害物を取り除く、巳(み)は地上の障害物を取り去ると地中に隠れていた問題が表面化する、午(うま)はそれによって事態が紛糾する、未(ひつじ)は事態収拾のためには思い切った改革が必要になる、申(さる)はそれぞれの勢力が伸長しさらに紛糾する、酉(とり)は新しい勢力が甕の中で発酵し勢いを持ってくる、戌(いぬ)は様々な勢力が入り混じりカオス状態になり、亥(い)はついに核爆発を起こしご破算になり、次の循環、すなわち母の胎内で生命が誕生する子(ね)を迎える。この一連の生命・細胞のサイクルが十二支となります。

2022年は壬と寅の組み合わせです。
「壬(みずのえ)」は五行で言えば「水の兄」の意で、生命を育む不可欠な要素ですが、荒れると大災害を引き起こす力を持っています。また「壬(みずのえ)」には3つの意味があり、一つは荷を担う、役目に就く、責任を持つ。任命とか任用という。二つ目ははらむ、つまり妊娠である。三つめは意志が弱くへつらうとかおもねるという意味で、時局便乗型の人を任人とか奸人といい、佞人にも通じ信頼のおけない人間を意味する。事に当たり重用する時には人を良く見て無欲恬淡の人を選ばないと大変なことになります。2022年は国政選挙の参議院選挙をはじめ、地方自治体の選挙は649か所で実施されます。中でも4月の統一地方選挙は209か所もあります。まさに「人事」が大きな意味を持つ年といえます。
この時に注意しなければならないのは、粗食の時はめったに食中毒にもなりませんし長命でしたが、美味美食で豊食飽食になると中毒が増え病気が増え短命になります。これは人物にも言えます。お金も地位も無縁の一介の野人の時はさっぱりした清廉な人が多いですが、お金も地位もついて回ると堕落し狂いだし中毒患者になってしまいます。よくよく人を見ることが重要な1年です。

「寅」の季節は春で1月、方角は東北、時間は早朝3~5時、五行は「木」です。寅の象形文字は人が約束したり協力する、同僚と力を合わせて物事を推進する意が含まれています。その時に重要なのは心構えです。「慎む」「敬う」心が重要です。また、寅(虎)は夏から冬にかけて毛が生え変わり見事な黄毛になることから、易では「大人虎変し、君子豹変す」といわれます。

10年サイクルの十干「壬(みずのえ)」を振り返ると、2012年:習近平国家主席誕生、2002年:中国と台湾がWTO加盟、1992年:中韓国交樹立、1982年:中印国境協議、1972年:沖縄返還、日中国交樹立、1962年:キューバ危機、1952年:日本独立がありました。
12年サイクルの十二支「寅(とら)」を振り返ると、2010年:ギリシャ危機、1998年:ロシア危機、1986年:チェルノブイリ事故、金融ビッグバン、1974年:ニクソン大統領辞任、田中角栄総理辞任、1962年:キューバ危機、1950年:朝鮮戦争がありました。

60年サイクルの干支「壬寅(みずのえとら)」を振り返ると、1962年10月はアメリカの庭先キューバにロシアが攻撃用ミサイル基地を建設したことに対してケネディ大統領は海上封鎖で応じ、米ソ一歩も引かず世界中に緊張が走りましたが、ロシア・フルシチョの申し入れにより危機は回避されました。翌年、ケネディ大統領が暗殺されました。
さらに一回り前の1902年はロシアの南下政策に対してヨーロッパではイギリスが、極東では日本が危機感を抱いており、両国の戦略的インテリジェンスで日英同盟が締結されました。その後、八甲田山死の彷徨で有名なロシアを意識した軍事訓練がなされた年でした。日露戦争はその2年後に始まりました。

「壬(みずのえ)」と「寅(とら)」から2022年は大きく変容する世界や社会に、人物を得て、従来のやり方を一新する大変化の年になるかもしれません。
私たちができることは、謹んで謙虚により良い社会の実現に向けて、会社の持つ使命を認識し大きな役目を担ってゆくことです。地道に一灯照隅行の邁進につきます。