No.1127 ≪ピンチがチャンスに、チャンスがピンチになる≫-2020.8.26

盆明けの8月17日に内閣府より日本の4月~6月のGDP速報が発表されました。年率に換算するとなんと△27.8%で戦後最悪を記録しました。5月18日に発表された1月~3月のGDP速報では年率換算で△3.4%でしたので、緊急事態宣言発令後の日本経済の落ち込みの激しさを物語っています。
経済の激しい落ち込みは日本だけでなく世界の先進国でも起きています。2020年7月30日にアメリカ商務省発表によると、4月~6月の成長率は年率△32.9%で、1947年以降最悪を記録しました。その翌日の7月31日にEU統計局の発表では年率△40.3%で、過去最大を記録しました。ブレグジット後のイギリスは、8月12日にイギリス国家統計局の発表では、年率△20.4%となり、リーマンショック以来11年ぶりの落ち込みになりました。
7月16日に中国国家統計局の発表によると、年率で△1.6%でした。わかっているだけで世界のGDP85兆$の約70%がマイナス成長なのです。

コロナ禍はいずれ終息するので、その後の経済成長を見据えて、ニューヨーク・ダウ平均も日経平均もロンドンも上海も株価が軒並み高騰しています。一方で、換金価値の高い金相場は7月31日に史上最高値のトロイオンス当たり2,000$を突破しました。(8月24日現在は1,947$)。世界同時コロナ不況と世界同時株高と金高騰。皆さんはどう読まれますか?
誰もが経験したことのない道を歩いていますので、何が起きても不思議はありませんし、今までの教訓が全く当てはまらないので、どの意見も正しくて、どの意見も正しくないでしょう。しかし、確実にいえることは、世界的な不況対策として2022年までは世界各国で異次元の金融緩和策がとられることは間違いないようです。世界中でコロナ禍で破壊したビジネスを復興しなければなりません。大企業だけでなく、SOHOや個人事業主等の企業を積極的に支援する政策が出てくると思います。日本をはじめ世界のリーダーのリーダーシップに期待したいと思います。

コロナ禍の中で、新しい着眼で様々な新常識や新ビジネスが誕生しています。特に「医療関連」と「非接触関連」はねらい目です。おそらく、コロナ禍が終息しても全く前の状態には戻らず、従来のビジネスと新しいビジネスが混ざり合って化学反応を起こして発展すると思います。

例えば、ローコストと高効率を追求して中国に進出したメーカーは中国サプライチェーンを構築しましたが見事に破綻しました。中国以外の国へ進出したり国内回帰したり、サプライチェーンの複数化が進みました。
また、国内回帰する場合は、非接触とコストダウンの両方を実現するロボット化&省力化を推進しています。
観光立国に舵を切って4000万人のインバウンドを達成し、東京オリンピック、IR、世界遺産認証でさらに爆発させようとLCCはじめ飛行機、新幹線のリニューアル、リニア新幹線、大型ホテル、IR誘致等巨大開発投資は大きく棄損し、取り戻すまで相当の時間がかかります。
コロナ禍は日本の伝統的営業芸(会ってなんぼの営業訪問、ローラー訪問、接待攻勢、飛込訪問等)を全滅させました。非接触リモート商談やオンラインプレゼンに様相が一変し、PCを使えない営業のベテランを駆逐し、PCスキルはあるが営業マインドの弱い若い新人の競争になりました。デジタル技術の熟練度が営業成果に直結するようになったのです。
大規模展示会&商談会&ライブは事実上破綻し、デジタルオンラインによるAR&VR型展示会に変わりました。
パワハラ頻発の飲み会から、いつでも退出できるオンライン飲み会に変わり、集合セミナーからオンラインウェビナーに、会議や商談はリモートに変わり、ニコポン式コミュニケーションはデジタルコミュニケーションに移りました。
今や証券マンは顧客にZOOMの扱い方を教え、営業インフラ整備に汗を流し、タクシーはひろう時代から配車アプリで呼ぶ時代に変わりました。配車アプリなら感染リスクの高いお金を触る必要もありません。
少し前まで多店舗化によるスケールメリットで値下げし、満席フル回転の高効率で賑わいを出し、おもてなしを充実する人材採用を強化して大繁盛していた勝ち組外食企業は失速し、十分なスペースをとって安心安全をアピールし、人のおもてなしよりも非接触&省人化で、高単価を実現した企業が勝ち組になりそうです。くら寿司はホログラムパネルで自動会計を取り入れ、入店から退店まで無人で完結する店舗を展開してゆくそうです。
また、最近は山林が良く売れているそうです。坪1000円程度ですから、5000坪でも500万円です。そこで、家族や親しい友人知人だけで楽しむマイキャンプ場を作るのがブームです。
テレワークに慣れた人はネット環境さえ整えれば、場所は問わないので、どんどん地方に、リゾートに、山に、海に移動してゆきます。過疎の限界集落が子供の元気な声が響き渡り大いに活性化します。
大規模商業施設でのシネコンの登場と夜しか上映できないことがネックになり、2000年ごろには日本から事実上消滅したドライブインシアターがコロナ時代のファミリーレジャーとして脚光を浴びています。
周囲で起きている新しい常識に注目しましょう。きっと発見があります。