No.1141 ≪天からのメッセージ 易にでていた危機≫-2020.12.14

毎年12月になると、翌年の占いを干支と易で行っています。果たして、その結果がどうだったのか、本質をついていたか、まったく外れていたかを点検し反省し教訓として森羅万象の解読力を養います。先週は干支の振り返りを行いました。今回は易の振り返りです。

昨年の12月18日号(N0.1093)にて「2020年こそGDP3%達成できるか」の易占結果を報告しています。
ご存じのように易は様々な角度から現象を分析し判断します。あいまいな表現でわかりにくいかもしれませんが、お付き合いください。昨年の易占結果の概要は次の通りです。

「本卦は「地沢 臨(ちたくりん)で、2020年8月までは見事に実現する。しかし、大所高所からこれを見る綜卦(「風地 観(ふうちかん)」)は、もうすでにピークアウトし、陽から陰に向かっている。何かと、落ち着かず不安定になりやすく、しっかりと周囲を観察しないと危険な目に遭う。情報は錯そうし、入れ代わり立ち代わりに複雑な情報が入るので、冷静に長期的な目で判断し、容易に決断をしない方が安全だ。こだわりは禁物で、引き際が肝心。潔くきっぱりと身を引くほうが良い結果になる。
では、本卦を建前ですので本音の錯卦を見てみると、「天山 遯(てんざんとん)」となり、反対勢力やマイナス気運が勢いを増してきている。暗雲が立ち込めてくるので、できるだけ早め早めに安全を担保しなさい。しかし、筋を通して、義理を欠かず、謙虚に、正しい行いを全うし、円満に問題解決すれば大丈夫だ。
隠れている事情や伏在する危機をみる互卦(「地雷復(ちらいふく)」)は、絶望的な出来事やネガティブな情報ばかりが襲ってくるが、一条の希望の光を発見することができる。この希望の光を注視して、前向きに物事を考え、やる気を大事に育ててゆくことが大事だ。
うんざりするような長い忍耐を要する困難を乗り越えて、ようやく自分を取戻し、回復を始める明るい変化を予感し、楽しくて何かを始めたくてウズウズするが、そこは忍耐のしどころで、実行するだけのパワーはないので油断することなく、蓄積に努める事だ。」

昨年の今頃は、まさかコロナ禍一色の1年間になるとは想像もしていませんでした。しかし、いち早く行動を起こした国が世界で1国だけあります。台湾です。中国の武漢でのインフルエンザのネットニュースに触れ、SARSの教訓を生かしたのです。ちょうど12月14日に来日された台湾人経営者は「中国で悪性のインフルエンザがはやっている。大変なことにならなければよいが」と懸念されていました。台湾人経営者を迎えた私たちは全くその気配さえ感じていませんでした。このインテリジェンスの差が命運を分けました。

コロナ危機を全く予想だにしていなかった私の危機感は2つの「臨界点」でした。一つは環境の臨界点、もう一つは経済の臨界点です。COP25でスウェーデン人少女のグレタさんの国連演説に象徴されているように、CO2の増加で、北極の氷が溶けだし、昆虫が爆発繁殖し、深刻な山林火災が多発していました。CO2を出さない発電、水素自動車や電気自動車等にシフトしないと地球環境の臨界点を迎えるという危機感です。日本ではほとんど無関心状に近く、世界の投資対象はESG及びSDGsアクションにシフトしていることと比べると大きなギャップがありました。
もう一つの経済臨界点は、世界中の中央銀行が金融緩和に舵を切り、行き場のないカネが株式や債券などのデリバティブ市場に流れ込み、実体経済の数十倍の規模に膨張していることに対する危機感でした。もし何かあればリーマンショックを数十倍規模のパニックが引き起こされることは明らかでした。私は、この2つの臨界点の観点から易占結果を読んでいました。全くの危機の意味が違っていました。この2つの臨界点はコロナ禍のおかげで隠されてしまいましたのでさらに危機は深刻だといえます。

1月16日に武漢市から帰国した日本人男性から新型コロナウイルスが初めて発見され、日本では連日新型肺炎報道一色に染まってゆきました。決め手は2月3日に横浜港に入港したダイヤモンドプリンセス号から感染者が出たことです。すでに2月1日に特別措置法が制定されていましたが、中国観光客を乗せたバス運転手やガイドが感染し、次第に船から国内に広がっても入国制限はありませんでした。水際対策が盛んに叫ばれましたが、習近平主席の国賓招聘を中止する処理がうまくできなかったのか、安倍政権が海外からの入国を禁止したのはなんと4月2日です。
「政治は経済に優先する」ことが原則です。企業は自己責任でリスクから自己防衛をしなければなりません。
そこで、政府の決断を待っていたのでは間に合わないので、通常は固定費の最低3か月分ですが、今回は感染症ですので6か月分、できれば1年分の軍資金を調達することを顧問先に提案しました。おかげさまで好業績の顧問先が多かったため、低利で調達することができました。政府のコロナ資金も極力利用して手元資金を増やしました。多すぎて困ることはありません。

今から思えば、易占にはそのリスクが出ていました。
「大所高所からこれを見る綜卦(「風地観(ふうちかん)」)は、もうすでにピークアウトし・・・不安定になりやすく、しっかりと周囲を観察しないと危険な目に遭う。入れ代わり立ち代わりに複雑な情報が入るので、冷静に長期的な目で判断し、容易に決断をしない方が安全だ。こだわりは禁物で・・・潔くきっぱりと身を引くほうが良い結果になる。錯卦(「天山遯(てんざんとん)」)は、反対勢力やマイナス気運が勢いを増してきている。暗雲が立ち込めてくるので、できるだけ早め早めに安全を担保しなさい。
但し、筋を通して、義理を欠かず、謙虚に、正しい行いを全うし、円満に問題解決すれば大丈夫だ。」のメッセージがそれです。
見えない天からのメッセージに耳を傾けましょう。