No.1122 ≪ストレスをためずに現代を生き抜くコツ≫-2020.7.15

残念ながら2012年で調査は終了しましたが、厚生労働省の「労働者健康状況調査」に次のようなデータがあります。「仕事や職業生活でストレスを感じている」人の割合は、年々増加しており、1982年には50.6%でしたが、2012年には60.9%と10%以上上昇しており、年代的には30代、40代が最も高く65%以上がストレスを感じているというのです。現代人はそれだけ仕事にストレスを感じていることになります。何にストレスを感じるかといえば、仕事の質、量、人間関係だそうです。
適度なストレスは日常生活や健康を増進するうえでプラスになりますが、過度のストレスは免疫力を落とし病気を誘発することが知られています。

アメリカの心理学者の実験によると、人はストレスのない環境に長い間置かれていると、体温調節機能が働くなり、暗示にかかりやすいことがわかりました。生命の危険に直面するのです。
また、ネズミにかごの中の輪の中をクルクルと走らせる実験で、自分勝手に走らせると1日8Km走り続けても特に異常は起こしませんが、強制的に走らせると2Kmぐらいで高血圧の発作を起こすそうです。同じ環境にあっても好きでやっている時とやらさられている時とのストレスの作用が全く違うことが実証されています。

私たちはストレスをどう処理するかで、健康寿命や生活の質が変わってしまいます。では、どのような人が害のあるストレスをためやすいのかというと、次の10項目になります。
1.何事も完ぺきをめざす
2.責任感が強い
3.人に頼むのが苦手
4.頼まれると断れない
5.周囲の評価が気になる
6.勝ち負けにこだわる
7.コンプレックスがある
8.何事も「やらされている」感がする
9.心を許せる話し相手がいない
10.趣味といえるものがない

あなたはいくつ当てはまりましたか? 多ければ多いほど危険なストレスをためますので、意識して発散しなければなりません。ちなみに私は、1項目でした。10年ぐらい前の私だと、5項目ありました。
これは価値観と密接に結びついていますのでやっかいです。プロフェッショナルとは「何事も完璧を目指す」ものですので、これは外せません。しかし、最近は、自分で「完璧」と思っていても、相手はそこまで求めていないことがわかり、ほどほどにしています。ほどほどのところから話し合ってより良い形に作っていくことが大事だとわかりました。完璧もほどほども相対的な評価ですから結構いい加減なものです。

ストレスをためると、病気、特に「がん」を引き起こします。ひとつの細胞が突然変異して、新陳代謝の基本となるテロメアが効かなくなり無限に増殖してゆきます。ストレスが一つの誘発因子であることは証明されていますが、そのメカニズムは解明されていません。ストレスが免疫機能を低下させて、細胞の暴走を許してしまうのです。私たちの生まれながらに備わっている免疫機能は実に複雑で見事なものです。しかし、ちょっとした異変で免疫機能があるがゆえに正常細胞を攻撃するサイトカインストームを引き起こすことが今回のコロナウイルスの治療で分かっています。また、免疫細胞があまりに多くのウイルスと戦うために自爆攻撃のような戦法を取り、結果的に血液中にその死骸がたまり血栓を引き起こし、重症化させることも解明されています。

ストレスをコントロールする能力は、免疫力を良い状態で維持する上で極めて重要であることが分かっています。私の場合、免疫力を鍛えることで、体温を1度上げることができました。それまでは35.5度という低体温でしたが、免疫力を鍛えて36.5度まで上げることができました。すると、それまで季節ごとにひいていた風邪が3年に一度しかひかなくなりました。おなかを壊すこともなくなりました。インフルエンザで40度近い高熱が出ても普通に生活できていました。以前は37度程度で寝込んでいましたのに。

ストレス克服の一番の早道は「笑う」こと。次に、「多趣味」で、「いいかげん」で「無理しない」ことです。認知症専門医によると、認知症予防法も「多趣味」が効果的だそうです。
趣味の時間は確かに楽しいし、疲れませんし、時間を忘れてしまいます。きっとこれが良いのでしょう。

イギリスの医学雑誌の統計で、がん患者の告知後の心理状態を「A病気には負けない」「B病気であることを忘れようとする」「C病気の事ばかり深刻に考える」「Dあきらめる」の4分類で調べたところ、10年後の生存率はAは70%、Dは20%だったそうです。

また、健康診断の基準値は20代~30代の平均値をとっているようですので、加齢とともに数値が悪くなるのは当たり前で、基準より悪くなっているからと言って、神経質に薬を飲むよりは、加齢による誤差だと思っていい加減にしている方が健康だと思います。
例えば、血圧。30代のことは上は125、下が70程度でしたが、最近は上が155、下が90ぐらいです。これは年齢+90でみればよいと教わりましたので年齢相応ということになります。絶対基準で言えば、高血圧患者ですが、加齢を加味すると何ら問題がないことになります。

コロナの時代を生きる私たちは、ストレスをコントロールする能力を身に着けないといけないと思います。